今年で70回目を迎える歴史と伝統を誇る「ザ・CJカップ バイロン・ネルソン」が本日5月1日より開催。今年もテキサス州TPCクレイグランチが舞台だ。

在りし日のバイロン・ネルソン(1982年オーガスタナショナルGCにて)
大会名にもなっている「バイロン・ネルソン」は、まさに伝説と呼ぶにふさわしいゴルファー。
杉澤伸章キャディによると「彼はテキサス出身のプロゴルファーで本大会の初代覇者なんですが、34歳という若さで引退しています。ツアープロとして活躍していたのもわずか12シーズンと驚くほど短い期間で、287試合しか出場していません。ただ、その少ない出場試合の通算成績は、PGAツアー通算52勝、2位が33回、3位が32回と、出場試合の約半数がトップ3に入ってしまうようなプレーヤーでした。1945年には年間18勝、ツアー11連勝という前人未到の記録を打ち立てました。なお、この記録はいまだにツアー記録です。そして、翌1946年には惜しまれつつも引退しています。まさに伝説です」(以下、杉澤)

TPCクレイグランチの1番H。フラットな印象がわかるだろう(PHOTO/Getty Images)
会場であるTPCクレイグランチは、「恐怖のトム」という異名でも知られるPG Aツアー16勝のトム・ワイスコフによって設計されたコースだ。
「コースは、全体的にフラットで広々としたレイアウトが特徴です。フェアウェイも広く、思い切りの良いショットで攻めることができます。グリーンの芝種はベント芝なので素直な転がりで、イレギュラーが発生しにくいんですよね。基本的に本大会はスコアが伸びやすくバーディ合戦が予想されますね。ショットで差がつくというよりはパッティングの調子がスコアを大きく左右すると言えます。いかにチャンスをものにできるかが勝負の分かれ目となりそうですね」
本大会ではどんな選手に注目したらいいのだろうか。教えて、杉ちゃん!

スコッティ・シェフラーは今季初優勝を地元開催の「ザ・CJカップ バイロン・ネルソン」でという思いがあるはず!?(25年マスターズにて、撮影/Yoshihiro Iwamoto)
「世界ランキング1位のスコッティ・シェフラーはなんといっても注目の選手です。彼はテキサスの大学出身で今はダラス在住なんですよ。だからシェフラー自身、今シーズン初優勝は地元で飾りたいと考えていると思いますよ」
本大会はテキサス州で開催されているが、直近5回は韓国(19年カン・スンフン、21年&22年イ・キョンフン)、オーストラリア(23年ジェイソン・デイ)、カナダ(24年テーラー・ペンドリス)など、アメリカ人以外の選手が優勝を飾っている。※20年はコロナ禍で中止
「今大会は、メジャー大会の谷間に位置するため、多くのトップ選手が休養を取っています。世界ランク1位のシェフラーが出場するものの、それに次ぐランキングの選手は20位と、上位勢は手薄な状況ですね。しかし、これは裏を返せば、シード権やランキングを向上させたい選手にとっては絶好のチャンスです。予想外のドラマが生まれる可能性も十分にあると思います。インターナショナル勢の活躍が目立つ本大会では日本人選手もこの良い流れに乗れるのではないでしょうか」
また、今回も日本勢からは久常涼プロ・金谷拓実プロ・星野陸也プロ・大西魁斗プロの4名が出場。
「本大会はかつて丸山茂樹プロも優勝しているんですよね。だから日本勢の活躍には大変期待しています。特に久常プロは今季好調を維持ですね。昨年の本大会でも13位という成績を残していてコースとの相性も良いと考えられます。優勝争いにぜひ絡んでほしいなと思っています」
PGAツアー公式Xでは18年大会での松山英樹のスネークラインのパッティングを紹介※会場は今回と異なるトリニティ・フォレストGC
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x.comスポンサー国である韓国勢にも要注目だ。
「本大会はCJカップという名前ですが、これは韓国のCJグループがタイトルスポンサーを務めているんですね。韓国勢は相当な高さのモチベーションで臨んでくると思います。特に世界ランキング20位のイム・ソンジェ選手、37位のアン・ビョンフン選手、38位のトム・キム選手は注目して見ておきたいですね」
PGAツアー公式YouTube(英語)では韓国選手の活躍を特集
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youtu.beアメリカ勢以外にも活躍が見込まれる今大会。選手の出身国にも注目しながら観戦してみてはいかがでしょう。
U-NEXT/木村真希
※2025年5月1日12時30分、一部加筆修正しました。