「リゾートトラストレディス」でツアー初優勝を飾った稲垣那奈子。3日目、最終日の風の中で崩れなかったスウィングをみんなのゴルフダイジェスト特派記者でプロコーチの中村修が解説。

9年ぶりの会場となったグランディ鳴門GC36は、海に近い丘陵コース。練習日から2日目までは風も穏やかだったものの3日目は最大瞬間風速15.9m/s、最終日は6m/s前後の風が吹く難コンディション。稲垣選手と2度目のコンビを組んだベテランの小畑キャディは、「3日目は特にアイアンの精度が高く、距離も合っていました。もっと伸ばしてもおかしくなかった」と軽いフェードボールを持ち球とするショットメーカーを称えていました。

画像: 「リゾートトラストレディス」でツアー初優勝を飾った稲垣那奈子(写真/大澤進二)

「リゾートトラストレディス」でツアー初優勝を飾った稲垣那奈子(写真/大澤進二)

最終日は初めての最終日最終組という優勝争いの中で緊張もあったことでしょう。ショットの調子は3日目ほど良くはありませんでしたが、しっかりと耐えて初優勝をつかみ取りました。小畑キャディはどんな言葉を掛けていたのでしょうか。「ピンポジに対してあまりナーバスになることなくやりきろう。打つ距離と狙いどころだけを明確にして、しっかり振っていこう。中途半端だけはダメだよ」とやることをシンプルに心がけたと教えてくれました。

画像: 傾斜のあるグリーンでもパットも冴えわたった(写真/大澤進二)

傾斜のあるグリーンでもパットも冴えわたった(写真/大澤進二)

ツアー2年目で24年はレギュラーツアーに9試合中6試合予選落ちでしたが、ステップ・アップ・ツアーでは18試合に出場しランク5位、今季はレギュラーツアー4試合中予選落ち3回、5試合目で優勝と、ベテランキャディの力も借りて一気に花を咲かせました。

それではじっくりスウィングを見てみましょう。まず注目すべきは、グリップエンドが見えるくらい短く持っていますが、強い風の中でも安定したショットが打てる秘訣です。オーソドックスなスクエアグリップで握り腕と体の動きが同調しながらテークバックし、コンパクトなトップを作ります。

画像: クラブを短く持つことでコンパクトで安定したショットにつながっている(写真/岡沢裕行)

クラブを短く持つことでコンパクトで安定したショットにつながっている(写真/岡沢裕行)

切り返しでは頭の位置が下がっていますが、前傾姿勢が深くなりしっかりと地面を踏み込んでいることが見てとれます。そうすることで筋肉の伸張反射を利用して上半身と下半身の捻転差を作り、飛ばしのエネルギーを溜め込んでいます。そのためにはテークバックで右の股関節に角度をつけ、右足で地面にしっかりと荷重する感覚を持つことが大切です。

画像: 切り返しで前傾姿勢が深くなり地面を踏み込むことで上半身と下半身の捻転差を作る(写真/大澤進二)

切り返しで前傾姿勢が深くなり地面を踏み込むことで上半身と下半身の捻転差を作る(写真/大澤進二)

ダウンスウィングでの手首のタメは少なく、手元を体の正面に保って打つので手を使う割合の少ないプレーヤーです。下半身の力を主体に回転力でクラブを振っていますが、それもしっかりとした体幹、下半身の筋力があればこそ。柔軟性と筋力のバランスに加えてクラブを短く持つことでコントロール性を持たせたスウィングといえます。

画像: 下半身を主体に体幹をゆるめずに回転力でクラブを振る(写真/岡沢裕行)

下半身を主体に体幹をゆるめずに回転力でクラブを振る(写真/岡沢裕行)

今季11試合で3人目の初優勝となりましたが、菅楓華、政田夢乃、入谷響、荒木優奈選手など稲垣選手に続いて初優勝を飾る選手がまだまだ続くことでしょう。誰が勝っても不思議ではない今季のツアーで次のチャンスをつかむのはどの選手になるか楽しみです。

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