「MT-28」「MTIウェッジ」など数々の名器を世に送り出し、日米両ツアーで多くのプロ支給品を手がけたクラブ設計家、宮城裕治氏が流行に惑わされないクラブ選びとクラブ設計の真実をクールに解説。今回はチタンFWが飛ぶ理由と選び方を教えてもらった。
画像: 「ELYTEチタニウム」「Qi35ツアー」「G440LST」と各メーカー、チタンヘッドのFWが出ている

「ELYTEチタニウム」「Qi35ツアー」「G440LST」と各メーカー、チタンヘッドのFWが出ている

チタンなら何でもいいわけではない

みんゴル取材班(以下、み):キャロウェイの「エリートチタニウム」、テーラーメイドの「Qi35ツアー」、ピンの「G440LST」などチタンヘッドのFWが出揃い、もれなく飛ぶと評判になっています。飛距離を求めるならFWもやっぱりチタンですか?

宮城:その通りです。チタンのFWは女子プロにも高く評価されています。ただ、男子プロには飛びすぎて使いづらいようです。キャリーで280ヤードも飛んでしまったらレイアップもできないからです。

み:ふつうのおじさんゴルファーとしては飛びすぎ大歓迎。使ってみたいです。ちなみにチタンFWが飛ぶのはフェースの反発性能が高いからですか?

宮城:もちろんそれもありますが、影響が大きいのは重心設計です。ステンレスと同じ体積のヘッドをチタンで作ると余剰重量が60グラム以上できます。最近のヘッドはそのウエイトをソールに配置して重心を低くしています。そのおかげで薄めの当たりでも初速が出るし、球が上がってキャリーで飛ばせます。それがチタンFWの一番のメリットといっていいでしょう。とくにヘッドスピードの出ないアマチュアには救世主といっていいでしょう。

み:ドライバーはチタンになってからどんどん大型化して曲がりにくくなりました。FWが小さいままなのはなぜでしょう?

宮城:地面のボールを打つFWはちょっとでもライが悪いと芯に当たらなくなってしまうのでそこまで大きくすることはできません。一時、200ccを超えるメガサイズの3Wが出てきましたがすぐに廃れました。

み:FWが苦手なのでますます欲しくなりましたが価格がネックです。「G440LST」は定価が10万円超えでドライバーと変わりません。中古で探すのはありですか?

宮城:もちろんありですが、見極めて欲しいのは余ったウェイトをどこにどう配置されているかです。アマチュアの場合、一番大事なのは重心が低いことです。昔の一体鋳造のヘッドは内部に箱を作ってそこにウエイトが収まっています。重さが一箇所に集中するためヘッド単体の機能は優れていても振りにくいものもあります。その点、いまの組み立て式のヘッドは上手に作られています。「SIM2」や「ステルスプラス」はウェイトがソール全体に配置されているので重心が低く、振り心地の違和感も小さくなっています。ただ、「ステルス2プラス」のようなスライディングウェイトはポジションによってダフりやすくなるので要注意です。

み:チタンなら何でもいいわけではないということですね。

宮城:ウェイトの配置もソール全体だったりフェース寄りだったり様々。それによってヘッドの挙動がまったく変わるので、新品でも中古でもそのクラブを実際に振ってみることをおすすめします。

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