今年4月の「KKT杯バンテリンレディス」初優勝から「アース・モンダミンカップ」で3勝目を飾った佐久間朱莉。4日間で11アンダーと難セッティングを制したスウィングをみんなのゴルフダイジェスト特派記者でプロコーチの中村修が解説。
画像: アース・モンダミンカップで今季3勝目を飾った佐久間朱莉

アース・モンダミンカップで今季3勝目を飾った佐久間朱莉

初日から30度を越える夏日を記録し、木陰を歩けない選手とキャディにとっては体力勝負になる季節になってきました。飲み物だけでなくサプリメントや氷嚢などしっかりとした準備に加えて、練習時間のスケジュール管理など、体力を温存しながら集中して練習する術も必要になります。

その暑さの中で、硬く速いグリーン、適度に伸ばしたラフ、毎年改修してアップデートするコースとコンディションは素晴らしいものでした。火曜日の練習日からグリーンのコンディションは仕上がっていましたので、コースセッティングを担当した茂木宏美プロ、グリーンキーパーの方々の良い試合を演出したいという心が表れていたように思います。

初優勝から3勝ともコンビを組んだジョンさんこと後藤キャディに勝因を聞くと「朱莉ちゃんのメンタル面の成長を感じます。自分と向き合うというか、落ち着いて自分のプレーに集中できていた」と年間女王に向けて4勝目、5勝目へと突き進むことでしょう。

画像: 今季最強コンビの後藤キャディ(左)と佐久間朱莉(右)

今季最強コンビの後藤キャディ(左)と佐久間朱莉(右)

佐久間選手のスウィングはこれまで2度解説してきましたが、ここでは「フラットレフトリスト」と体の正面から手元を外さないスウィングについて解説していきます。

「フラットレフトリスト」とはスクエアグリップで握った際に左手の甲から前腕にかけて平らになる動きのこと。わずかに手首のヒンジが入り、アドレス時よりも手首がフラットになることでフェースを起こしロフトを立てハンドファーストでインパクトすることにつながります。

画像: 左手首と前腕がフラットになる「フラットレフトリスト」

左手首と前腕がフラットになる「フラットレフトリスト」

テークバックの始動からトップにかけて左手首をフラットにするタイプや、トップでは左手の甲側に手首が折れていてもインパクトに向けて左手首がフラットになるタイプも存在します。いずれにしても30ヤードくらいの振り幅のスウィングから意識してみるとインパクトが安定します。

画像: 体の正面から手元を外さないことで腕の振り遅れを防ぎ、方向性と距離のコントロール性を高める

体の正面から手元を外さないことで腕の振り遅れを防ぎ、方向性と距離のコントロール性を高める

もう一つの手元を体の正面から外さない点ですが、最大のメリットは腕が振り遅れないことで飛距離のコントロールが高まる点にあります。ヘッドは重量があるので、手首の動きによって遅れることは問題ありませんが、腕が振り遅れてしまうとフェースも開きやすくなるため、インパクトでフェースを返す動作が入り方向性が不安定になったり、腕が振り遅れた状態でインパクトすると十分にエネルギーをボールに伝えられないといった要因になります。

プロ達のアプローチでは体の正面に手元があって、ヘッドはわずかに遅れた状態のフィニッシュが見られますが、これこそスピードとフェース向きのコントロールがされた状態を表しています。

画像: アプローチでも体の正面から手元を外さない

アプローチでも体の正面から手元を外さない

ツアー会場では両わきにタオルを挟んで練習する選手の姿も見られます。そうすることで体幹で打つスウィングが身に付きますのでインパクトが不安定な人は試してみてはいかがでしょうか。

オフの宮崎合宿にお邪魔しましたが、トレーニングだけでなくアプローチとパッティング練習に多くの時間を割いていました。昨年まではショット力が高いスタッツでしたが、今季の3勝はショット力で勝ち取ったというよりは、アプローチとパッティングのショートゲームでボギーを打たない、バーディパットも決められるようになったことが大きな要因です。

そういったショートゲームの底上げが年間を通して安定することこそ、年間女王へとつながっていくことでしょう。佐久間選手とジョンさんの快進撃はまだまだ続きます。

写真/有原裕晶

佐久間朱莉の過去2回の「勝者のスウィング」

アース・モンダミンカップの最終日をプレーバック

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