
解説/泉岡翔コーチ
横田真一などのプロキャディの経験を経てティーチングプロに転身。最新機器を駆使した科学的なレッスンが高い人気を誇る。「FOXY GOLF」代表
グリーンの形をみれば「理想のルート」が見えてくる

グリーンを長く使えるラインを見つけよう(撮影/有原裕晶)
模範解答を持たずにコースに挑むのは無謀 !
最近セルフプレーでは当たり前になったカートナビ、どのように利用していますか?
これほどまでに便利な文明の利器を活用せずにムダにしている人が多すぎると嘆くのは、東京・麻布の「FOXY GOLF」代表で、プロキャディの経験も豊富な泉岡翔コーチ。
「アマチュアの方は、カートナビをピンまでの距離を表示する機器くらいに思っている人が多くて本当にもったいない。多少活用してもせいぜいピン位置の確認程度。ものすごく便利な道具が手軽に使えるのに、まさに宝の持ち腐れです。これを情報収集に活用すれば、絶対にスコアアップにつながりますよ」
泉岡コーチは、まずティーショットを打つ前に「グリーン」ボタンを押してほしいと話す。こう言うと「ティーショットを打つ前にグリーンなんて、取らぬ狸のなんとやら……」と言い出す人が多いが、このほんのひと手間がマネジメントの質を劇的に向上させると言う。
「プロは必ず、ティーショットを打つ前にそのホールを攻略するベストルートを想定します。実行できるかどうかは別問題で、まず最初に『模範解答』ともいえる理想のルートを考えなければマネジメントのスタートラインに立つこともできません。その土台となるのがグリーンの確認なんです」
グリーンチェックの際に見るべき最重要ポイントは、グリーンの形状だ。多くのグリーンはまん丸ではなくいびつな形状だし、周囲にバンカーなどもある。これらの情報からグリーンの「入り口」を探すのだ。
◇グリーンを「長く使う」ために形をチェックする
【Check①】グリーンがどんな形をしているのか
【Check②】ハザードの位置
【Check③】ピン位置はそれほど重要じゃない

グリーンを長く使えるところが入口
ティーショットを打つ前に、カートナビでグリーンの形状をチェック。グリーンの「入り口」を見つけることが大事な作業。
「ポイントは、グリーンを“長く”使えるルートを探すこと。グリーンをタテ方向に長く使えれば、バンカー越えのリスクも減り、タテ距離がズレたり当たりが薄くてもグリーンキャッチの確率が上がります。『ショットが下手だから事前に想定してもムダ』ではなく『ショットが下手だからこそグリーンをやさしく狙う準備が必要』なんです」
グリーンの「入り口」が見つかれば、次はそこに到達するためのショットルートを逆算する。ここでのポイントは、コースを対角線状に使うほうが狙いが広くなってやさしいということ。自然と、ジグザグのベストルートがカートナビ上に浮かんでくるというわけだ。
“入り口”から逆算してジグザグルートを設定しよう

グリーンを縦に広く使えるマネジメントを心掛けよう
タッチパネルで指定したポイントまでの距離が表示できるカートナビなら、想定するジグザグの中継点までの距離をチェックしておこう。
「まずはこうやってグリーンから逆算して理想のルートを見つけること。マネジメントはすべてここから始まります。そのためにカートナビはものすごく有用な道具なんです」
自分の実力を“客観的に”分析しよう
コース情報と自分の実力は両輪の関係
カートナビを使って理想のルートを想定しても、結局はそのとおりにいかないのがゴルフの難しさ。実際にはルート上にハザードがあったり、OBゾーンのすぐ近くに打たなければならないなど、難易度の高い攻め方になってしまうことも多々ある。
「最初に考えた理想のルートは、すべての基準ではありますが、この段階ではまだ机上の空論。これをどうやって現実に落とし込むかが重要なんです。その点カートナビがあれば、そういったバンカーやOBなどのコース情報が簡単に手に入ります」
“己を知る”ための基本3データ
【①】ドライバーの球筋 > ティーショットを考える上での必須情報

自分の球筋を把握しよう
ドライバーは基本的な球筋がフックなのかスライスなのかだけでも把握してほしい。これがティーショットのルート設定における基本情報になる。平均飛距離も、できればキャリーで把握できればベター。
【②】7Iのキャリーとラン > グリーンを狙えるかどうかの判断基準

まずは7番アイアンのキャリーとランを把握しよう
番手ごとのキャリーとランを知らないと、ハザード越えやグリーンに落ちた後の転がりが想定できない。まずは7番アイアンで正確な数値を把握できれば、他の番手もおおむね想定できる。
【③】ウェッジのキャリーとラン > 刻んだ後にグリーンを狙うショットの目安

100ヤード未満の自信が持てるショットの距離を把握しよう
100Y未満で使う得意なウェッジを気持ちよく振ったときのキャリーとランがわかると、レイアップして次のショットを何ヤード残すのが最善なのかが見えてくるので「次善」の設定がしやすくなる。
【データの取り方】
練習場で10球打って本当の平均値を知ろう
自分の実力を把握するには、弾道計測器のある練習場などでデータを取るのが理想。10球打って上と下の各2球を除いた真ん中の6球の平均値が、実戦的な意味での平均といえる
構成・文/鈴木康介
写真/三木崇徳、有原裕晶、大澤進二
イラスト/山里將樹
※月刊ゴルフダイジェスト8月号「カートナビ活用術」より
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この続きでは、100切り、90切りに対しての目標設定の仕方やレベルに合ったマネジメント術など、実践で役立つ情報をお届けしている。続きはMyゴルフダイジェスト、月刊ゴルフダイジェスト8月号で掲載中!