女子ツアー黄金世代の実力派にして天然キャラクター・小祝さくら。そのゴルフ回路を覗く異色エッセイ。第64話、自らのスウィング史を振り返る。

小祝さくらは、今の自分のスウィングが一番好きだ。「もともと昔の学生時代の自分のスウィングが嫌いで、プロになってすぐのスウィングもあまり好きではなかったんです。嫌いだったところはめっちゃあります。インパクトとかフィニッシュとか、全部嫌いでした。変なスウィングでした」。自分の昔のスウィングを「ダサいんです」と、少し恥ずかしそうに、そしてもう思い出したくなさそうに話す小祝さくら。

「まあ、今も自分の人生のなかで一番〝まし〟という感じなんですけど……」。しかし、自身の動画を見てみても、「けっこう変わったなあ」と思うらしい。「フィニッシュの形もテークバックの高さも変わりました。球筋はあまり変わってないですけれど。具体的には、昔はすごくオーバースウィングだったんですけど、テークバックが低くなった。最近の傾向でもありますよね。フィニッシュは、クラブの位置がかなり変わっているんです。以前はなかった、『フィニッシュは高く取ろう』という意識があります。大きく振れるし、ドローがしっかり出るんです」

画像: さくらのスウィング、今(2025年)と昔(2018年)。変わっているのがわかりますか? 「ショットは安定してきました。飛距離はまずまずです」

さくらのスウィング、今(2025年)と昔(2018年)。変わっているのがわかりますか? 「ショットは安定してきました。飛距離はまずまずです」

ドローヒッターの自分の持ち味が、より確実に出せるようになってきた。小祝さくらはこれまで、自身の短所を見直し、何人かのコーチの指導をしっかり取り入れ、自分で考え、選択し、じっくりと練習を重ねてきた。その結果が、もっとも自分の長所を生かすことができる今のスウィングなのだ。「今は、スウィングがすごくシンプルになった気がします」

決して〝芯〟がブレない小祝さくららしい言葉だ。すべてが凝縮してこそ「シンプル」になる。小祝さくらは、数字やデータもシンプルに使う。ここ数年課題としている「100ヤード以内の距離感」も〝シンプルに〟磨いている。

「小さい頃から練習した9時→3時といった振り幅で距離感は作りますけど、スタート前や練習のときはGCクワッドの数字と照らし合わせながらやっています。昨年はウェッジがダフり気味というか、ヘッドの入り方がバラバラでミスが多かったので、これをクリーンに入れて、揃えるように意識して練習しているんです。ただ、入射角の数字をチェックしたりはしません。見るのは距離だけ。距離感を磨くためには数字を見ることがとても大事ですけど、やっぱり最後は感覚。こちらをより大事にしています」

考え方がブレないからスウィングもプレースタイルもブレない。小祝さくらの見ていて何だか〝気持ちいい〟プレーは、ここから生まれる。

※週刊ゴルフダイジェスト2025年6月3日号〝ゴルフときどきタン塩〟より(PHOTO/Shinji Osawa、Tadashi Anezaki)

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