
写真左は蓼科高原CC、右は富士見高原GC
長野県茅野市にある蓼科高原CC(運営はアルピコリゾート&ライフ)と、隣接地域の諏訪郡にある富士見高原GC(運営は富士見高原リゾート)。両社はこのほど地域資源の有効活用と観光振興、持続可能な地域社会の実現に向けて、包括連携協定を締結したと発表した。
協定を呼びかけたアルピコリゾート&ライフによれば、それは両社が有する観光施設や自然資源、人材などを相互に活用しながら、広域的観光圏の形成と地域活性化を目的としている。具体的には観光商品の共同開発、プロモーションの連携、人材交流など多岐にわたる分野での協力を想定しているという。同業による戦略的連携で生まれるシナジー創出に期待しているとも。
きっかけとなったのは、リニア中央新幹線の開業が予定されていることだ。JR東海が当初予定していた品川~名古屋間の2027年の開業は遅れるが、リニア中央新幹線山梨県駅(仮称)は25年内の着工が予定されている。甲府市内の南に位置する大津町に建設が予定されている新駅は東京からわずか25分とアクセスが良い。したがって諏訪湖や八ヶ岳といった長野県を代表する観光地の玄関口となることが予想され、新たな観光需要を期待できるチャンスというわけだ。
ライバル会社であるにもかかわらず同協定を結んだ理由を、ゴルフ場経営コンサルタントの菊地英樹氏が次のように解説する。
「首都圏と違い、お客を取り合う関係ではない。それより"エリア"自体を知ってもらい注目してもらわねばという共通認識があると思います。この地区は長野県でも軽井沢より知名度はやや低い。しかし軽井沢より標高が高く、夏場でも涼しいという利点があります。それにエリアでタッグを組めば宣伝効果も個別で出費するより高くなると思います。これからの観光資源の開発によっては軽井沢に匹敵するようなリゾートに発展するかも……」
蓼科高原CCは1963年開場。18ホールの設計はアマの名手、三好徳行。9ホールのアドバイザーは青木功。標高は1200m。一方、富士見高原GCは開場1974年。標高1300m、夏の平均気温24℃。設計は梅沢弘の手になる18ホール。いずれも高原にふさわしいリゾートコースである。夏にぜひ訪れたいゴルフ場であろう。
※週刊ゴルフダイジェスト2025年9月16日号「バック9」より