
PGAツアー初優勝、2025年年間王者に輝いたトミー・フリートウッド(撮影/岩本芳弘)
司会者:2025年フェデックスカップチャンピオン、トミー・フリートウッド選手をツアー選手権のインタビュー室にお迎えします。目まぐるしいフィニッシュでしたね。今の気持ちはいかがですか?
トミー・フリートウッド:ええ、良い気分です。良いですよ。ええ、誇り、安堵、幸福……色々な感情が入り混じっています。おそらく、まだしばらくは実感が湧かないでしょう。勝利はしばらく実感が湧きません。でも、なんて素晴らしい一日だったのでしょう。
Q:バックナインでは、ホールとホールの間、ショットとショットの間をたくさん歩く時間がありました。特に(19アンダーで頭ひとつ抜けていた)15番に向かって歩いている時、頭の中では何を考えていましたか?
トミー・フリートウッド:そうですね、僕は自分のスウィングを完全に失ったように感じていました。(初ボギーの)5番から少し不安定になりました。ラウンドの出だしは本当に良く、安定していて、すべてを正しくやっていたと感じていました。それから、5番と8番で本当にひどいミニドライバーショットを打ちました。スウィングを少し失い、タイミングを失い、トランジションも失って、(2度目のボギーである)10番では大きなフックを打ってしまいました。それ以来、僕の集中はすべて、リハーサルに、リハーサルを少し変えたり、テンポを変えたり、トランジションを見つけようとしたりすることに向かいました。僕の集中はすべてそこに向かいました。
どんなにその瞬間に集中しようとしても、ゲームの浮き沈みは常に意識しているものです。ここ数週間、惜しいところで優勝を逃してきた中で、僕が本当によくやってきたことの一つは、終盤の数ホールまでトーナメントで本当に良いプレーをすることでした。それから15番ティーまで歩いて、そこに立つ必要があります。以前も言いましたが、僕は15番のショットが本当に苦手なんです。アングルが目に合わないんです。非常に、非常に難しいショットです。あのスウィングができたことには本当に満足しています。
僕は自分のスウィングがどうなっているかに集中し、すべてをマネジメントしながら、正しいことをしていると感じようとしていました。それには、自分の期待、過去にうまくいかなかったことで忍び寄る疑念、そして、ラウンドが進むにつれて僕にとっての扉がどんどん開いていくという現実に対処すること、それらすべてが含まれていました。
Q:このプロセス全体を通して学びがあったと話していましたね。特にここ数週間、何度も何度も立ち直ってきた中で、自分自身について何を学びましたか?
トミー・フリートウッド:誰でも自分が粘り強い、立ち直れる、戦う心を持っていると言うのは簡単だと思います。しかし、実際にそれを証明しなければならない時とは違います。精神的な強さには様々な種類があります。僕は、トーナメントの土壇場で明らかに間違ったことをしてきましたし、たまにひどい決断をしたり、悪いスウィングをしてしまったりしました。
しかし、僕は違う形で精神的な強さを持たなければなりませんでした。何度うまくいかなくても、どれだけ疑念が忍び寄ってきても、再び自分を上位に置くという粘り強さを持たなければなりませんでした。正しいことを考え、自分自身に正しいことを言い聞かせ、外面的にも正しいことを言う。そして、正しいことをすべてやり、ただ続ければ、それは実現する、という証明になれたことを本当に嬉しく思っています。
Q:今だから聞きますが、(PGAツアー優勝が)惜しかった時、優勝は決してできないかもしれない、と思ったことはありましたか? そういう瞬間はありましたか?
