フジクラ「ベンタス ハイブリッド ブラック」とは?
全世界のプロ・アスリートゴルファーブランドとして圧倒的な人気を誇る「ベンタス」。そのユーティリティモデル「ベンタス ハイブリッド」に「ブラック」が追加されました。今年の4月に発売された「ベンタス ハイブリッド ブルー」と合わせてベンタスユーザーを中心としたアスリートゴルファーのユーティリティシャフトの選択肢が拡大しました。
「ベンタス ハイブリッド ブラック」は「24ベンタス ブラック」同様のマットブラックの外観デザインを採用してブランドの統一感を持たせています。シャフト先端部分はウッド用シャフト同様「VELOCORE PLUS」テクノロジーを採用。複数の高弾性素材をシャフト内部に積層することでインパクト時のねじれを抑制した「ベンタス」のユーティリティモデルにふさわしいシャフトに仕上がっています。
「ベンタス ハイブリッド ブラック」のシャフト重量は80、90、100グラムの3つの重量をラインナップ。キックポイントは全て元調子。日本で展開されるシャフトスペックは8S、8X、9X、10Xの4モデルになります。今回はそんな「ベンタス ハイブリッド ブラック」を検証していきます。

テストクラブは「PING G440 HYBRID #4」でクラブレングスは40インチ
ベンタス ハイブリッド ブラック8
重量 | トルク | 調子 | 振動数 | |
HB8(S) | 86.5グラム | 2.5 | 元調子 | 286CPM |
HB8(X) | 86.5グラム | 2.3 | 元調子 | 297CPM |
「ベンタス ハイブリッド ブラック8(以下・HB8)」はブラックのラインナップ最軽量モデルです。80グラム台からの展開ということでこのモデルのターゲットがより明確になっているのがわかります。振ってみるとイメージ通り手元側に硬さの感じるしっかりとした剛性感があるプロ・アスリートモデルらしさを感じるハードなフィーリングで、シャフトの手元側・中間・先端部分にかけて硬めの設計に仕上がっています。
Sフレックスは手元側がしっかりとしているのでレスポンスの良い切り返しが可能です。シャフト先端部分がやや動くのでボールをとらえやすい印象があります。Xフレックスは手元側・中間から先端部分まで硬いことで余分な動きは感じられず、ハードヒッターのインパクトに耐える設計になっています。

ベンタス ハイブリッド ブラック8S
シャフトそのもののフィーリングは「24ベンタス ブラック」を使っている方ならわかる硬さの中にも「しっとり」したフィーリングがあります。このユーティリティシャフトに求められるのは飛距離性能よりも方向安定性でしょう。
基本的な弾道はストレートからややフェード系です。確実にターゲットを狙うためにストレートからややフェードの弾道は「ベンタス HB」に求められる要素の一つだと思います。基本的にはやや高さが抑えられた弾道が出やすいです。とはいえ、スウィングの軸が安定していてしっかりと打ち込める方は高さが出ますが、そうでない方にはユーティリティに求める弾道の高さが出にくく感じられるでしょう。
どちらのフレックスも左に巻き込む感じはありませんので、ユーティリティでの左へのミスを消したいアスリートゴルファーにメリットがあるスペックになると思います。
ベンタス ハイブリッド ブラック9
アメリカではフレックスTXがラインナップされていますが、今回日本に導入されたのはフレックスXのみ。ユーティリティシャフトとしてパワーのあるゴルファーに合わせたシャフト剛性設計になっています。シャフト振動数は以下の通りです。
重量 | トルク | 調子 | 振動数 | |
HB9(X) | 95グラム | 2.2 | 元調子 | 306CPM |
スペックだけでみるとハードなイメージですが、打ってみた感じは8Xを更に重くした感じです。シャフト振動数は8Xに比べてやや高くなるものの、特にシャフトの各部分が剛性感が増すような感じはありません。重量もあるので元調子らしいフィーリングも感じられます。

