初芝生では「7番アイアンでの転がすアプローチ」から
――東名カントリークラブ(静岡県)で、コースデビューへ向けたレッスンを受けることになったはやし。コースの屋外レンジでウォーミングアップを兼ねて打球練習をしたあと、続いて足を運んだのはアプローチ練習場だ。
兼濱開人(以下兼濱):体も温まってきたところで、アプローチ練習場にやってきました。アプローチ、何のことか覚えてますか?
はやしりか(以下はやし):カップに球を寄せるやつです。あわよくば入れー! です。

アプローチ練習場でPWでのアプローチのお手本を披露する兼濱
兼濱:そうですね。直前に練習場で色んな番手でボールを打ちましたが、それもマットの上からでした。はやしさんは芝の上から打つこと自体が初めてなので、今回はコースデビューに向けて「生の芝生で覚えておきたいアプローチ」をお伝えします。
はやし:よろしくお願いします!
兼濱:使うクラブですが……はやしさん、アプローチで使うのってどれでしたっけ?
はやし:えっと、練習で使っていたのは……Pちゃん!
兼濱:そう、ピッチングウェッジ(以下PW)です。おっしゃる通りマットの上からのショットでもPWを打ってもらいました。ただ今日はですね……7番アイアンを使ったアプローチをまず体験してほしいんです。
なぜPWでなく7番アイアンなのか。これを説明すると、まず7番アイアンに比べてウェッジ類はシャフトに対するフェースの角度、いわゆる「ロフト角」が緩やかになっていきます。ロフトが寝ている、と言ったりしますね。ロフトが寝ているとすごく球が上がりやすくなるし、弱い球を打つのにも最適、だからアプローチでよく使います。

左のクラブがPW、右が7番アイアン。PWのほうがロフトが寝ているぶん、球が上がりやすく、弱い球を打つのにも最適だが、初心者の場合芝の上から打つのが難しいクラブでもあるという
でも初心者の頃に芝の上からウェッジを打とうとすると「思いっきり打たないと飛ばないんじゃないか」「自分で振らないといけない」「強く打たないといけない」という気持ちになっちゃって、力みグセが付いたり、ボールに当てに行く動きが出たり、チャックリが起きやすくなっちゃうんです。
はやしさんの場合まだゴルフを始めて間もないので、悪いクセが付かないようにコースデビューを迎えてくれたら嬉しいなと思います。なので芝生の上から寄せるならまずは7番アイアンでの転がすアプローチからチャレンジしてもらいたいんです。転がしのゴルフ……“ゴロフ”ですね。
はやし:ゴロフ……!
兼濱:じゃあまず僕がPWでアプローチをして、そのあとに7番アイアンでアプローチするので、振り幅に注目してみてください。
はやし:……7番のほうがちょびっとですね。
兼濱:そうなんです。7番のほうが飛びやすいクラブなので、少ないエネルギーでピンまでボールが届くわけです。構え方ですが、ボールの位置は右足つま先の前。足は閉じて、パターを打つように地面を擦るイメージで打ってみましょう。

ボール位置は右足つま先の前、足を閉じて構えたら、パッティングのようなイメージで打ってみよう
はやし:スリスリして、打つ!
兼濱:ちょっとダフってしまいましたね。でもこれが生の芝生なんです。練習場のマットだとちょっとダフってもマットの上をソールが滑って助けてくれていたのが、芝生になると少しダフったら飛ばない、なんてことが起こるので。必ず素振りで擦る位置を見つけることが大事ですよ。

芝生の上からのアプローチは、マットの上と違いダフリの影響をモロに受ける。ショット前に連続素振りでソールが地面に擦る位置を見つけておくことが大切だ
はやし:一歩引いて素振りして……ボールの位置はココ! 行きます!
兼濱:……上手い! 今のは本当に良くて、ピン方向こそ外しましたが、ほぼほぼピンまでの距離くらいまで転がってくれたので、距離感は合っています。あとはフェース面の向きが合うかどうかだけですね。……実際に7番アイアンで打ってみて、どうでした? 難しくなかったでした?

7番アイアンでの転がしのアプローチに挑戦するはやし
はやし:めちゃめちゃ難しいです。
兼濱:それがPWになるとより大きく振らないといけなくなるし、フェース面が寝ているのでより正確にボールを当てないといけない。そういった難しいことをしなければいけない状況だと「ちゃんと当てたい」という気持ちが湧いてきて、動きに出ちゃうんです。そうなるとスウィングの技術が悪い方向へ行ってしまいます。
なのではやしさんに限らず、ゴルフ初心者がコースデビューの際で芝生からのアプローチするときは、まずは7番アイアンやユーティリティでもいいので、転がしのアプローチから始めてみると良いと思いますよ。
取材協力/東名カントリークラブ
写真撮影/小林司