「MT-28」「MTIウェッジ」など数々の名器を世に送り出し、日米両ツアーで多くのプロ支給品を手がけたクラブ設計家、宮城裕治氏が流行に惑わされないクラブ選びとクラブ設計の真実をクールに解説。今回はちょっと古めのドライバーの飛びについて考えてみた。
画像: 「中古で飛ぶクラブを探すのも面白いですよ」と宮城氏は語る

「中古で飛ぶクラブを探すのも面白いですよ」と宮城氏は語る

新しいモデルは”お助け性能”が高い

みんゴル取材班(以下、み):ロリー・マキロイの少し前のインタビューで、今までの一番のお気に入りクラブは、と質問されて「たぶんM2ドライバー(17年)だ」と答えていました。初優勝した「マスターズ」でもウッドは「Qi35」ではなく「Qi10」を使っていました。やはり”ちょい古クラブ”っていいのでしょうか?

宮城:ぼくは「M6」あたりがマキロイのキャリアのなかで最高だったと思っていますが、ずっとMシリーズにこだわってきましたね。ガレージからたまに「M4」や「M6」を引っ張り出してきて、今のほうが飛んでいるけれど昔のほうが上手くて球が曲がらなかったというコメントもちょくちょく聞きます。マキロイに限らず人間が振りやすく感じるのはあの時代のクラブだと思います。

み:最新モデルが最善の選択とは限らないということですか?

宮城:少なくともプロにとってはそうでしょう。マキロイが求めるものとアマチュアが求めるものは当然違います。車もそうですがプロのレーサーはマニュアルのほうが速く走れますが、アマチュアはオートマチックのほうが楽です。最近のドライバーはアマチュア向けに慣性モーメントが上がっているけれど、昔のクラブより飛ぶかといったら打つ人によって違います。絶対的な飛距離性能でいえば「SIM2」で天井まで届いているし、キャロウェイなら「エピック」や「ローグ」が一番飛んでいたと話すプロは結構います。

み:「M6」から「SIM2」まではスピードインジェクションが搭載されています。CT値がルールぎりぎりで飛びそうです。

宮城:実際のCT値がどれくらいなのかという話は別として、CT値を上げてもヘッドスピードの速いプロにはあまり恩恵がありません。すでにフェースはすごくたわんでいるからです。反対にヘッドスピードの遅い人はCT値をギリギリにすればフェースがたわみやすくなるので飛びます。AIフェースも同じで、ヘッドススピードの遅い人やミート率の低い人ほど恩恵があります。

み:要するにお助け機能に頼るなら新しいクラブ、必要なければ古いクラブもありということですか。

宮城:10年以上前の話ですが、新しいドライバーが曲がって飛ばないからと横尾要選手が「プロ230チタン」を試合会場に持ってきたことがあります。

み:「プロ230チタン」は1993年発売なので今から30年前、その当時からみても20年くらい前のクラブですね。

宮城:その場にいたプロ7〜8人で「プロ230チタン」を打ったら距離は当時の最新モデルと変わらす。昔のドライバーってこんなに飛ぶんだねってみんなが驚きました。もっと昔の話をすると川岸良兼選手が出てきた当時はパーシモンでキャリー300ヤード打っていましたから。中古で飛ぶドライバーを探してみるのも面白いと思いますよ。

み:宮城さんおすすめの中古ドライバーはありますか?

宮城:テーラーメイドMシリーズやSIMシリーズ、キャロウェイのエピック、ローグシリーズなんかはたくさん売れたので中古で探しやすいと思います。また、アマチュア目線で言えば「グローレF」。女子プロが使ってみんな飛ぶようになりました。ロフトが大きめのヘッドを選べばキャリーが伸びると思います。「Mグローレ」や「SIMグローレ」もやさしくて飛びます。

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