
松山英樹もマスターズ以来の参戦(写真は25年WMフェニックスオープン、撮影/Blue Sky Photos)
PGAツアーの注目大会、かつてウェルズファーゴ選手権として親しまれた大会が、今年から「トゥルーイスト選手権」として生まれ変わった。変わったのは名称だけではなく、今年は長年開催されてきたクエイルホロークラブを離れ、特別にザ・フィラデルフィアクリケットクラブを舞台に開催される。
「全米プロゴルフ選手権がクエイルホロークラブで開催されるため、今年だけ会場が違うんです。来年以降はクエイルホロークラブに戻る予定とのことですが、今年は全米でも指折りの名門であるザ・フィラデルフィアクリケットクラブでしか見られない特別な大会になると思います」(杉澤伸章、以下同)

ザ・フィラデルフィアクリケットクラブの12番H(PHOTO/Getty Images)
ザ・フィラデルフィアクリケットクラブはどんなコースなのか、詳しく聞いてみよう。
「1854年設立という長い歴史を持ち、フィラデルフィアで最も格式高いゴルフコースとして知られています。普段はメディアに露出することも少なく、こういった試合が開催されるほどオープンなコースではありません。大会のために設立されたコースではないため、その姿を目にする機会は非常に限られており、ぜひ注目したいです」
2016年には、今大会と同会場でシニアのメジャー大会であるプレイヤーズ選手権が開催された。
「2016年に、ザ・フィラデルフィアクリケットクラブを舞台にプレイヤーズ選手権が開催されました。レジェンドゴルファーであるベルンハルト・ランガーが当時1オーバーで優勝しています。また、2位にはジョー・デュラント、6位にオーリン・ブラウン、9位にジェフ・スルーマンなどが名を連ねています。この結果からも分かるように、トップはフェアウェイキープ率が高い選手ですね。最近は飛距離が重視されるモダンゴルフが主流ですが、ザ・フィラデルフィアクリケットクラブにおいてはクラシカルなゴルフが求められることが予想できます。9年前の情報とはいえ、最近のコースとは雰囲気が違うことが伺えます。現代の選手がどのようにクラシカルなゴルフ場で戦っていくのかが注目になります」
オープンなコースではないため情報は少ないが、上記のシニア大会の情報や写真からコースを杉澤キャディが分析してくれた。
「あくまでも予想にはなりますが、本大会のコースは空中ハザードがなく、広々としている一面があると思います。しかし、2016年のシニア大会の結果を見る限り、実際はそこまで広くはないのではないかなと感じます。おそらくターゲットが狭いのではないかと考えられます」
来週5月15日からは全米プロゴルフ選手権が開催。本大会はメジャーの前哨戦とも位置付けられる。
「今回出場する選手たちのほとんどが会場のコースについて詳しく知らないと思います。そのため、誰かが有利ということはなく、全員が同じスタートラインに立って戦うことになります。全米プロに向け良い流れを作るためにも、シグネチャーイベントでもあるこの大会で結果を出すことが重要となってきます。あまり情報がなくてもトップ選手たちはオフの期間にしっかりと準備をしてきたはずです」
4週ぶりのツアー出場となる松山プロの活躍にも期待がかかる。
「松山選手は2017年、全米プロゴルフ選手権の前にブリヂストンインビテーショナルで優勝し、その勢いのまま全米プロでも優勝争いを繰り広げてきました。今回の大会でも2017年の時と同じような流れを作り、全米プロでの活躍に繋げてほしいと期待しています」
普段見ることができない名門ゴルフコースを舞台に、どのようなドラマが生まれるのか。メジャー前哨戦の熱い戦いをお見逃しなく。
U-NEXT 木村真希