国内女子レギュラーツアーで唯一「PXG」のクラブを使用するリ・ハナ
「PXG」はITで財を成したボブ・パーソンズが「最高のクラブを作りたい」とコストや時間に糸目をつけず2014年に設立した米国発のゴルフメーカー。高額な価格設定やピン社のデザイナーをヘッドハントして作られたクラブとして話題になりましたが、国内では目にする機会は多くはありませんでした。
米女子ツアーでは使用する選手も見られましたが、国内女子レギュラーツアーではリ・ハナ選手ただ一人。リ・ハナ選手は「PXG」とアパレル契約を結んでいますが、クラブ契約はフリーのまま。オフから様々なクラブをテストしながら参戦して来ましたが、テストと調整を繰り返しエースの存在となったのが4試合前から投入した「PXG」のアイアンとフェアウェイウッドだといいます。
これまで14戦中10試合で予選通過していますが、スタッツを見ると3試合前の「ニチレイレディス」からパーオン率が向上し前週の「資生堂・JALレディス」では53/72と全体の5番目の状態にまで上がって来ています。

ドライビングレンジのリ・ハナ
アイアンを見せてもらうと、PXG「0311 T GEN5」の刻印。ミーリングされたバックフェースには調整可能なウェートとタングステン、薄めのソール幅、フォームを充填した中空構造のクラブだということが見て取れます。構えた見た目はスコアラインの入り方やフォルムなどピンのアイアンとよく似ていて、ストレートでシャープな顔つきに見えます。
リ・ハナ選手は「スッキリとした顔でストレートでスクエアに構えやすい。打感は弾く感じで高さ、飛距離、スピン量が安定していて、飛距離も伸びたので2打目が楽になりました」と教えてくれました。

PXG「0311T GEN5」の7番アイアン
練習の様子を見ていると。軟鉄鍛造のボディに薄く反発力の強いフェースを合わせているせいか、打音は吸い付くような打音ではなく弾き感のある打音を響かせていました。それにしてもねじれのない弾道の連発で、前週のパーオン率5位のショット力の高さを見せつけられました。「弾き感がある打感なのにドローの幅や高さの打ち分けも難しくない、やりやすくなった」というから打ってみたくなりました。

クラブセッティングが整いパーオン率が向上してきたリ・ハナ
可変ウェイトのおかげで調整の幅も広いこともフィッティングに役立ったとリ・ハナ選手。「試合でいろんなウェイトを試しながら調整してきました。フィッティングがハマって先週はたくさんチャンスを作ることができました。でもパットが入らなくて(笑)」とショットが良くなればパットが入らないというのはプロでもゴルフの難しいところなのでしょう。
フェアウェイウッドは3W、5W、7W、9Wと4本体制で「0311ブラックOPS」を使用。高初速のフェース、カーボンクラウンにソール面にある3カ所の可変ウェイトが見て取れます。投影面積がやや大きくボールが上がりやすそうな印象です。

PXG「0311ブラックOPS」にマミヤOP「リンクレッド」の50g台のSシャフトを装着
シャフトはマミヤOP「リンクレッド」の50g台のSフレックスを使用し、高弾道でねじれの少ない弾道を連発していましたが「実はUTがあまり得意ではないので9Wを入れています」とロフト24度の9Wをいれている理由を話してくれました。
ロフト24度というと5番UTに近いロフト角ですが、キャリーは170ヤード。風にも強くしっかりと落下角度を確保できるため、グリーンの想定したエリアに止められるようになったとも話します。これまではアイアン型UTを使用して来たそうですが、思ったよりランが出たため、落下角度の不足を補う9Wは大きな武器になっているようです。

ロフト24度の9Wはキャリー170ヤード
練習日はパットの改善に取り組み、長い時間練習グリーンで過ごすリ・ハナ選手。好調なショットにパットが噛み合えば今週は上位で戦う姿が見られるかもしれません。
写真/中村修