トミー・フリートウッド:いや、特に。ほんの少しの考えが忍び寄ることはあります。でも、僕は……PGAツアーで優勝できないとは決して感じませんでした。でも、常に疑念はあります。しかし、僕はいつも自分を信じていました。ドアを叩き続け、自分を上位に置き続け、良いプレーを続け、すべての惜しい経験から学び、それを次のトーナメントや、次のチャンスに活かし続けるんです。何が起こるか見てみましょう。最も多く勝つのは……僕はいつも、最高の選手たちが何をしているかを見て、それを真似しようとするのが良い方法だと感じています。彼らと同じくらいうまいかどうかは別の話ですが、彼らが何をしているかを見て、できる限り真似をするんです。
最も多く勝つのは、それだけ多く優勝争いに加わっている選手たちだと思います。彼らはいつもそこにいます。それが僕のいたい場所です。上位にいたいんです。この初優勝を達成するのに時間がかかりました。僕は一度勝つことだけを目指しているわけではありませんでした。いつも複数回勝ちたいという心構えを持っていました。たくさん勝ちたいんです。ただ、最初の優勝に時間がかかったようです。次の優勝も時間がかかるかもしれませんが、分かりません。
でも、僕はいつも「世界最高の選手の一人になりたい、優勝争いに加わり続けたい」という心構えを持っていました。それがいつか実現するだろうと常に感じていました。
Q:必死に頑張っているのに、なかなか結果が出ないスポーツ選手たちにとって、この話から得られるより大きな教訓は何だと思いますか? あなたは彼らにとってのインスピレーションになるでしょう。
トミー・フリートウッド:ええ、人には様々な形でインスピレーションを与える方法があると思いますが、僕の……、どんなに大きくても小さくても、僕のインスピレーションの物語は、粘り強さと、自分をそういう立場に置き続けようとする努力の物語でした。うまくいかない時、一番簡単なのは、少しふてくされたり、しばらくそれが自分に影響するに任せたりして、それからまた戻ることです。言い訳を使うこともできます。でも、僕はうまくいかなかった時や、優勝を逃した時、あるいは誰かに打ち負かされた時、いつも「またそこに行きたい。もう一度自分にチャンスを与えたい」と言い続けてきました。
僕はそれができたと感じていますし、人々も……、当時はただやっているだけでしたが、人々はその側面を評価してくれたのだと思います。人々は、僕が常にただ頑張り続けようとする姿勢を、非常にポジティブに捉えてくれたのだと思います。
繰り返しますが、僕が今、そうなって本当に良かったと言うのは簡単ですが、もし今日それが起こらなかったとしても、僕は同じことを言ったでしょう。「またチャンスが欲しい。また戻って練習して、また頑張る」って。僕はそれを証明する機会を得ました。ただ続ければ、それは起こりうる、ということを。それが僕の物語だと思います。
Q:世界最高の選手、あるいは最高の選手の一人になりたいと話していましたが、そのためにはアメリカで勝つことから始めなければならない、あるいはそれを進めるために勝つ必要があると常に感じていましたか?
トミー・フリートウッド:それは間違いなく、誰もが踏み出したいキャリアのステップだと思います。僕は誇りに思っています……。勝ったかどうかにかかわらず、長い間プレーしてきたレベルの一貫性を常に誇りに思っていましたし、そのことに多くの誇りを持っていました。
でも、PGAツアーで勝つことは、僕が本当に踏み出したかったステップでした。何も必要ありませんが、僕はそれが欲しかったんです。それをやりたかった。
繰り返しますが、この一つの勝利が、惜しい経験の物語を完結させ、シーズンの終盤に向けて積み上げてきたものに最高潮をもたらしました。しかし、家に帰ったら、また練習を始めます。また練習し始め、次のトーナメントに目を向けます。
常にそういう側面があります。僕はここにいる選手たちと競い合うことを非常に誇りに思っています。PGAツアーでプレーできることを非常に誇りに思っています。これらのイベントに出場し、これらの素晴らしい選手たちとプレーできることを非常に誇りに思っています。
でも、PGAツアーで勝つことは、僕が踏み出したかったステップでしたし、次の勝利までこれほど時間がかからないことを願っています。
Q:トラベラーズ選手権とメンフィス(フェデックス・セントジュード選手権)での経験(ともに最終日首位スタートしたものの1打差で敗れる)から学び、今日に活かしたことは何ですか?
トミー・フリートウッド:ポジティブな側面がネガティブな側面よりも多かったと思います。そして、トーナメントの最後の瞬間に至るまで、僕はたくさんの良いことをやったのだ、ということを学びました。
トラベラーズでは、いくつかの決断を間違えたり、クラブ選択を間違えたり、最後に少し乱れたりしました。トラベラーズの18番ホールは、僕にとって最悪の展開になりました。あれは僕が手放したように感じますが、同時にキーガンが勝ち取ったとも感じています。彼の功績を否定するつもりはありません。
メンフィスでも、繰り返しますが、直近の出来事を見ると、僕はたくさんの良いことをやりました。パットの調子は良かったし、必要な時にうまくリカバリーしました。日曜日は良いプレーができて、3ホールを残して再びトーナメントをコントロールしましたが、トーナメントを締めくくるのに必要なショットを打てませんでした。
でも、僕は自分のやった良いことの多くを学び、今日もまた他の日と非常に似た形でスタートしました。
ただ、経験を積み続け、自分をその立場に置き続ける必要がありました。今日は素晴らしい仕事ができたと感じています。言ったように、自分をリセットしなければなりませんでした。今日は簡単ではありませんでした。楽な展開ではありませんでした。ラウンドの途中でスウィングを失いました。本当に不安定でした。
トーナメントで優勝しようとすることと、シード権を維持しようとすることのプレッシャーは違うと思います。違う種類のプレッシャーです。どちらが大きいか少ないか言うつもりはありません。ただ違う種類のプレッシャーです。優勝争いに加わり、ゴルフトーナメントで勝とうとすることは喜びです。
でも同時に、頭の片隅にいる小さな悪魔に対処しなければなりません。疑念が忍び寄ってきます。間違えたことを思い出し、また同じ間違いをしたくないと思います。そして、自分にポジティブなことを考えさせなければなりません。
僕は、特に15番、16番、17番で良いスウィングをして、良いショットを打つことに集中する、という良い仕事ができたと思います。あのスウィングのリズムには本当に、本当に満足しています。それに頼ることができました。
経験を積むにつれて、いつかうまくやれる時が来ますし、僕は今日、それができました。
Q:息子さんのオスカーは、あなたよりもずっと感情的になっていたようですね。それは、人々がどれほどあなたに勝ってほしいと思っていたかについて、何を物語っていると思いますか? そして、なぜ皆はあなたのことがそんなに好きだと思いますか?
