
杉澤キャディが注目ホールというセッジフィールドカントリークラブの最終18番H(PHOTO/Getty Images)
ウィンダム選手権は、まさに生き残りをかけた最終決戦の場となる。70位以内に入れなければ、プレーオフシリーズへの出場権を失い、この段階では来季のシード権を得ることができない。そのため、多くの選手が、持てる力を全て出し切って、この大会に臨むことになるだろう。
またこの大会は、プレーオフ進出をかけた戦いだけでなく、年間を通して好成績を収めた選手に贈られる『コムキャストビジネスツアートップ10』の最終結果も決定する大会でもある。ランキング上位の選手は少ないものの、トップ10入りをかけて熱い戦いが繰り広げられるかもしれない。
舞台となるセッジフィールドカントリークラブは、ドナルド・ロスが設計した名門コースである。
「セッジフィールドカントリークラブは“パインハーストの産みの親”とも呼ばれるドナルド・ロスが設計したコースで、ロスの設計思想が随所に散りばめられています。コースの距離はそこまで長くないですが、巧みな設計によってPGAツアーのトッププロたちが翻弄されていく姿に注目です!」
セッジフィールドカントリークラブは、グリーン周りの難易度が高く、ショートアイアンの精度が重要となる。
「グリーン周りは難しくなっています。根っこが強いバミューダ芝からのボールコントロールは、トッププロでも苦労するはずです。ボールが沈んでいるのか浮いているのかの計算もしにくいので、場合によっては空振りする選手もいるかもしれません」
杉澤さん注目のホールは、バックナインに集中している。
「セッジフィールドカントリークラブではバックナインに注目して見ると面白いと思います。中でも11番、14番、18番ホールがおすすめです。11番ホールはコースの中で3番目に難しいホールです。ティーショットの落とし場所が見えず、左は深いラフ、グリーン左側は断崖絶壁という難関ホールになっています。次に、18番ホールは通常パー5ですが、今大会ではパー4に設定されており、2番目に難しいホールとなっています。最後に、14番ホールです。このホールはコースの中で最も難しいホールです。落とし場所が見えない上に、左ドッグレッグホールなので、ターゲットが作りにくくなっています。最後まで目が離せません」
今大会には、松山英樹プロ、久常涼プロ、金谷拓実プロ、大西魁斗プロの4人の日本人選手が出場を予定している。

杉澤キャディが注目する日本人の2人。久常涼(左)と金谷拓実(右)だ
「金谷選手が先週7位に入り、シーズン途中から好調になってきて、それが結果に結びついてきました。金谷選手がこの大会でどんな結果を出すのか期待が高まります。一方、私が注目しているのは久常選手です。彼は現在81位で、70位の方と91ポイント差なので、単独6位に入ることは必須になってきます。去年の彼はこの同じ大会で3位だったので、良いイメージがあるはずです。因みに今年も3位に入賞すると190ポイント入ります。セッジフィールドカントリークラブは日本と同じようにフェアウェイが狭いので、点で打っていくティーショットに集中しやすいと思います。ティーショットが安定しなかった部分はあるが、こういったコースの方が集中力を増すことができるのではないかと思います。パッティングも良いイメージがあるはずですし、グリーン周りは得意なので心配していません。ぜひ久常選手に注目してみてください!」
久常プロは、バンカーからのパーセーブ率が非常に高いことでも知られている。
「因みに久常選手は16回連続バンカー成功中で、バンカーに入ってもパーをセーブしています。PGAツアー選手の中で2位という記録です」
プレーオフ進出をかけた戦いは、ランキング上位の選手たちだけのものではない。70位前後の、いわゆる「オンザバブル」にいる選手たちにとっては、まさに生き残りをかけた戦いとなる。
「今回のウィンダム選手権は、オンザバブルの選手たちにとって、まさに運命をかけた戦いとなります。彼らがどんなプレーを見せてくれるのか、私も非常に楽しみにしています。実況・解説でも、彼らの動向を詳しくお伝えする予定ですので、ぜひ注目してください」
セッジフィールドカントリークラブで繰り広げられる、生き残りをかけた熱い戦い。果たして、どのようなドラマが生まれるのだろうか。
U-NEXT 木村真希
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