小祝さくらは、毒舌である。そのおっとりした雰囲気からは意外にも思える。
たとえば、ラウンド中にシャンクが出たときの対応について聞くと、「シャンクですか……たまにプロアマなんかでも聞かれるんです。『何でシャンクは出るんですか』とか、『どうやったら直りますか』って。でも、わからないんですよ。わかることといえば、とりあえずフェースの根っこに当たっていること。だから、芯に当てる練習だったり、打点シールを貼ったりしてチェックしていくしかないんですよね。実は私も前はシャンクがけっこう出ていて、年に3、4回出たこともあるし、昨年はなぜか出なかったんですけど、今年はダイキンで一度出ました。こんな感じで、プロだからといって、シャンクが絶対出ないというわけでもないんです。でも、別に原因を追求したりはしないです」と流れるように語って、その言葉には、少しずつ〝毒舌感〟が増していく。
「『めっちゃシャンクが出る!』って聞いてくる方がいるんですけど、そういう方ってだいたいスウィングが個性的だったりします。もちろんスウィングが綺麗だったらシャンクなんて出ないことが多いですし、結局何か絶対に理由があるんですけど……とにかくまあ、練習あるのみなんです。基礎や基本的なことからきちんと始めて、スウィングを改善するしかないと思います」ときっぱり。練習の虫である小祝が言うと説得力がある。
ラウンド中に急にシャンクが出たとき、とにかく止めたい場合のアドバイスを聞くと、さらに毒舌ヒートアップ! 「対処法は、ないです。そういうときは、諦めたほうがいいかもしれない(笑)。皆さん、すごい理想の球を求めてプレーしますけど、物理的に厳しい人もけっこういるんですよね。なんだか自分の求めるものや理想が高すぎて、皆さん、自分の実力が伴っていないので。あんまりこんなこと言ったら申し訳ないんですけど……」といったんトーンダウンするも、止まらないさくら。

「私もシャンクが出ることはあるんです。そこであまり考えすぎないことが大事です」
「まあでも、とりあえずフェースに当たって、グリーン周りにいけばいいじゃないですか。まずそういったことから始めて、スコアを作っていくという感じで。皆、最初から、プロみたいな球なんて打てないですよ。特にアマチュアの方は練習もそんなにできないでしょうし。だから、まずは〝欲〟を捨てて、自分の今の状況をしっかり理解して、着実に少しずつ進歩していけたらいいと思いながら、毎日、少しずつ前に進めたらいいんだと思います」
「はい、わかりました」と周りは妙に納得してしまう。でもなぜか腹は立たない。小祝さくらの毒舌は、ゴルファーに「愛のある」毒舌なのだ。(※小祝さくらプロは、現在左手首痛の回復に努めています。元気な姿でのツアー復帰に期待しています)
※週刊ゴルフダイジェスト2025年9月16日号〝ゴルフときどきタン塩〟より(Ph/Shinji Osawa)