打感はもちろんいいけど、それ以上にスピン性能に驚いた
試打を担当したのは岩﨑桂介プロ。初代発売当時からボーケイを使い続け、その性能を良く知るプロの一人だ。

岩﨑桂介(いわさき けいすけ)。1978年生まれ。ボーケイひと筋のツアープレーヤー
――打つ前に、まずは見た目の印象はいかがでしょう。
岩﨑 ものすごくデザインがシンプルですね。ここまでシンプルなものは、いまだかつてなかったんじゃないですか? いかにも“フォージド”という感じでカッコいい。
――それでいて、ヘッドの中にはチタンとタングステンが配置されていて、番手ごとに最適な重心位置を実現しているそうです。

シンプルなデザインの「ボーケイ フォージド」。番手ごとに異なる配分のタングステンとチタンが内蔵され、SM10同様、最適な重心位置を実現している
岩﨑 うーん、外観からはまったく想像できません。
ボーケイ フォージドは日本専用設計なので、SM10と形状も少し異なりますね。ややグースが入っていて、ボールを包み込む感じ。ロフトが52度より小さいものでは、刃のストレート感が強くなってスクエアに構えやすくなっています。

ややグースが利いた形状は、日本専用設計のボーケイ フォージドならでは。最新作ではトップブレードが薄くなり、リーディングエッジのストレート感が増している(画像は58度)
――ボーケイ フォージドの形状は、ボブ・ボーケイ氏も大のお気に入りらしいです。では、打っていただいて印象を聞かせてください。グリーンサイドから58度(Kグラインド・バウンス08)でお願いします。
岩﨑 まず打感ですが、フォージドらしく軟らかいですね。ボールがフェースに“乗る”感じが強い。それはスピンにも表れます。ピンまで15ヤード程度の短い距離でも、2バウンド目でキュッとブレーキがかかる。
――確かにすごいスピン性能ですね! 見ていて楽しくなります。

低めの打ち出しで、トン、トン、ピタッ! とブレーキがかかる
岩﨑 ボールが“低め”に出て、キュッと止まる。スピン性能はかなり高いです。スピンミルドの溝とミーリングが進化していることがわかります。
「K」を愛用してるけど「B」もいい!
SM10にはないグラインドやバウンスの設定があるのもボーケイ フォージドの特徴。今回特徴的な「K・08」と「B・06」を打ち比べた。いずれもロフトは58度。

Kグラインド(左)とBグラインド。いずれもワイドソールだが、Bは開いても使いやすいように大きく削りが入っている
――次はグラインド違いの2本を打ち比べていただきます。Kグラインドの58度は、新たに8度のミッドバウンスになりました。それからボーケイ フォージドだけに展開されているBグラインド。こちらの58度はバウンス角が6度です。
岩﨑 同じく15ヤードの距離で58度のKから行きましょう。普段からKを使っているので、なじみがあります。ソール幅が広く、バウンスの効果がはっきりと感じられ、ボールの手前から入っても、ソールが滑ってくれるので安心です。コーライ芝はボールが浮くので、潜りすぎない大きめのバウンスが効果的ですね。やさしくオートマチックに打っていけます。ラフからだとこの滑る感じがより強くなって、ボールの下を潜って飛ばない、みたいなことがまずないです。

ラフからでもしっかりボールを前に飛ばしてくれるKグラインド
――続いてBグラインドをお願いします。
岩﨑 Bも幅広ソールだけど削りが入ってバウンスは小さめ。フェースを開いても、地面に対してリーディングエッジの浮きが少ないので、技を使いやすいグラインドです。Kと比較すると、明らかにバウンスの当たる感じは減るので、ソールの抜け感を味わえます。フェースを開くことでバウンスを利かせて、少し打ち込む感じでもいい。それでも飛びすぎることがないので緩まず打てます。ラフでも飛びすぎることがないので思い切って打っていける。普段、飛びすぎを怖がって緩んでミス、ということが多い人、またアプローチで技を使いたい人に最適と思います。
バンカーでも打ち比べたが、ここでは砂質や量の違いによって、使い勝手が変わるという。

Bグラインドは、砂を薄く取ってスピンをかけるなどコントロールしやすい
――Bグラインドのほうが、より安定しているように見えます。
岩﨑 普段、Kを使ってるんですけどねー。やはり、軟らかくて砂の量が多ければKの爆発力が効果的ですし、砂が少ない、あるいは開いて薄く砂を取ってスピンをかけていくというようにコントロールしたい人はBがいい。打ってはっきりしましたがBグラインドって使い勝手がいい。今日を境にBにしようかなと思います。
距離を伸ばしてピンまで70ヤードの地点からもテストした。
――フルショットに近い距離ですが、いかがでしょう。
岩﨑 まずKですが、バウンスの当たりを感じて、ボールが前に行く感じが強いです。下を潜ってしまうポッコンのミス出がにくいですね。Bはボールをきれいに拾っていける。フェースに乗りながら前に飛んでいく、運ぶ感じが強いです。同じ力感で振っても、KよりBのほうがボールがゆっくり飛んでいくので、シャープに振っても飛びすぎない。Bグラインドの思い切りよく打っていけるところが気に入りました!

