ギアに敏感なゴルファーならアダム・スコットが使用するパターとして認知されていると思いますが、「L.A.B.ゴルフ」のパターを使用するプロが米LPGAツアーでは今季既に3勝を挙げていますし、国内男女ツアーでも使用選手が見られるようになってきました。
オデッセイやベティナルディなどトルクレスパターのモデルをラインナップに加えるメーカーも増えてきている中で、トルクレスパターの元祖ともいえる「L.A.B.ゴルフ」の3モデルをコースに持ち込み試打してみました。

左からL.A.B.ゴルフの「MEZZ.1」、「OZ.1i」、「DF2.1」
そもそも「トルクレス」パターとは、ストローク中にパター自体が回転するモーメントを持たない、つまり野球のバットやラケットのように持ち手の延長線上に重心位置があることでフェースの開閉が発生しない点が特徴です。
ゴルフクラブにおいてパター以外はルールで持ち手の延長線上に重心があること、いわゆるセンターシャフトのクラブを禁じています。フェース端ネックにシャフトが装着され重心位置にズレがあることでフェースの開閉を使って飛距離や様々な技術を応用できる反面、使いこなす難しさもあります。
「ヤマハレディースオープン葛城」で実際にツアーで使用する都玲華選手に話しを聞くと「どこに上げるとどうやってストロークするとか考えすぎて上手くストロークできなくなっていました。石井忍コーチにこのパターを勧められて試してみたら、考えなくても同じようにストロークできてラインやタッチに集中できるようになりました」とパターを替えたことでパッティングが改善したことを教えてくれました。

「MEZZ.1」を実戦投入する都玲華
都選手のパターを見てみると、ツノ型のヘッド形状にソールのウェート、センターシャフトで重心位置をコントロール。長さやライ角、カラーをカスタマイズしてあることも「L.A.B.ゴルフ」の特徴です。

「MEZZ.1」は適度な慣性モーメントで距離感が出しやすい
実際に打ってみると、フェースが開閉をトルクを感じることはなく、一般的なセンターシャフトやフェースバランスのパターとも異なるフィーリング。アドレスでセットしたフェース向きをキープしたままストロークできる感覚が強く、インパクトでターゲットに打ち出すためにフェース向きを気にする意識は薄れそうです。

ヘッドサイズも大きく大きな慣性モーメントを持つ「DF2.1」はミスヒットに強く安定したストロークを簡単に提供する
シャフトよりもフェース面が後ろにあるオフセットのパターでは、構えただけでハンドファーストの状態になっていますが、トルクレスパターでは重心位置をパターヘッドのセンターにする必要があるため、シャフトよりもフェースが前にあるオンセットになっています。オンセットのヘッドでインパクトするとハンドレートの状態で当たるため一般的なパターとは手元の位置が変わります。

ハンドファーストでインパクトできるようグリップに対して斜めに装着されている
オフセットのパターと同じようにハンドファーストで当てるためにグリップに対してシャフトは斜めに装着され、ロフトが立ち過ぎることを考慮して6度に設定してあるというわけです。
アダム・スコットが監修した「OZ.1i」はマレット形状のアルミボディにステンレスのインサートを装着。しっかりの打感と速めのボール初速で直進性の高い転がりが感じられました。見た目のフォルムも含めて最も違和感のないモデルではないでしょうか。

アダム・スコット監修の「OZ.1i」はアルミボディのマレット形状にステンレスのインサートでしっかりした打感と速めのボール初速が特徴
都玲華選手の話した通りストロークに問題を抱え、ヘッドや手元の動きばかりに意識が向いてしまうとライン読み、距離感、打ち出し方向といったパットに重要な三大要素を忘れがちになってしまいます。新車効果だけでなくストロークを気にすることなく打てるようになれば、カップインの確立を上げ3パットを減らすことにつながるはず。試してみる価値はありそうです。