初日に66、2日目にコースレコードタイの65、3日目は72、最終日は69とトータル15アンダーまでスコアを伸ばした内田ことこ選手が初優勝を手にしました。2週間ほど雨も少なく乾いた風が吹いたことでフェアウェイは硬くランが出て、ラフまで転がるシーンも散見されていました。最終日はグリーンも硬く速くなったこともあり、手前のピン位置ではグリーン手前に着弾させてオンさせるマネジメント力も必要となっていました。

「ミネベアミツミレディス 北海道新聞カップ」を完全優勝で初優勝を飾った内田ことこ
内田選手は難しいコンディションの中でも出だしからチップインバーディを奪い、攻めるゴルフを貫きます。距離のあるパー4の2番でボギー、3番パー5でバーディ、6番のパー5でもバーディとし34で折り返します。打ち下ろしの10番パー4でバーディ、11番パー5では2オンを狙って手前のバンカーに入れると寄せきれずにボギーとするも、続く12番パー5ではバーディのバウンスバック。14番パー3でボギーとするも難しい15、16、17番をパーで切り抜けると、距離のある打ち上げの最終18番では会心のドライバーショットから7番アイアンでグリーンを捉えます。6mほどのウィニングパットを沈めると笑顔があふれ地元北海道の地で完全優勝で初優勝を手にしました。

最終ホールのウィニングパットを決め笑顔があふれた
初日、2日目の貯金を3日目にパープレーで耐え、初優勝のかかる最終日の緊張の中で69とスコアを伸ばし、初優勝を手にした裏には、コンビを組んだベテラン島中大輔キャディの存在は大きかったと思います。
優勝会見では、調子は悪くないのに予選落ちが続いていて考え過ぎていたと思っていたところ島中キャディに指摘されたと話し、「今週は、考え過ぎないように決めたら構えてそこで振るというのを毎ショットいい続けてくれて。自信を持ってやり切れたのが大きい」と島中キャディとのコンビで初優勝を手繰り寄せました。

コンビを組んだベテランの島中キャディからの「考え過ぎない」アドバイスを4日間貫いた
最終ホールの2打目でも島中キャディの話す言葉にうなづく姿が見られましたが、ホールアウト後に島中キャディに話しを聞くと「左奥のピンで左からの風フォロー、あの場面で6番は危ない。6番を見せておいて7番で打つように勧めました」と161ヤードを7番アイアンでしっかりと打たせ、バーディフィニッシュを引き寄せました。風やライ、番手間の距離など考え過ぎずにシンプルに「何ヤードを打てばいいだけだから」という島中キャディのアドバイスをこの4日間を通してやり切れたことは内田選手の2勝目へとつながっていくことでしょう。
苦手なことに取り組んでいることはありますか? と聞いてみると「低い球を打つのが苦手であんまり好きではなくて、今年は抑えるショットをいつもより多めに取り組んでいて、今週は風が強かったので役に立ちました」と苦手なことにも地道に取り組んで来た成果が出たようです。
ギアを見るとウッドはスリクソン「ZXi LS」ドライバーと同じく「ZXi」3Wの2本。女子では珍しくアイアン型UTの「ZXi UT」の3番(20度)と4番(23度)をセット。5番アイアンは「ZXi5」、6番~PWは「ZXi7」とコンボにしています。ウッド型のUTだと左へのミスが多く、今季開幕してからメーカー担当者に勧められて打ってみるとその不安が解消されたといいます。

スリクソン「ZXi」シリーズで揃えたクラブセッティング。女子には珍しくアイアイ型UTの3番と4番をセットする(写真/中村修)
シンプルに決めた距離を構えて打つことを貫いた「心」、風の中で生きた低く抑えたショットの「技」、毎週月曜日には負荷をかけたトレーニングに取り組む「体」に自分のプレースタイルにマッチした「ギア」と共に戦った島中キャディや地元の声援など勝つための準備がすべて整ったことで持てるポテンシャルを発揮し手にした初優勝。内田選手の2勝目も近いのではないでしょうか。
撮影/有原裕晶