1970年代からアジア、欧州、北米などのコースを取材し、現在、日本ゴルフコース設計者協会名誉協力会員として活動する吉川丈雄がラウンド中に話題になる「ゴルフの知識」を綴るコラム。第14回目は、アジア最古のコースについて。

日本最初のコースは9ホール

画像: 1829年にロイヤル・カルタッタGCを建設

1829年にロイヤル・カルタッタGCを建設

「神が造り給うた」リンクスでゴルフは始められたとされる。もちろん諸説がありどれが正しいのか判断することは困難といえる。

ではアジアで最も古いコースはどこだろうかと調べてみると、自称最古のコースというのもあった。歴史的事実は「自称」ではいけない。

日本最初のコースは、神戸居留のイギリス人のアーサー・H・グルームが、六甲山頂に造った9ホールのコースが最初で1903年のことだ。

世界の海を支配したイギリスは、多くの植民地を持ち、貿易も盛んにおこなわれていた。それぞれの拠点にはイギリス人が駐在し、彼らは遠い故郷に思いを馳せコースを造ることを考え、事実建設している。

貿易を生業とするイギリス人が、インドの拠点カルカッタにロイヤル・カルカッタGCを建設したのは1829年のことだ。現在は18H/7237Y/P72の規模で、コースレートは実に75.3とかなり難易度の高いコースになっている。

画像: ジャカルタGC

ジャカルタGC

次に古いコースは意外な国のコースだった。インドネシアの首都ジャカルタにあるジャカルタGCで1872年の開場だ。インドネシアは長い間オランダの植民地で、イギリス人も多く暮らしていたことからコースが造られたのだろう。コースの規模は18H/6424Y/P71。かつてはプレーのできない格調高きコースだったが、現在ではビジターでもプレーすることができる。ジャカルタの市街地にあるためか敷地はやや狭く、クロスするようなホールもあり危険だったが、近年インドネシアに増えているアメリカンタイプのコースに比べれば距離、戦略性などの面白さには欠けるが、日本のゴルフよりも歴史あるコースだからそれは問わないことにしたい。

3番目に古いコースは、インドの隣スリランカのロイヤル・コロンボGCで1879年に開場している。スリランカもイギリス領だったことから多くのイギリス人が暮らし、必然的にコースも建設されることになる。コース規模は18H/6560Y/P71。現在、ロイヤル・コロンボGCは太平洋Cと提携を結んでいるコースなのでプレーに訪れたゴルファーは多いことだろう。

同じくスリランカにあるヌワラエリアGCは1889年の開場で、18H/5520M/P71のコースだ。ホームページにはアジアで最も古いコースと書かれているが、ロイヤル・カルカッタGCより60年、ジャカルタGCより17年も新しい。

香港にある香港GC(返還前はロイヤル香港GC)は、1889年に開場している。

マレーシアの首都クアランプールにあるロイヤル・セランゴールGCは1893年だから日本の神戸GCよりも古い。このコースは、東京GCの招聘で日本を訪れたチャールズ・H・アリソンが、1931年4月9日神戸から日本郵船の筥崎丸でイギリスへ帰国する途中に改造のアドバイをするために立ち寄ったコースだ。

文・写真/吉川丈雄(特別編集委員)
1970年代からアジア、欧州、北米などのコースを取材。チョイス誌編集長も務めたコースやゴルフの歴史のスペシャリスト。現在、日本ゴルフコース設計者協会名誉協力会員としても活動中

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