
「ISPS HANDA夏の決戦・誰が一番強いんだトーナメント」で7年ぶりの8勝目を挙げた小平智(撮影/姉崎正)
17番で会心のイーグル

同組の池田勇太と握手する小平(撮影/姉崎正)
優勝インタビューで小平が声を弾ませた。
「いや、ホントうれしいですね。なんかやっぱり今までで一番うれしいと思いますね」
この日は首位との3打差を追いかけて最終組の4組前でスタート。前半で3つスコアを伸ばして迎えた12番で残り145ヤードの第2打をPWで5メートルにつけてバーディを奪った。これでエンジン全開。ここから4ホール連続でバーディを奪い、一気にトップを捕らえると、圧巻は558ヤードの17番パー5だった。ピンまで残り265ヤードの第2打を3Wで手前3メートルに乗せ、会心のイーグルを奪取。ホールアウトした時点で単独首位を守り、最終組の大岩が第3打をカップに入れられなかった瞬間に優勝が決まった。
「10番で18番にあるボードを見て、岩田寛さんがそのときトップに立っていて、いつも仲良くさせてもらっているので、やっぱやる気が出たというか、そこでスイッチが入ってまだこれからだという気持ちに切り替わったのが本当よかったです」
優勝決定後はその岩田が祝福のハグをしてくれたという。
「寛さんが抱きついてくれて『おれが泣きそう』と。それを聞いて泣きそうになりました」
今大会の優勝で複数年シードゲット

今大会の優勝で複数年シードゲット(撮影/姉崎正)
2018年に米ツアーのRBCヘリテージを制し、これをきっかけに米ツアーに本格参戦。昨季中盤からは主戦場を国内に移したが、賞金ランク53位にとどまった。2023年にはコーチでもあった父・健一さんを亡くし、公私ともに岐路に立たされていた状況で、この優勝の持つ意味は大きい。
「(優勝報告は)一番は両親に。父には届けばいいですけど……。母に一番に報告したいですね。アメリカで苦しい時期を過ごして、母親も近くで見てくれていたので、すごい心配性でうっとうしいときもあったけど、一番は母親に報告したいです」
この優勝は松山英樹の力も借りていた。今年6月のプレーヤーズチャンピオンシップ・サトウ食品後、心身のリハビリのため渡米。フロリダ州の自宅でゴルフ漬けの毎日を送る中、松山とも3日間一緒に練習した。
「そのときに『(小平さんは)今まではこうでしたよね』と。ショットの(アドバイスの)ことは秘密ですけど、無意識にできていたことができなくなっていたということです。(松山には)すぐ(米ツアーに)戻ってくるからなと。彼はずっと待っていてくれると思う。この優勝は自分の力だけではなかったと思うので、みんなに感謝したいです」
この優勝で米ツアー復帰への気持ちもおのずと高まった。
「(米ツアー復帰は)ずっと思っています。ずっと戻りたいと思っています。この歳から(下部の)コーンフェリー(ツアー)挑戦は難しいと思うので、QTで5位以内を目指したい。この優勝で(日本ツアーの)複数年シードが確定したので、今年も挑戦しようと思います。(国内ツアーの目標は)ないですね。アメリカを見て育ってきたので、日本のことはあまり見ていない。今回は優勝できてアメリカに挑戦できるというのが一番大きいですね」
この優勝を弾みに再び世界を目指す。