女子ゴルフの今季国内ツアー第11戦リゾートトラストレディス最終日が6月1日、徳島県・グランディ鳴門ゴルフクラブ36で行われ、24歳の稲垣那奈子が2バーディ、3ボギーの1オーバー73で回り、通算7アンダーで初優勝を果たした。2000年度生まれのプラチナ世代の優勝は6人目となった。神谷そら、川岸史果が1打差の通算6アンダーで2位を分けた。
画像: リゾートトラストで初優勝を飾った稲垣那奈子(撮影/大澤進二)

リゾートトラストで初優勝を飾った稲垣那奈子(撮影/大澤進二)

「うわあ、優勝しちゃった」

画像: 最終ホールボギーも逃げ切った(撮影/大澤進二)

最終ホールボギーも逃げ切った(撮影/大澤進二)

初優勝は3パットボギーで決まった。

最終18番で稲垣は2段グリーンの下から14メートルのバーディパットを2メートルオーバー。返しのパーパットはカップの左にそれたが、いったんマークをしてボールを拾い上げ、同組の選手のプレーが完了したあとで、短いウィニングパットをコロンと沈めた。カップインの直後にはペコリとおじぎをして、大勢のギャラリーに感謝の気持ちを届けた。

「(18番のファーストパットは)キャディさんにとりあえずオーバーして奥につけることだねと言われた。そのとき初めて順位を見て2打差あるんだと思って安心してしっかり打った。(ウィニングパットが入った瞬間は)うわあ、優勝しちゃったと。本当に嬉しい気持ちでいっぱいです」

この日は初優勝を目指して、三ケ島かな、青木瀬令奈と並んで首位からスタート。5番で5メートルを入れて1つスコアを伸ばした後の6番パー3、7番パー4で連続ボギーをたたいたが、12番パー3で5メートルのフックラインを読み切ってバーディを奪った。これで通算8アンダーに伸ばし、18番には2位に2打差をつけて臨めたことが初優勝につながった。

「(連続ボギーのときは)自分では意識していなくても身体が緊張していた。タイミングが合っていなくてナイスショットがほとんどなく、ボギーが続いた。それでもしっかり立て直さないといけないと思って素振りを何回もしたりして、12番でやっとバーディがきてくれたのでほっとした感じでした」

卒論は「ゴルファーと腰痛の関係性」

画像: 早大スポーツ科学部に進学してプロ入りした(撮影/大澤進二)

早大スポーツ科学部に進学してプロ入りした(撮影/大澤進二)

文武両道を貫いた。高校卒業後はすぐにプロ転向せず、大学進学の道を選んだ。早大スポーツ科学部に入学して学び、卒論は「ゴルファーと腰痛の関係性」。2022年には在学中にナショナルチームにも選抜された。プロテストは2023年に合格。プロ2年目の今季はQT47位からの参戦で4月のヤマハレディスから出場して、前週までは4試合のうち3戦で予選落ちを喫したが、今週は見事に初優勝を果たした。課題としていたリランキング突破も優勝という最高の結果でクリアした。

「大学進学をするかどうか考えた時期もありました。高校卒業時にプロテストを受けたほうがいいという声もありましたから。でも、高校3年のときに自分は未熟だと感じていて、その未熟のままじゃだめだと思って、頭も体力も技術も向上させてからプロテストに挑戦したいと思い、自分の意志で両親に大学に行きたいとお願いして(大学に)行きました。大学では関東学生に勝てたり、ゴルフダイジェストの試合に優勝したりして、それがナショナルチームに入れた要因でもありました。その(大学進学という)選択がこの優勝につながっていると考えると間違っていなかったと思います」

着実に歩みを進めてきたゴルフ人生で、この日はツアー初優勝という大きな転機を迎え、今後の夢、目標にも大きな変動がありそうだ。同世代では米ツアーでメジャーを制覇した古江彩佳をはじめ西村優菜、吉田優利、安田祐香が活躍中だが「雲の上の存在だったので、あの子たちみたいにいつか活躍できる選手になりたいと思っていました。海外ツアーに行きたいですね。ここで優勝できたのでチャンスが増える。ひとつひとつのチャンスをつかんで海外で活躍できる選手になりたいです」と目線を上げた。

高校卒業時に周りの流れに逆らうように自分の意志で早大進学の道を選んだ。同世代が次々とプロ転向していく状況の中で、きっと取り残されたような感覚を持ったに違いない。それでも自分の意思を貫き通してつかんだ初優勝は価値がある。選手としてだけではなく、将来の女子ゴルフ界を背負って立つ逸材が飛び出した。

人生の転機になった「ゴルフダイジェストの試合に優勝」

リランキングをなんなくクリア

コーチはレッスン・オブ・ザ・イヤーの坂詰和久

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