全米オープンを主催する全米ゴルフ協会(USGA)は毎年この時期にボビー・ジョーンズ賞の受賞者を表彰する。昨年のタイガー・ウッズに続き、今年栄誉ある賞に輝いたのはマイク・カイザー氏だった。
画像: フォーブス誌でも特集されるなどゴルフ関連の実業家として名を馳せる79歳(写真はUSGAより)

フォーブス誌でも特集されるなどゴルフ関連の実業家として名を馳せる79歳(写真はUSGAより)

球聖と呼ばれたジョーンズが示した「精神、人格、そしてゴルフへの敬意」を踏襲する卓越した個人に贈られる同賞はこれまでにアーノルド・パーマーやジャック・ニクラス、ベン・ホーガンといったゴルフ界の偉人たちに贈られてきた。

カイザー氏の知名度はそれらの受賞者には劣るが「ゴルフの在り方を変えた人物」として知られている。かつてゴルフ場開発は最寄りの街から近い不動産価値の高い場所に限られていた。アクセスが悪く気候も厳しい海岸線や、不況にあえぐ地域などにゴルフ場を造ろうとする人はいなかった。開発できる場所はすでに飽和状態、新しい挑戦をする者はいなかったのだ。

しかし四半世紀前にカイザー氏が開発したオレゴン州南部の太平洋岸に広がるバンドンデューンズゴルフリゾートはゴルフ界の常識を変えた。どこまでも続く起伏のある砂丘に造られたコースは最寄りの都市や空港から遠い。

しかし、いくら不便でもその環境が息をのむほど美しかったら人々はそこにゴルフの魅力を見いだすとカイザー氏は考えた。今では辺ぴな海辺のコースが北米のパブリックリゾートコーストップ3にランクインするほどの人気。カイザー氏は独創的な開発者として功績を認められ最高の栄誉を手にしたのだ。USGAのマイケル・ワンCEOはいう。「カイザー氏のゴルフへの純粋な情熱、レクリエーションゴルフ復興への情熱がゴルフ業界の視野を広げたのだ」と。

9歳でゴルフを始めたカイザー氏は学生時代の大半をキャディとして過ごした。高校生キャディが大学の奨学金を受けられるよう支援する財団も設立。リンクスをこよなく愛し自然環境の保護に重点を置く彼のゴルフ場開発は北米各地に広がっている。

※週刊ゴルフダイジェスト2025年7月8日号「バック9」より

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