「2打目を短い番手で打てる選手が有利ですね」(宮本プロ)
週刊ゴルフダイジェスト2025/7/1号に掲載されている全米女子プロ特集記事では、舞台となる「フィールズランチイースト」(テキサス州)で戦った経験のある宮本勝昌プロがコースの見解を語ってくれている。
宮本プロによれば、フィールズランチイーストは「ティーショットでしっかり飛ばせる選手が有利なコース」。単に長めのコース(2025年の全米女子プロでは総距離6604ヤードのセッティング)というだけでなく「2打目を短い番手で打てることが有利につながる」コース設計がなされているからだ。
「どのホールも風の影響を受けやすいため、とにかくグリーンが硬い。さらに周りも短く刈り込まれているので狙った場所に止めないと30ヤード以上もグリーンからこぼれてしまいます。基本的に砲台グリーンが多く、グリーン面は3~4つに分かれています。ピンと同じ面に止めないとバーディを取るのは難しい。なので、2打目はなるべく短い番手でスピンもしくは高さを出してピンポイントに狙っていく必要があるわけです。花道やグリーン手前から転がしても限界があるのでなるべく打ち方の選択肢が広がる短い番手で打てるほうが有利でしょう。その点でいえば竹田選手や岩井姉妹、畑岡選手は上位にきそうです」(宮本プロ)

竹田麗央(左)、畑岡奈紗(右)を注目選手に挙げた宮本プロ(撮影/姉崎正)
宮本プロ曰く、女子ならばドライバーで平均260ヤード以上は確実に飛んで、さらにフェアウェイキープ率も高い選手が有利とのことで、下記のように名前の挙がった4選手はその条件を満たしている。
竹田麗央:平均飛距離272.74ヤード(30位)、フェアウェイキープ率72.39%(61位)
畑岡奈紗:平均飛距離264.19ヤード(77位)、フェアウェイキープ率79.05%(9位)
岩井明愛:平均飛距離271.86ヤード(36位)、フェアウェイキープ率67.90%(99位)
岩井千怜:平均飛距離268.12ヤード(54位)、フェアウェイキープ率74.03%(44位)
さらに岩井姉妹に関しては両選手とも同じドライバー、ヨネックス「EZONE GT Type-S」を使用して高水準に達している点も特筆すべきだろう。この結果はドライバー自体の性能、そして岩井姉妹の技術が合わさった結果だとプロゴルファー・中村修は分析する。

岩井明愛(左)と千怜(右)はヨネックス「EZONE GT Type-S」ドライバーを使用(撮影/姉崎正)
「ヨネックスのドライバーの特徴はヘッドとシャフトを自社で生産している点。スウィングによってシャフトとヘッドがどんな挙動をするのか徹底的に研究している印象があります。
『EZONE GT』のプロトタイプをツアー会場でテストする様子を見たことがありますが、様々な計測器を使ってデータを取っていました。
岩井姉妹2人のタイプの異なるスウィングであってもどちらもドライバーのスタッツが高いのは、そういった研究と物作りの成果に違いありません。
飛距離の三大要素である、ボール初速、打ち出し角、スピン量の三つの要素が最大値になるためにはスイートエリアでヒットすることが重要になりますが、彼女たちはスイートエリアで当てられているということ。それは技術の高さだけでなく、ドライバー自体が持っている性能が高く、その性能を生かしスイートエリアで当てられるフィッティング力も高いということなのです」(中村プロ)
妹・千怜は「リビエラマヤオープン」で米女子ツアー初優勝を挙げており、姉・明愛も全米女子プロ前週の「マイヤーLPGAクラシック」で日本勢最上位の7位タイと上り調子。全米女子プロでの活躍にも期待したい。