アメリカには歴史がありながら見過ごされてきたパブリック(ムニシパル)コースが多い。それらを復興させるプロジェクトを「ミュネサンス」と呼ぶのだが、四半世紀以上の時を経てその集大成ともいえる復興のシンボルが完成しようとしている。
画像: 写真はコブスクリークGC

写真はコブスクリークGC

ペンシルベニア州のコブスクリークGCは単なる改修のレベルを超えた1億8000万ドル(約261億円)規模の大プロジェクトの現場だ。改修するうえで必要だった配慮は考古学、環境保護、地域社会への貢献、子供たちにより良い生活を送る機会を与えることなど広範囲に及び、それらの課題をクリアしながら誇り高い歴史にふさわしいコースへ生まれ変わる。

その裏には個人による善意の寄付、社会貢献活動に尽力する企業がいて、何カ月もの間、図書館にこもり調査を続けたアマチュアゴルフ史研究家らの存在もあった。この再開発の物語はGolf Passによって3部構成のドキュメンタリー映画に収められている。 

コブスクリークの歴史は1916年、年齢や性別、人種を問わず、すべての人に開かれたパブリックコースとしてスタートした。黒人初のPGAツアー選手でタイガーも敬愛するチャーリー・シフォードもかつてこのコースでプレーしていた。しかし多くの伝統的なパブリックコースが直面したのと同様、ずさんな管理と放置により悪循環に陥っていた。

だが2000年代の半ばにコースの由緒ある歴史を偶然ゴルファーが発見したのがきっかけとなりコブスクリーク財団が発足。ニューヨークのベスページやカリフォルニアのトーリーパインズなどと肩を並べるパブリックコースを目指すプロジェクトが発動した。

9月にはタイガー・ウッズ財団の支援を受けTGRラーニングラボがオープンするが、ショートコースや大規模な練習場もほぼ完成している。本コースの改造はギル・ハンスとジム・ワグナーが担当。ゴルフだけでなく地域社会の改善に取り組んでいるのもこのプロジェクトの特徴。今後も「ミュネサンス」は全米各地に広がっていきそうだ。

※週刊ゴルフダイジェスト2025年7月1日号「バック9」より

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