
メジャー初優勝の西郷真央のスタッツをチェックしてみた(撮影/姉崎正)
現在米女子ツアーの賞金ランク1位。プレーヤー・オブ・ザ・イヤーランクも1位。
ポイントランクこそ4位ですが、先のシェブロン選手権で米女子ツアー初優勝をメジャー制覇で成し遂げた西郷真央選手は、女子選手として現在世界のトップに立っているといっても過言ではありません。
そのスタッツを眺めてみると、意外なことがわかります。現在、スコアに対する影響度がもっとも高いとされる指標、ストロークゲインドのランキングでトップテンに入っている部門が“ない”のです。
たとえば、ショットのスコアへの貢献度を示すSGティ・トゥ・グリーンは-0.49で97位。ティーショットの指標であるSG オフ・ザ・ティは-0.18で100位。アプローチの指標であるアラウンド・ザ・グリーンは-0.44で133位です。
ただ、SGパッティングは0.95で13位と上位で、SGトータルは0.84で39位。それでも、ショットやアプローチがツアー上位の指標を示しているかといえば、必ずしもそんなことはないのです。
ドライバー平均飛距離は260.00ヤードでツアー85位。米女子ツアーのなかでは“飛ばないほう”。では正確性が圧倒的かと言えば、フェアウェイキープ率は71.70%で59位。決して上位ではありません。パーオン率しかり。
それでいて、シェブロン選手権までの7試合のうち6試合で予選を通過し、同大会での優勝を含めてトップ10入りは3度。非常に安定した戦いぶりを見せています。
さらにスタッツを細かく見ていくと、ある特徴に気付かされます。ボギーが少ないのです。ボギーの数は64個でツアー9位。しかもそのうちの8個は唯一の予選落ちを喫したフォード選手権の予選ラウンド2日間でのもの。ちなみに、フォード選手権では2日目にダブルボギーも2度あります。
そうすると、今季は残り6試合で56個のボギーを喫したことになり、ラウンド平均ではぴったり2個となります。つまりボギーの数が平均ハーフ1個。これはすごいことではないでしょうか。
ゴルフをしていて、「この人、上手いなあ」と思う人は、とにかくボギーを打たない人。私のような素人レベルでは、ダボを打たない人となるでしょうか。そんな人と競っていると、「なんとかパーやバーディを取らないと」と気が焦り、気づけば自分のスコアが崩壊していたりします。
優勝したシェブロン選手権、西郷選手の3日目までの54ホールのボギーの数はわずかに5個。メジャーの厳しいセッティングのなかでもボギーを打たない強さを見せてトップに立ちました。
一方で、最終日はそれまでの3日間と同じ数のボギーを叩きます。しかし、結果はご存じのとおり。簡単にボギーを叩かないことで上位をキープし、シェブロン選手権の最終日最終ホール、そしてプレーオフ1ホール目のように「ここぞ!」という場面ではバーディをもぎ取っていく強さ。男女の区別はあれど、全盛期のタイガー・ウッズも勝負所のパットはことごとく沈めてきました。
現在世界のトップを走る西郷真央選手のプレーからは、指標には現れない、そんな“強さ”を感じます。
メジャー制覇翌週の今週、ブラックデザートチャンピオンシップ・プレゼンテッド・バイ グレーターザイオンでは58位タイでぎりぎり予選を通過した西郷選手。3日目に2つのボギーを叩いたが、7つのバーディを奪い、トータル8アンダーの28位タイまで浮上。最終日の戦いに注目です!