小祝さくらには、夏の思い出があるようでない。いや、ないようである。「そうですね……何年か前に海に行ったんですよ。『夏だから海に行きたい!』と張り切って行ったはいいものの、結局暑すぎて、砂の上で日傘を差して、ただそこにいるだけで過ごしました。大気も暑すぎてむせるし、日焼けするのもいやだし。すごく張り切って行ったわりには全然何もせず帰ったという感じの思い出とか」
まるで印象派の絵画のようである。「そういえば、昨夏は沖縄の大会のときに(竹田)麗央ちゃんと海に行ったんですけど、あのときも暑すぎて、水もぬるくて。しかも沖縄だからめっちゃ綺麗だと思って行ったのに、雨が降ったからか、ちょっと茶色かったです」。そうして唐突に、「あと、私は花火大会があまり好きじゃないんですよね」と、美しい夏の思い出を期待する我々の思惑とは違う言葉を放つさくら。
「飽きるんですよ。音楽に合わせた花火なんかは、けっこう好きなんですけど、音楽がないものもあるじゃないですか。そういうのは見ていると飽きちゃうんです。1時間ずっとやったりしますよね。そういう大きい大会だと、だるくなっちゃうんです。たまに、いつ終わるかわからないような花火大会ありますよね」と、相変わらずの〝ちょい毒〟を吐きながら、「あ、でも、綺麗だなあと思ったことはもちろんありますよ」
お祭りなどに思い出は? 「そうですね……全然行く機会がないですけれど……そういえば学生時代は、学校の隣にある神社の夏祭りみたいなものに、友達と毎年、行っていました。〝型抜き〟をしたり」。小さなお菓子の板に描かれた絵柄を、針やつまようじなどを使い、綺麗に抜き取る遊びである。
「意外にもめっちゃ難しいんですよ。でもきちんとできるとお金をもらえるんです。300円くらいもらったことがあるかも。でも、基本は上手くいかなくて」。ときどき昭和の〝かおり〟を出してくる小祝さくらである。

今季初勝利!7年連続12勝目(7月18~20日の明治安田レディス)。夏の思い出はやっぱり「ゴルフで優勝」
「あとは、腕相撲大会にも出ていました。しかも、女子の部で優勝しましたよ。中学時代ですね。賞品は……お米でした。お米一袋。今なら、すごく貴重ですからね(笑)。でも必需品だし、絶対に使うものですし、もらってありがたいですよね」
現実的で堅実な、素敵な夏の思い出をありがとう。しかし相変わらず、予想以上の回答が返ってくるさくらである。今年の夏は、どんな思い出を重ねていくのだろうか。(※小祝さくらプロは、現在左手首痛の回復に努めています。元気な姿でのツアー復帰に期待しています)

「お祭りに浴衣なんか着ていってませんよ~面倒でしょう」と笑うさくら。昨夏の海は竹田麗央とトレーニングウェア姿で楽しんだとか
※週刊ゴルフダイジェスト2025年8月12日号〝ゴルフときどきタン塩〟より(Ph/Shinji Osawa)