
昨年は2位が3回など、初優勝に最も近いと言われてきた佐久間朱莉。KKT杯バンテリンレディスで悲願を達成した(撮影/姉崎正)
「やっと勝てました! 」(佐久間)

両手をVの字に突き上げて底抜けの笑顔を見せた(撮影/姉崎正)
佐久間は最終18番で30センチのウィニングパットを沈めると、両手をVの字に突き上げて底抜けの笑顔を見せた。グリーンサイドで見守った両親、同世代で仲がいい桑木志帆と歓喜の抱擁。やがてその目から喜びの涙があふれた。
優勝スピーチで喜びを爆発させた。
「やっと勝てました! ありがとうございます。ずっと一緒にやってきたキャディさんとハグしたときは、やっと終わったんだ、勝てたんだという思いになりました。自分を信じて戦ってきてよかったと思います。私一人の力ではなくて、チームのみんな、ファンの皆さんの支えがあったからこそ乗り越えられたと思います」
首位の堀琴音に1打差2位でスタート。2番で4メートルを決めてバーディを先行させると、4番1.5メートル、6番と9番で3メートルを沈めて前半だけで4つスコアを伸ばした。14番で小林夢果がダブルボギーをたたいた時点で単独首位に浮上し、16番で4メートルのバーディパットを決めて初優勝に大きく近づいた。
耐えるところは耐えた。後半は13番で5メートル、14番も6メートル、17番は5メートルのパーパットが残るピンチだったが、ことごとく沈めた。
「13番と14番は長いパーパットで自分の思ったストロークとタッチが合った。今までにない1打でした。今日は本当にパターに助けられました」
「ジャンボさんに早く報告に行きたいです」(佐久間)

マスターズで悲願の初優勝を果たしたローリー・マキロイにも力をもらったという佐久間(撮影/姉崎正)
3歳でゴルフを始め、アマチュア時代は2019年日本ジュニア2位など輝かしい成績を残し、2021年プロテストにトップ合格。男子ゴルフの「レジェンド」ジャンボ尾崎将司のアカデミー門下生で、昨季はトップ10入り14回を数え、メルセデスランキングは未勝利ながら8位。初優勝に最も近い選手として今季に臨み、6戦目でついに悲願を達成した。
「もちろん勝ちたい気持ちは強かったです。私より年下の子たちが初優勝していくのを見て、正直うらやましいと思うときもありました。それでも自分を信じてやってきたことが今日結ばれたことがうれしいです」
師匠のジャンボには21日に優勝報告をする予定だという。
「一番はジャンボさんに早く報告に行きたいです。『まだまだだぞ!』とたぶん言われると思いますが、その言葉を信じてまた頑張りたいです」
先週のマスターズで悲願の初優勝を果たしたローリー・マキロイにも力をもらった。
「マスターズのマキロイの姿を見て、マキロイが夢は叶うということを見せてくれた。今日自分自身もトレーナーさんに『自分を信じて戦ってきます』と言ってスタートしました」
今大会は2021年の山下美夢有から植竹希望、岩井明愛、そして昨年の竹田麗央と初優勝者を輩出している。その流れも追い風にしてつかんだ初優勝で今後の夢も大きく広がる。
「メジャーには行きたいけど、主戦場を向こうにする前にもう少し日本で頑張りたい。次の目標は2勝目。サロンパス(ワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップ=5月8日開幕)があるので、国内メジャーは特に勝ちたいです」
ようやく殻を破った22歳の巻き返しが始まる。