
失格となったコール・ハマーはテキサス大出身の25歳。20年の全英オープンと全米オープンにアマチュアとして参戦した
元世界アマチュアランキング1位の25歳コール・ハマーが、同ツアーのメモリアルヘルス選手権初日の17番パー3でティーショットを打った後、同伴プレーヤー(アルゼンチンのネルソン・レデスマ)のキャディが4本の指を立て「4アイアン?」と尋ねた。
本能的にハマーもジェスチャーで肯定した。
ゴルフ規則10条2項aではプレーヤーが自分のキャディ以外にアドバイスを与えたり尋ねたりすることを禁じている。ハマーが番手を伝えたことはそのルールに抵触する可能性があるが、ラウンド中は自分のプレーに集中していたのでその事態を深く考えていなかった。
「プレー後にモヤモヤしたので翌朝に競技委員に何が起きたのかを伝えました」
処分決定は第2ラウンドの6番ホール。競技委員から2人に失格が伝えられた。
「胸のつかえが取れて気分が楽になりました。でもレデスマまで失格になるとは思っていなかった。自分がサイン(番手の助言)を出したので僕だけが失格になると思っていたのに」と相手を気遣ったハマー。
レデスマとキャディは「ルール上今回の決定は正しい。受け入れる以外ない」と潔く認めたという。
ライダーカップの欧州チーム元キャプテンで解説者のポール・マッギンリーは、選手が相手のクラブの番手を参考にすることは「よくある」という。しかしハマーは失格になっても自己申告したことは自分にとってプラスだという。
「学びの経験。気持ちが軽くなって落ち込んだり不安を感じたりせずに次の試合に臨むことができます。正しいことをして心が真っさらな状態でプレーする。この競技を守ることが長い目で見れば自分にとってこれが最良なのです」
現在ポイントランク77 位と来季のPGAツアー昇格はまだ遠い。だが良心の人はいずれ飛躍するだろう。その日が楽しみだ。
※週刊ゴルフダイジェスト2025年7月22日号「バック9」より