
東京都港区のゴルフスクール「広尾ゴルフインパクト」のインストラクター・後藤悠斗プロ
クラブをテークバックし、バックスウィングでトップ位置まで上げて、切り返し。ダウンスウィング、インパクトを経てフォロースルー、フィニッシュまで振り切る。これがスウィング中の一連の動作、そしてスウィングをパーツごとに分けた場合の各動作の名称だ。
レッスン記事や動画などでは、スウィング中の各動作のいずれかにフォーカスして教えられることが多いが「基本的にはスウィングは一連の動作の流れで考えるほうが正解です」と後藤。
「別にパーツごとで考えているのが頭ごなしにダメだとまでは言い切れません。本当にいろんなスウィング理論がありますし、そのゴルファーの考え方や性格……色々見ないと判断できない部分ですから。
ただ、パーツごとに考えているとスウィングにスピード感がなくなりやすいというのは実際あります。レッスンでも『もうちょっと流れで振りましょう』というニュアンスのアドバイスをすることって多いですね。バックスウィングではこうクラブを上げて、トップはこういう形で……とスウィングの最中に理想の形を決め過ぎたり意識し過ぎると、動きがぎこちなくなってスピードが出なくなってしまうんです」(後藤、以下同)
とくに「ダウンスウィング以降……時計の文字盤でいう9時3時の部分は、形を考えず勢いで振り切りたい部分です」と続ける。

ダウンスウィングからフォロースルーまで、時計の文字盤でいう9時3時の間は形を気にせず勢いで振りたい
「9時3時の部分は勢いをつけてヘッドを走らせながら振りたいところです。とくにインパクトに関しては、あくまでも9時から3時まで振っていく間の通過点だという認識を持ってほしいです。
インパクトの形を気にしてしまうと、ボールに合わせに行くようなインパクトになりがちです。インパクト付近でスピード感がないとボールをつかまえる動作もなくなってしまいます。だからインパクトの形を気にするゴルファーってボールが右に行きがちなんです」
インパクトの形を意識し過ぎてヘッドが走らず、つかまえる動きが生まれていないと、フェースをまっすぐボールに当てることができても「クラブの構造上、ボールにヘッドは当たり負けしてしまいます」とのこと。

インパクトの形を気にしてしまうと、ボールに合わせに行くインパクトになってしまう。結果、スピードが落ちてつかまえる動きも生まれず、右に飛んでしまいがちだという
「最近のドライバーって『10K』が話題になるくらい慣性モーメントが増大していて、ブレにくくなっています。それでも単純にまっすぐ当てるだけのイメージで打っていたら右にしか行きません。だからそれを防ぐため、当たり負けないようにフェースを閉じる動きをするわけです。
だからとくにインパクト付近の形は気にしないこと。9時3時は勢いで振って、判断は球筋を見て行いましょう。たとえば『左に行ったからもうちょっと開いたほうがいいな』といったように、細かい調整をちょっとずつ手元の感覚でやっていきたいですね」
インパクトの形を切り分けて意識することは「ほぼないです」と後藤は言うが、逆にそれ以外の部分……たとえばトップや切り返し、フィニッシュの形、切り返すタイミングといった部分に関しては「パーツに分けて考えることも、もちろんあります」とのことだ。
「ただちょっと怖いのは、レッスン記事や動画では『ここはこうしたほうが良い』と結構パーツごとに切り分けて言うじゃないですか。たとえば『この記事ではバックスウィングは〇〇と言っていて、別の記事では切り返しが△△と言っていたから……』とそれらを同時に取り入れたときに、実はどちらも間違ってはいないけど相性が悪い組み合わせだった、なんてパターンはめちゃくちゃあるので、その辺は気を付けたい部分ではありますね」