
中島邦宏(左)
なかしまくにひろ。福岡県出身。1993年生まれ。今季からACNツアーに本格参戦。常に全力で振り切るスウィングがツアー仲間の話題になっている。ACNツアー開幕戦で4位に入るなど優勝が期待される知る人ぞ知る逸材
成冨晃広(右)
なるとみあきひろ。福岡県出身。1995年生まれ。2021年に大山どりカップ(当時のABEMAツアー)でツアー初優勝。現在は足首の手術のリハビリ中だが福岡市内のアイズゴルフスタジオでレッスンを行う
スウィングの注意点
GD お二人はプロになる前、一度ゴルフから離れていたそうですね。
中島 そうばい、建設労働者やっとったよ。
成冨 オレは総合格闘技。
GD そこからプロになるってスゴイですね。
成冨 詳しい理由はまだ言えんばい(笑)。まあ、飛ばすコツがわかったからプロになれたんだ。要は振り切るコツだわ。
中島 インパクトで当てようとしたらダメ。逆にヘッドが走らん。そのために“軸”の意識を変えたんだ。
GD 軸の意識をどう変えたのですか。
成冨 斜めに傾ける。
中島 ボールと頭を結んだ軸で回転する。打ち出し角が高くなって飛ぶんだ。
成冨 左右に体を揺さぶる体重移動すると軸がブレて体が速く回転できんよ。
GD ということは、右傾き軸打法ってことですね!
成冨 アッパー軌道っていうけど違う。軸が斜めだから見た目はアッパーなだけでアッパーに振ってる意識はないね。
中島 だから左右の体重移動なんて意識はない。さらにフォローで右足とヘッドが引っぱり合う遠心力が発生するからスウィングプレーンもゆがまんばい。だから勝手に振り切れて飛んで曲がりにくいんだ。
プロたちは実際にどのように振っているのか?
軸を右に傾けて右足重心で振る
左足に乗りながらインパクトすると体の回転が止まってしまうという中島と成冨。軸を右に傾けて右重心のまま回転するからフィニッシュまで一気に振り切れる。もちろん体重移動の意識もいらない。

1本軸で回るだけだな
実際のスウィングはこちら↓
始動の注意法
GD 右側へ軸を傾けると右足に体重が乗りやすいですよね。
成冨 体重の意識いらんよ。右に傾いた1本軸に対して回転するだけ。体重がどうこう意識してたら速く体が回転できん。
中島 正直、右に軸が傾けば右足荷重になるけど、成冨の言うように体重移動の意識は持ったらダメだね。始動のとき、オレはテークバックからトップで胸の前に腕を下ろすスペースを作る意識がある。というのも、ダウンスウィングでクラブとヘッドがスムーズに振り抜ける空間を確保したいからね。
GD どうすればいいですか。
成冨 胸を回すこと。あと手元をできるだけ体から離して回転すること。
中島 胸の前で四角い箱を抱えているような感覚を持つといいかも。右に体重移動したらヘッドが振り抜けないから大スライスとかなるから気を付けて。
成冨 右に軸が傾いているから、手元を体から離して胸を回転させる意識を強く持たないと、トップで体の右側のスペースが作れないのは間違いない。そのためにも体重移動の考えを捨てて、右に傾いた軸を中心に体を回転する意識を持つことが大切。
中島 右傾き軸で振れれば、遠心力を起こしやすいし打ち出しが高くなるから絶対飛ぶからな。
胸の前に空間を作る
右スライドは百害あって一利なし
右に体重を乗せようとすると、その時点で体の回転が止まってしまう。回転ができないと手打ちになってしまうため、ヘッドスピードを出しづらく、さらに手をコネる動きが大きくなるので曲がる可能
性が大きくなり良いことはない。

胸を回すとばい

腰を左右にうごかさない
右重心のまま回転するから、遠心力が利用できて手打ちにならない
地面からのパワーを回転に変える
体重移動してスウィングすると、地面を踏み込む力が使いにくいので体の回転スピードを上手く出
すことができない。右に傾けた軸を中心に回転する意識があれば、足(特に右足側)を踏ん張る意
識が勝手に出てくるので、体の回転力がアップしてヘッドスピードが上がり飛距離につながる。

体の回転力がアップ
胸を回せば振り遅れのミスがなくなる
テークバックは胸を回す意識を持つと手元と胴体の間の空間が潰れないので、ダウンスウィングで手元が詰まることなく振り切れる。逆に空間が作れないと、インパクトで体が起き上がりヘッドが走らず振り遅れのミスにもつながる。

体重移動を意識すると体を左右に揺さぶって振る動きになるので、回転スピードを抑えてしまいヘッドスピードが上がらない。さらに手打ちになりやすくミスショットの原因にもつながるという
▶「右腰を後ろに引け」が正解! 叩き上げコンビが教える、軸を保ち遠心力を生む「体の使い方」【中島邦宏&成冨晃広の傾き軸打法②】
PHOTO/Hiroaki Arihara
THANKS/玄海ゴルフクラブ
※週刊ゴルフダイジェスト9月2日号「傾き打法」より一部抜粋