
リシャール・ミルチャリティトーナメントでツアー3勝目を挙げた池村寛世(撮影/姉崎正)
リードしていた河本力を「64」で大逆転

「後半すごくパッティングもアプローチも入ってくれた」という池村(撮影/姉崎正)
最終組の1組前でホールアウトしていた池村は優勝が決まると、昨年5月に結婚したキャディの妻・琴音さんに手を引かれ、走ってツアー仲間が待つ場所へ急いだ。到着すると待っていたのは祝福のウォーターシャワー。それを琴音さんと一緒に全身で浴び「気持ちいい!」と感慨に浸った。
優勝インタビューで喜びを言葉にした。
「すごくビッグスコアが出るコースなのでチャンスはあるかなと思った。後半すごくパッティングもアプローチも入ってくれたし、運も味方してくれて、最後もいいパーを拾えたので、本当に満足のいくプレーでした」
首位の河本に3打差でスタート。前半で2つスコアを伸ばして迎えた最終日バックナインで異次元のプレーを披露した。13番パー4で4メートルのバーディパットを沈め、残り255ヤードを7Wで2オン成功の14番パー5は手前から12メートルのスライスラインを読み切ってイーグルを奪い、この時点で単独首位に浮上。15番パー4は第2打をグリーン奥エッジに外したが、10ヤードのアプローチをチップインバーディ。この直前に首位に並び返してきた河本をすぐに突き放した。さらに16番パー4はティーショットを得意の直ドラで打ち7メートルを決めてバーディ。後半勝負どころの4ホールで5つもスコアを伸ばし優勝を引き寄せた。
「すべてがうまくいったような感じでした。プレッシャーがあったわけでもなく、気持ちよくゴルフしていたら長いものも入ってくれたり、ミスしたところもアプローチが入ってくれたりと、すごく流れがよかったって感じですね」
林の中からスーパーショットを披露

林の中から5Wでスーパーショットを放つ池村(撮影/姉崎正)
18番パー5は直ドラを多用する「わざ師」の面目躍如だった。第1打を右の林の中へ曲げ、第2打は林の中で左足上がりのベアグラウンドという難しいライだったが、この状況であろうことか5Wで強烈なカットをかけるという「離れ業」を披露。ボールは予定通りにスライスし右ラフで止まった。第3打はグリーン左奥に外したものの、アプローチを50センチに寄せてパーセーブ。最後までスキを見せず、この時点で単独トップでホールアウトした。
「(18番の)セカンドショットはすごくいい前が開いていたところだったので、運はまだ味方してくれているのかなと思った。グリーンの70、80ヤード手前に置ければ完ぺきかなと思ったんですけど、ちょっと曲がりすぎちゃって。でも、自信持ってアプローチもできたので、すごくいいパーをセーブできたと思います」
後半の大爆発はガッツポーズを封印するメンタルコントロールが奏功した。
「自分にプレッシャーをかけないようにあまりガッツポーズをしないように決めていた。PGAツアーの選手はガッツポーズをしないしバーディを獲ってもケロッとした感じなので、何がきても自分のメンタルを平常心に持っていくために最近は意識していました」
キャディで妻の琴音さんと"初栄冠"

キャディの琴音さんと昨年結婚。結婚後は初の栄冠となった(撮影/姉崎正)
優勝は2022年のASO麻生飯塚チャレンジトーナメント以来3年ぶり。琴音さんと結婚後は初の栄冠となった。
「キャディをしてもらっていて、去年結婚して、いい順位にいながら落として、なかなか気持ちよく試合を締めくくれないというのが2人で話していた課題だった。こういうタイミングで勝てたというのは、今回は課題をクリアできた試合だったと思います」
琴音さんにはキャディとしてだけでなく内助の功にも感謝した。
「僕はほぼウィークリーマンションみたいなところを借りることが多くて、キッチンがついているところで食事をサポートしてもらったりして、本当に恵まれているなと思います。結果で返すことしかできないので、今年は絶対勝ちたいと思っていた。とりあえず日本ツアーで1勝できて、複数回優勝のチャンスはあるので、頑張っていきたいなと思います」
3年ぶりの優勝で今後の目標もうれしい上方修正だ。
「海外に行きたい気持ちがすごく強い。そのためにも今後モチベーションを上げて頑張っていきたい。LIVの選手はすごくレベルが高いし、自分もそこで戦いたいというのがすごく強くて。先輩の香妻(陣一朗)くんもこの間優勝争いして刺激になっているので、自分もそこで戦いたいと思います」
目標は日本ツアーの頂点にとどまらず世界の一流選手。琴音さんとの二人三脚でさらなる高みを目指す。