明日(6月3日)発売の「週刊ゴルフダイジェスト」6月17日号ではプロゴルファーでゴルフ解説者のタケ小山氏と、中国古典研究家で作家の守屋淳氏が『孫子に学ぶマネジメント』というテーマで対談している。その対談の内容はゴルフだけではなく、仕事や人生の指南役にもなるのだった。誌面に収まらなかった対談内容をみんゴルでは紹介!
画像: 左/守屋淳(もりや・あつし)。1965年東京生まれ、早稲田大学第一文学部卒業。現在は作家として『孫子』『論語』などの中国古典や渋沢栄一などの近代の実業家について著作を刊行 右/タケ小山(たけ・こやま)。1964年東京生まれ、中央大学卒、早稲田大学大学院修了。18年間米国でミニツアーを回りながら(37勝)、ゴルフビジネスに携わる

左/守屋淳(もりや・あつし)。1965年東京生まれ、早稲田大学第一文学部卒業。現在は作家として『孫子』『論語』などの中国古典や渋沢栄一などの近代の実業家について著作を刊行
右/タケ小山(たけ・こやま)。1964年東京生まれ、中央大学卒、早稲田大学大学院修了。18年間米国でミニツアーを回りながら(37勝)、ゴルフビジネスに携わる

タケ小山(以下:タケ): 勝負に強い人は性格が悪いといったことはありますか?

守屋淳(以下:守屋): よく言われることは、昔の名将の条件は、カードゲームが強いことと女たらしだと。

タケ: わかるような気がするなあ。昔の強いプロは麻雀が好きで、アメリカのプロならカードゲームが好きでした。

守屋: 日本人の勝負勘が落ちたのは、麻雀をやらなくなったせいだという人もいます。

タケ: そして「英雄色を好む」ですね。でも、そのことは孫子には書いていませんよね。

守屋: はい。孫子は平凡で真面目なんですよ。私は孫子についての本を書いて偉そうなことを言っていますけど、正確に理解しているかというと、そうではないんです。孫子の原文は漢字が並んでいるだけ。漢文はいろいろな解釈ができる中で、自分の腑に落ちた解釈があればそれを使えばいいと考えています。特に『孫子』と『論語』はその傾向が強いと考えています。

画像: 相手の著書をしっかり読み込んで対談に臨むふたり。読んでチェックした付箋の量が、探究心を物語っています

相手の著書をしっかり読み込んで対談に臨むふたり。読んでチェックした付箋の量が、探究心を物語っています

タケ: だからこそ、長きにわたって世界中の人が読んでいるのですね。

守屋: それは確実にあります。

タケ: 聖書だってそう。僕の好きな『カモメのジョナサン』も。そういう本が売れるんです(笑)。

守屋: 私は、最終的に何が書いてあるかを正確に知るよりは、いろいろな解釈があるけれど、それを使って実際に成果を上げた方々と、皆さんがどのように成果を上げたのかを知りたいと思っています。そこに真実はあります。

画像: ゴルフはしない守屋淳先生ですが、多くの書物や研究から導き出すマネジメント論はゴルフに通じるものも多いという

ゴルフはしない守屋淳先生ですが、多くの書物や研究から導き出すマネジメント論はゴルフに通じるものも多いという

ーー今回の対談では、その「実際に成果を上げた方々」に関して、守屋先生が実際にインタビューしたり、講演した中から、実例を挙げて語ってくれました。これらは、ゴルフ界のジュニア育成、変革のためにも役立つ話ではないでしょうか。

守屋: WBCで日本代表の監督だった栗山英樹さんとは何回か対談をしまして。監督は僕が翻訳した『論語と算盤』という渋沢栄一さんの本を選手に配って読ませていました。大谷翔平選手も愛読書の1つだと言っています。プロ野球選手は体格にも運動神経も恵まれた人間が集まっているけれど、その能力があっても活躍しきれない人が一定数出てくる。それは心の問題にあると。たとえばチームプレーなのに自分さえよければいいとか、プロ野球界の中で自分が何を成し遂げるべきかがはっきりしない状態になっていると。心の面を育むために、たくさんの本を読んでほしいとおっしゃって。また、プロ野球が終われば人生が終わるわけではなく、その後の人生のほうが長いと。その中で、野球ばかりやってきて他のことが何もわからず心が育っていない人は、本当に人生がおしまいになる場合がある、長い人生を上手く生きていくためにもしっかり学んでほしいと。
 
日立をV字回復させた元社長の川村隆さんをインタビューしたとき、7800億円の赤字を立て直した理由を聞くと、さすがにそこまで赤字を出したら何とかするしかないと危機感が社内にすごく広がったこと、また川村さんは69歳で社長になられたんですけど、子会社に行ったご経験がよかった、外に行くと本社の問題が客観的に見られる、ともおっしゃっていました。外部の目を持って危機感をどう醸成するのかだと思います。
 
また私は今、大企業の幹部研修にも携わっていますけど、そこでは論語を否定する部分もあるんです。論語は、上に逆らうな、秩序を乱すなという教えがすごく強い。日本の大企業の組織文化はそれが根強いので、本当にそれはやめましょうと。自由にものが言えて、若い人を師匠として学ぶ体制を作りましょうと。孫子が向ける組織は軍隊なので、トップダウンで綺麗に動くようにしなければならないという話ではあるんです。でも君主が将軍たち好きなようにやらせる話でもあります。このままではいけないと思っている企業も多いので、私の話はかなり受け入れられます。でも変わりにくい組織が多いことも事実です。

対談では、タケ小山の鋭い分析で、ローリー・マキロイが今年、グランドスラムを達成したマスターズにも、『孫子』が隠れていることがわかりました。対談は明日6月3日発売の「週刊ゴルフダイジェスト」で、ぜひ読んでみてください!

PHOTO/Yasuo Masuda

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