
東京都港区のゴルフスクール「広尾ゴルフインパクト」のインストラクター・後藤悠斗プロ
良いスコアを目指すために避けたいのが、グリーン周りでの“往復ビンタ”。たとえばトップしてホームランなどといった技術面でのミスを減らすことも重要だが、それ以上に大切なのが「アマチュアの方が意外とできていないのが『落下地点を設定すること』なんです」と後藤は言う。
「『そんなの当たり前じゃん』と思われるかもしれませんが、ラウンドレッスンしていても、アプローチでとくに当たり方にミスがあったとかではないけれど、オーバーする方って結構多いんですよ。
たとえば30ヤードのアプローチで、ショットはミスしてないのに50ヤード打っちゃった、みたいな感じです。これってきちんと落下地点を設定して、何ヤードキャリーして何ヤード転がすのかというイメージができていないから起きているんです。だってショットのミスはしていないですからね。
残り距離の数字だけを見て、練習しているときになんとなくイメージしている『30ヤードのアプローチのスウィング』をしているから起きるんです。どの距離を狙うにしても『ここに落としたらどれぐらい転がっていくだろうな』というイメージをちゃんと考えて、落としどころを設定できている方って思っている以上に少ないですね」(後藤、以下同)

グリーンへのアプローチの際、落としどころをイメージできていないアマチュアが多いという(写真はイメージ)
大切なのは状況ごとに何ヤードキャリーして何ヤード転がすのかをイメージし、それを素振りに反映させて球のイメージを出すこと。グリーン周りのアプローチは状況次第、ある程度アドリブも必要だからこそ落としどころをイメージする力が重要になるわけだ。
しかし「状況によって狙いどころを変えず、いつも練習でやっているアプローチをやっているだけ、という方が多いんです」という。
「『30ヤードのアプローチ』と一口に言っても、状況によって落としどころの設定って変わりますよね。同じ30ヤードでも20ヤード付近までバンカーがあって、グリーンエッジからピンまで5ヤードくらいだったら、結構キャリーで打たなきゃいけないわけじゃないですか。なのにどんな場面でも30ヤードだったらPWで転がすような素振りをしているとかいますよ。『それってどこに打とうとしてるの? バンカーに落ちるだけじゃない?』みたいな。
で、それって結局普段の練習の段階で『トータル30ヤードをPWで打つこと』しか考えてないんですよ。『30ヤードはこう打つ』と決めてしまっているんです。『落としどころを考えてたら、そこでそのクラブの選択はなくない?』なんてことも、結構あるんです」
だからこそ練習でも本番でも「ピンまで何ヤードだから、何ヤードに落とそう」を常に考えることが「落としどころのイメージがないから起きる『飛び過ぎて往復ビンタ』の防止につながるんです」とのこと。
「同じ往復ビンタでも、トップしてホームランみたいな技術的なミスより、狙いどころが曖昧だから起きてしまう往復ビンタのほうがよっぽどもったいないです。だって、ショットはミスせずちゃんと打てているのに打数を損しているわけですから。
落としどころを決めたら、そこからのランのイメージは別にそんなになくてもいいです。まずはとにかく状況によって落としどころをイメージして、素振りやスウィングに反映させること。これをまず実践してみてください」