23年に札幌でプレ大会、24年に第1回大会を開催し、今年で2回目となる本大会。男子は、ケント州立大、ジョージワシントン大、ロングアイランド大(以上アメリカ)、メイヌース大(アイルランド)、韓国合同チーム、国立体育大(台湾)、日本大、早稲田大、東北福祉大、東海大九州、専修大、中京大(以上日本)の12チームに加えて個人戦で中央学院大1名、女子はカリフォルニア大ロサンゼルス校(UCLA)、ハワイ大マノア校、南メソジスト大(以上アメリカ)、欧州合同チーム、韓国合同チーム、国立体育大(台湾)、日本大、福井工業大、東北福祉大、法政大、明治大、大手前大(以上日本)の12チームに加えて個人戦で駒澤大1名が参加した。
台風15号の影響で残念ながら最終日は中止。しかし、ゴルフを通じた国際交流は、選手のみならず、部員やコーチ・監督たちの心にも鮮やかに残ったようだ。

6月の全国大学ゴルフ対抗戦に続きペア優勝した日大。「このチームのいいところは常に前向きということ。何打離されても励まし合って高め合っています」(市村)
2日間の試合の結果は、団体戦は男女とも日本大が優勝。男子の2位は4打差で東北福祉大、女子の2位は1打差でUCLA。
日大はキャプテンの小林大河が腰痛で欠場したが、弟・翔音たちが力を結集。「いつも練習させてもらっているコースで優勝できたので本当によかったです」(小林翔音・2年)。「選手一人一人が1打1打を大切にした結果だと思います」(市村杏・4年)
近年アメリカなどで増えている“ミックス競技”として行われた個人戦は、男子の最上位が田村軍馬(東北福祉大3年)、女子の最上位が茶木詩央(明治大2年)。

田村軍馬はこの後、日本オープンの最終予選、ベイカレント・クラシックの予選会にも出場。「今回のよいプレーを生かして通過できるように頑張りたい」
「個人戦を取ることができてすごく嬉しい。ピンチといえるピンチは2日間で2ホールくらい。ストレスの少ないゴルフができました」(田村)

茶木詩央はこの結果で「NOBUTA GROUP マスターズGC レディース」の出場権を獲得。「練習に励んで臨みたい。団体戦でも、秋のリーグ戦があるので、優勝を目指したいです」
「2日目はショットがよくて全ホールでパーオンでき、18回バーディパットが打てたのがよかったです」(茶木)

コースでもパーティでもキュートなUCLAのメンバーたち。ホームズコーチのご主人(スティーブ氏)は日本のシニアツアーに参戦するプロゴルファー。「皆で日本の文化も楽しんで、いい経験ができました。富士山も見えたし、わらび餅やしゃぶしゃぶが美味しかったです」(ホームズ)
さて、今年初出場したUCLAのコーチ、アリシア・アム・ホームズ氏に話を聞いた。昨シーズンはスタンフォード大に敗れるも全米2位となった強豪女子チーム。スタートしたばかりの新チームで来日した。
「とても楽しみました。コースは狭くてチャレンジングな部分があり、メジャーの試合のような難しさもありましたね。でも日本の選手は曲がらないし、ショートゲームが上手いと選手とも話をしていたんです。コーチはどういう教え方をしているのか聞きたいですね。そして何より楽しかったのは、日本はもちろん、アイルランド、スウェーデン、台湾、韓国、いろいろな国のコーチや選手とコミュニケーションがとれたところです。“おもてなし”ホスピタリティも素晴らしかったです」
大会を主催するUGSL(全日本大学ゴルフスーパーリーグ)の国際顧問を務めるレックス倉本氏は、「アメリカはGCAA(全米ゴルフコーチ協会)の協力も得て、またヨーロッパは昔からアメリカとの交流戦があり、その関係で日本に興味がある方々に声をかけてもらいました。もちろんアジアにもお声がけして、今回は韓国と台湾のチームが来日しました」
韓国チームには、日本ツアーで1勝のリ・エスド、台湾チームには、同4勝のウェイ・ユンジェが、それぞれコーチとして帯同。
「この大会は、国際大会で技術を磨くことはもちろん、大学在学中から学生が交流することによって、彼たち、彼女たちの先々の人生に何らかの役に立つと考えているんです。この試合に参加した選手が、世界で活躍する選手、プロゴルファーになるだけでなく、選手を派遣する立場になったり、スポンサーになったりして、つながっていくことを信じています。ちなみにフェアウェルパーティは、日大ゴルフ部の学生さんがすべて準備しているんですよ」とレックス氏は学生たちの交流に目を細める。
コースでは真剣に戦いながら交流の糸口をつかみ、そしてその糸は太くつむがれ、また何本にも分かれていく。そして、共存こそが発展につながる。
日本大ゴルフ部監督、和田光司氏は、「日本のゴルフ界は国際化が遅れている。もっと大学が頑張らないといけません。アメリカの大学のコーチも、世の中に対してゴルフのプレゼンスはまだまだ低いから大学が頑張らなければとおっしゃっていました。大学ゴルフの世界一を決める試合があってもいいと思っています。どんどん若い人のためにやっていかないと、ゴルフ界がダメになると思うのです」と警鐘を鳴らしていた。

試合後のフェアウェルパーティーでは、実行委員長の堀太陽の挨拶に大きな拍手が浴びせられ、試合に出られなかった小林大河もカンペなしの流暢な英語でご挨拶。最後はビンゴ大会で大盛り上がり!
今後もパンパシフィック大会は毎年開催し、さらには4年に1度の大学ゴルフの「ワールドカップ大会」にもつなげる予定。27年に日本で行うプレ大会を経て、29年アメリカで第1回ワールドカップを開催する予定だという。
選手たちはもちろん、コーチも大会も少しずつ成長していく。
写真/スポーツニッポン新聞社、UCLA