小祝さくらは、梅雨が好きでも嫌いでもない。〝普通〟だ。だから、雨の日のラウンドも普段どおり。もちろん事前の準備はきちんとする。「カッパと、あとはグローブを多めに。タオルもたくさん持っていくようにします。意外とそんなものですかね」。〝カッパ〟と言うあたりが、昭和感を醸し出しているが、そこに本人はまったく気づいていない。

雨の試合でも、成績は悪くないさくら。“普段どおり”がここにも生かされる。今年は空梅雨ですでに猛暑続き。涼しい雨が愛おしい感じですね…
「あとは、キャディバッグに雨用のカバーを付けるくらいですかね。基本的にムダなものは入れないようにしています。必要最低限のもので行くようにしますね。あれやこれや入れると、キャディさんの気を使うことも増えていろいろと大変になりますから」
キャディさんへの気遣いがサラッと出てくるのも、さくららしい。「でも、キャディさんがしっかり拭いてくれるおかげで、グリップが滑ったりすることもないんですよ。傘をしっかり差していれば、基本は濡れないので大丈夫です」。雨の中でプレーするうえで、技術的に気を付けていることは?
「特に大きく変わることはないですけど、クリーンに打つことは意識しますね。カジュアルウォーターのときなどは特に。きれいにボールにヒットしないと、思った距離が出ませんから。あとは、グリーンが重くなるので少し大きめの距離で考えて、しっかりめで打つことも意識しますね」。雨の日もシンプルに、しかし肝心な部分は押さえてプレーする。
最近、雨の日にキャンセルするアマチュアゴルファーが増えているという話をすると、「そうなんですか……でも、私たちは試合が中止にならなければ雨の日でももちろんプレーしますけど、アマチュアの方は、雨の日にプレーするといつもとまったく違うゴルフになってしまうので難しいですよね。ゴルフをする機会がそんなに多くあるわけでもないですし、せっかくの機会ですから、アマチュアの方にはゴルフを楽しんでほしい。雨の日だとやらないといけないことが増えて、何より楽しさが半減しますから。私だったらやりたくないですよ(笑)。私たちプロは、クラブだってキャディさんが拭いてくれるからいいけど……だから、せっかくだったらお天気がいい日にプレーしてほしいです」
一方で最近、雨の日にキャンセル料を取るコースがあるという話をすると、「そうなんですか……でも、キャンセル料についてはアリだと思います。だって、ゴルフ場も仕事ですから。仕事なので仕方ないですよね。全額支払うわけではないですよね? 2000円とかくらいなら仕方ないと思います。そこは折り合いをつけるということで」。合理的、かつ、それぞれの気持ちを考えてしまう小祝さくららしい返答なのである。
※週刊ゴルフダイジェスト2025年7月1日号〝ゴルフときどきタン塩〟より(Ph/Hiroyuki Okazawa)