ベンタス ハイブリッド ブラックのラインナップはこの4種類
プロやパワーのあるアスリートゴルファーのインパクトに対してブレを抑える設計になっていますので、インパクト時の頼りなさを感じることはないでしょう。同重量帯にスチールシャフトに比べても、インパクト時に感じるフィーリングは確実にしっかりとした強さを感じます。
基本的な弾道はフェード系です。スウィングがしっかりとしていて打ち込める方ならユーティリティに必要な適正なバックスピン量が出せるので、ターゲットに対してしっかりボールを止めて狙うことができると思います。しかし、そうでない方には高さも出にくく、バックスピン量もかかりにくく感じるでしょう。
HB9Xはスウィングが安定してパワーがあるゴルファーがしっかりと打ち込むインパクトに対してシャフトパフォーマンスを発揮してくれるスペックだと思います。
ベンタス ハイブリッド ブラック10
HB9と同様にHB10もアメリカではフレックスTXがラインナップされていますが、今回日本で導入されたフレックスはXのみとなります。
重量 | トルク | 調子 | 振動数 | |
HB10(X) | 106グラム | 2.0 | 元調子 | 312CPM |
シャフト重量もあり、ロートルク設計ですが、24ベンタスのウッド用と同じ、硬さの中にも「しっとり」としたシャフトフィーリングを感じられます。9Xに比べてシャフト各部分の硬さに大きな変化は感じられず、重量がある元調子のシャフトということもあり、切り返し時のイメージもただ硬いようなシャフトには感じませんでした。
10Xは9Xでも重量的に物足りないパワーのあるゴルファーにとっては問題なく使えるスペックだと思います。
弾道は高さの抑えられたフェード系です。パワーのあるゴルファーはユーティリティで左へのミスが出る悩みを持っている方が多くいます。フェード系のバックスピンもしっかりとかかる弾道はアスリートゴルファーがユーティリティに求める「狙うクラブ」に仕上がるでしょう。
特に最近はプロやアスリートゴルファーにも使用率が増えてきたロフト角度の大きい(#5・#6)ユーティリティとのマッチングも良いスペックだと思います。
ベンタス ハイブリッド ブラックとブルーの違い
「ベンタス ハイブリッド ブラック」よりも先に発売され、既に多くのアスリートゴルファーに使用されている「ベンタス ハイブリッド ブルー」。2つのモデルの違いを「8S」で比較検証してみましょう。
シャフトのキックポイントは元調子のブラックに対してブルーは中元調子。シャフト振動数はブラックが286CPMに対してブルーは270CPM。
どちらもプロ・アスリートゴルファー用のシャフトですので、手元側の剛性は高い設計のシャフトですが、ブラックの手元側の剛性がブルーよりも高いので2つを打ち比べると切り返しのフィーリングに差を感じます。

ベンタス ハイブリッド ブラックとベンタス ハイブリッド ブルー
ユーティリティシャフトは切り返しの時の手元側のしなりが弾道にも大きく影響しますので、打ち比べた場合は手元側がしなりやすいブルーのほうが弾道が高く、ブラックはそれよりも低め。シャフト先端部分はブラックが硬いのでボールのつかまりはブルーのほうが良くなるでしょう。
新たにブラックが発売されたことで自分の求めるユーティリティの弾道のイメージに合った「ベンタス ハイブリッド」を選びやすくなったのは良いポイントだと思います。
「ベンタス ハイブリッド ブラック」を選ぶ際のポイント
ユーティリティは一般的にフェアウェイウッドとアイアンの間にセッティングするクラブです。「ベンタス ハイブリッド ブラック」はプロ・アスリートゴルファー向けの元調子のハードスペックのシャフトですので、ハードヒットしても左のミスが出にくい設計です。購入を検討される方は多いと思いますが、選ぶ際はお使いのフェアウェイウッドやアイアンのシャフトとのマッチングを総合的に判断して選ぶ必要があるでしょう。
フェアウェイウッドに「24ベンタス ブラック」などのプロ・アスリートゴルファー向けのシャフトを装着している方は繋がりは良いと思います。注意してほしいのはアイアンシャフト。しっかりとした強めのシャフトを装着されている方のマッチングは良いと思いますが、手元側が大きくしなるシャフトやシャフト先端部分の動きがあるようなシャフトとのマッチングだと弾道イメージが大きく変わる可能性があります。ユーティリティの弾道が良くなったらアイアンがつまりすぎるようになる可能性もありますので、お使いのアイアンの弾道とユーティリティの弾道イメージが揃うかをチェックして下さい。
ユーティリティシャフトを選ぶ際はユーティリティだけを打って決めるのではなく、必ず前後のクラブとのマッチングを考慮する必要があります。「ベンタス ブラック ハイブリッド」は前後のクラブとの繋がりを考慮する必要があるシャフトですので、選ぶ際にお使いのフェアウェイウッドとアイアンと一緒に打つことをオススメします。