58度Kグラインドでのショット

58度Bグラインドでのショット。上のKグラインドのボール位置と比べてゆっくり飛んでいるのが見て取れる
52度の「M」グラインド、かなり使い勝手がいい!
岩﨑プロが「ぜひバッグに入れたい」というのが、52度のMグラインドだ。

52度には従来Fグラインドしかなかったが、今回のボーケイ フォージドでは52度に人気のMグラインドがラインナップされた
――続いて今回から加わった52度のMグラインド。新しいボーケイ フォージドだけのラインナップです。
岩﨑 ソールにしっかりと削りが入っているので、フェースを開いて使いやすいですね。ただロフトが立っている分、開いてもある程度前に飛んでくれるので、グリーン周りからショートするようなミスは起こりにくいです。一番いいなと思ったのは、40~50ヤードといういわゆる半端な距離のアプローチです。
――それはなぜでしょうか。

52度のMグラインドは、「フェースを開きやすいので、56度の役割も担ってくれる」という岩﨑プロ。小さな振り幅で打て、かつ低めの弾道で距離も合わせやすい
岩﨑 私もそうですが、52度、58度というウェッジの組み合わせの人は多いと思います。ただそれだと、寄せづらい距離が出てきます。私の場合はそれが40~50ヤード。低めの弾道のほうが距離感を出しやすいのですが、52度ではランが増えて止めきれませんし、58度だと距離に対して振り幅が大きくなるので打ち損じもある。そんな時、中間のロフト(56度)が欲しくなるんです。その点、52度のMグラインドなら少し開いてロフトを増やせば、56度の代わりを務める。1本で2本の役割を担ってくれる、そんな感じです。これはウェッジを増やす余裕のない人に、ぜひお勧めしたい。
あとこれはすべてのロフトに共通している点ですが、リーディングエッジ側のソールに削りが入っています。これによって、ライが悪くてもボールの下にしっかりと刃が入っていくので、抜けが良く、狙った距離を正確に打っていける。小さな工夫ですが大きな効果がありますね。

リーディングエッジ(向かって左)側のソールが削られていることで、ライが少々悪くてもボールの下にしっかりとヘッドが入っていく
46度のラフからの性能に惚れた
最近は男子プロを中心に、アイアンのPWを抜いて、46度、48度といったウェッジを入れる選手が多い。ボーケイ フォージドにももちろんラインナップされている。その使い心地もチェックした。
――最後に使用する選手が増えている46度を試していただきます。ちなみにプロは46度を使っていますか?
岩﨑 私はアイアンのPW派ですが、この46度はリーディングエッジのスクエア感が強いので、アイアンからの流れを感じて違和感が少ない。フェアウェイから打ってみると、アイアンよりもゆっくり飛ぶ雰囲気。アイアンのPWはショット感覚、ウェッジの46度はアプローチ感覚、そんな違いがあります。
――ラフからも試していただきましょう。

短い番手かつラフという引っかかりやすい状況でも、46度のウェッジならそのミスを抑えれるという
岩﨑 46度のウェッジ、ラフからすごくいいですね! アイアンと比べた時に一番の違いは、抜けの良さ。芝の中をスパッと抜けていくので、引っかける心配がありません。ですので、ラフからでもターゲットに対してラインを出していけます。アイアンとは違う溝や重心の効果もあるんでしょう、飛んだり飛ばなかったりという距離の誤差も極めて少ない。このラフからの性能を考えると、PWの代わりに入れる選手が多いのもうなずけます。
試打の結果、「46度・F」、「52度・M」、「58度・B」がとても気に入ったという岩﨑プロ。
1打にこだわるゴルファーなら、日本専用設計の『ボーケイ フォージド』の他とは違う性能を一度試してみて損はないだろう。
[ワンポイントアドバイス]
こう打とう! フェースに球が乗るウェッジショット
ウェッジで振り幅が大きくなると、ボールの下を潜りやすいという人へ、岩﨑プロがワンポイントアドバイス。
「ボールの下を潜る、いわゆるポッコンになりやすい人は、インパクトで右肩が下がっていることが多いです。フェースにボールを乗せるように打つには、右肩が高いまま回ること。右サイドに軸を設定し、それが傾かないように振ることを意識してください。下を潜るようなミスが減って、距離感が合ってくるはずです」

右肩を下げないように回転する

右肩が下がるとボールの下を潜りやすく、距離感が出ない
PHOTO/Tsukasa Kobayashi THANKS/小見川東急ゴルフクラブ