トミー・フリートウッド:オスカーは感情豊かな小さな子です。イタリアでのライダーカップの時、シングルスを終えてコースから歩いてきた後、彼が最初に見た人でしたが、その時も彼は涙を流していました。
僕は、僕を囲む家族と愛、そして得られるサポートに恵まれているので、物事がうまくいっても、うまくいかなくても、すべてがずっと楽になります。今日何が起こっていたとしても、僕は18番ホールを歩き、オスカーが僕をハグしてくれ、家に帰り、すべてが素晴らしかった、すべてが大丈夫だったでしょう。
(もしまた敗れたら)僕はがっかりしたでしょうし、僕たち全員が少しがっかりして傷ついたでしょうが、それでも人生は素晴らしいでしょうし、それは決して当たり前のことだとは思わないようにしています。
なぜ皆が僕のことをそんなに好きだと言うのか? 僕はいつも、人々と良い繋がりを作ることができて幸運でした。もし子供たちに一つアドバイスをするとしたら……、たくさんのアドバイスがありますが、僕はいつも「まず良い人間になりなさい」と伝えています。僕はいつもそれをやろうと努めてきました。父も、若いアマチュアゴルファー、プロゴルファーだった頃から、いつも僕にそう言ってくれました。いつも「まず人間であれ、次にゴルファーであれ」と言っていました。まず良い人間であること。その後に何が起こっても、良いゴルファーであろうと努めることです。僕はいつもそうであろうと努めてきました。
Q:あなたの人気は、あなたが耐え忍んだ厳しい敗北の結果だと思いますか?
トミー・フリートウッド:間違いなく、PGAツアーでの優勝を目指す僕の姿に、人々は惹きつけられたのだと思います。僕がやろうとしてきたことの多くは……、まず自分自身に正しいことを言い聞かせます。惜しいところで終わった時に、自分を非難したり、状況を悪化させたりはしません。自分自身にポジティブな影響を与えたいんです。
僕がやりたいことは、再び優勝争いに加わること、世界最高の選手たちとプレーすること、そして最高のトーナメントで勝つことだと知っています。もしネガティブな態度を持ったり、ひどい態度を取ったりしたら、それはできません。
僕はすべてに対してポジティブであろうと努め、内面的にも外面的にも正しいことを言います。そして、人々が僕の言うことや僕の態度を気に入ってくれたのだと思います。
繰り返しますが、子供たちのことにも触れますが、僕がそうなってほしいと願っているのはそういうことです。再び言いますが、粘り強いと言うのは簡単ですが、粘り強くなければならない時はもっと大変です。僕はその側面を自分自身で示す必要があったことを幸運だと感じています。それが報われ、勝てたことを幸運だと感じています。
でも、優勝争いに加わっている時の、僕の周りにあった熱気は素晴らしかったです。ここ数週間、ここ数カ月、この一年、僕は信じられないような、非常に安定したゴルフをプレーしてきました。しかし、あの熱気と、ここでのサポート……、最後の数ホールで、人々が僕の名前を叫んでくれたり、肩に乗せてくれたりしたのは、非常に、非常に特別な気持ちでしたし、決して当たり前のことだとは思わないでしょう。
Q:18番グリーンでの感情はどうでしたか? かなり大きな叫び声を出していましたね。どのような気持ちだったか、教えてください。
トミー・フリートウッド:まずは「よし、一息つこう」という感じでした。今回はようやくそれをやり遂げられたという安堵と、一つ勝つことだけを目指すのではなく、複数回勝つことに向けて進めるという安堵でした。
でも、素晴らしいです。最後のホール……、バックナインでは本当に良いショットを打っていましたが、それは常に大きな努力でした。僕には何の「流れ」もありませんでした。本当に一生懸命努力しなければなりませんでした。僕が経験してきた多くの惜しい経験を考えると、パー5でティーショットを完璧に打っても、3打差のリードがそれほど大きなものには感じられません。
だから僕は……そして、最後の2、3ホールでは、トーナメントの浮き沈みをなんとなく感じることができました。扉がどんどん大きく開いていきました。ようやく僕の番が来たように見えましたが、先走るわけにはいきません。それでもショットを打つ必要があります。
ただ、続ければ可能だということを示せたことを誇りに思います。僕を応援してくれた人がたくさんいたのと同じくらい、僕を疑っていた人もたくさんいたでしょう。正しい態度で、続ければ良いことが起こるということを証明できたと思います。
Q:疑念が頭に忍び寄ってくることがあると話していましたが、それらが来た時、あなたはそれらを認識するように学びましたか? それとも消そうとしますか? どのような戦略ですか?
トミー・フリートウッド:それはただの感覚です。ただの考えです。それらが、あなたのプレーや次のショットに影響を与える必要はありません。しかし、それは起こっている他のどんなことと同じくらい現実です。
それが来ることを、それが起こることを、あなたはただ学ぶんです。次に優勝争いに加わる時、また疑念を抱くでしょうし、それに対処します。ポジティブな考え、自信のある考えもあれば、疑念もあります。それが現実です。あるがままです。
一番大変なのは、惜しい経験が多すぎた時です。疑念が……、通常よりも多くの疑念が生まれます。
言ったように、常に自分自身に正しい言葉をかけ、常に正しいことをしようと努めます。感覚は感覚です。ゴルフボールは何も知りません。ただ、良いスウィングをするように努めるだけです。
Q:すべてが終わった今、私たちがあなたの初優勝について質問しなくなることを、どれくらい嬉しく思いますか?
トミー・フリートウッド:そうですね、その物語が終わってしまったのは残念です(笑)。
変な話ですが、それが続いている間は楽しんでいました。でも、将来もっと多くのことについて話せることを願っています。このすべてを振り返り、改めて言いますが、自分を繰り返しているような気がします。僕は、立ち直るために見せなければならなかった強さ、そして、粘り強ければ、そして自分をそういう立場に置き続ければ、それができることを示せたことを誇りに思うでしょう。
振り返った時、子供たちや、ゴルフやスポーツを目指している人たちに、粘り強さを見せることや、厳しい敗北から立ち直り、努力し続けること、そして再び自分をそこに置くために使わなければならないスキルについて、心から話すことができることを、僕は本当に本当に嬉しく思います。そして、僕がそれが可能であることの証明になれたことを。
その話をしなくなるのは寂しいですが、何ができるかについて人々に話せるようになることは嬉しいです。

キャディのイアン・フィニス(右)とはジュニア時代からの付き合いだという(撮影/岩本芳弘)
Q:多くの惜しい経験の後、キャディを替える人もいるかもしれません。あなたの相棒がそばにいてくれたことはどうでしたか?
トミー・フリートウッド:ええ、もちろん。フィンノも自分自身に疑念を抱いたことはあったと思います。人々が、あなたが上達するために何が必要か、何をすべきか、どうやって取り組むべきか、と考えるのは自然なことだと思います。僕は人々が言うことに、感情的に深く関わることはありません。その多くはサポートから来ていると思います。人々はあなたの成功を願っているんです。
でも、僕の場合、たくさんの良いことをやってきましたし、うまくいかなかった時もたくさんありました。僕たちが何かを間違えたか、誰かに打ち負かされたか、あるいは何か別の理由です。でも、そこにたくさんあったポジティブなことにも目を向けなければなりません。悪いことよりも良いことのほうが多かったんです。ただ、あと一歩が足りなかっただけです。
でも、ここ数週間、僕はすべての選手がティーオフしたいと思っている場所にいました。たくさんの良いことがありました。素晴らしい……、18番を歩いているのは素晴らしかった……。彼と一緒にもっとそれを楽しみたかったのですが、僕はその18番を乗り切ろうと、精神的な繭の中に閉じこもっていたので、頭を下げて、集中して、仕事をやり遂げようとしていました。
彼ともっと楽しめればよかったですが、最後のグリーンでその瞬間を分かち合いました。観客は素晴らしかったです。フィンノがその写真を永遠に手に入れられるように助けることができましたし、それは僕たち2人にとってチームとしてのもう一つの達成です。
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