「MT-28」「MTIウェッジ」など数々の名器を世に送り出し、日米両ツアーで多くのプロ支給品を手がけたクラブ設計家、宮城裕治氏が流行に惑わされないクラブ選びとクラブ設計の真実をクールに解説。今回は球の曲がりを防ぐためのドライバー選びについて設計家と考えてみた。
画像: 「飛ばしたい」よりも「曲がりが怖い」ゴルファーに合うドライバーとは?(写真はイメージ)

「飛ばしたい」よりも「曲がりが怖い」ゴルファーに合うドライバーとは?(写真はイメージ)

3つの「過ぎず」が大切

みんゴル取材班(以下、み):ドライバーでもっと飛ばしたいという願望はもちろんありますが、ドライバーが曲がり始めるとゴルフになりません。「飛ばしたい」より「曲がりが怖い」ゴルファーはどんなドライバー、スペックを選ぶのがいいでしょうか?

宮城:球を曲げないためのポイントは、クラブの長さ、ヘッドの大きさ、ロフト角の3つです。一番に見直して欲しいのはクラブの長さです。いまのドライバーは45.5から46インチくらいありますが、スチールシャフトが出た頃は43.5インチが標準でした。当時と比べて2インチか2インチ半長くなりましたが、アイアンはその間に0.5インチしか伸びていません。

み:ドライバーの長さだけが突出してしまったわけですね。

宮城:ヘッドの大型化に伴い長尺化してきたわけですが、それにしてもいまのドライバーは長過ぎます。アイアンの長さを基準に考えたら44.5インチくらいが適当で、ドライバーが苦手な人には45インチ以内がおすすめです。

み:長尺は振り遅れるイメージがありますが、短くすることで実際にどんな恩恵を受けられますか?

宮城:ボールとの距離が近くなることです。スイングプレーンがアップライトになり軌道が安定してミート率が上がります。球が左右に散る人はまずシャフトを短くしてみて下さい。

み:その場合、単純にシャフトをカットするだけでいいですか?

宮城:たとえば半インチ短くすればD2バランスがC9くらいになります。

み:少しバランスを上げた方がいい?

宮城:シャフトが1グラムほど軽くなりますが、ヘッドの重さ自体変わりません。そこでバランスアップのためにヘッドを重くするとせっかく振りやすくなったクラブがまた打てなくなってしまいます。C6を切るようなら少しバランスを上げた方がいいけれど、それ以上であればそのままのバランスでかまいません。要は曲げたくないホールでグリップを余らせて握るのと同じことです。

み:ヘッドの大きさはどうでしょう。体積が大きく慣性モーメントが高いほど球は曲がりにくくなると思いますが。

宮城:必ずしも460ccがやさしいとは限りません。ヘッド体積や慣性モーメントは一定の数値を超えると、球の曲がりを抑える効果は横ばいになるという竹林隆光さんの研究データがあります。ヘッド体積は440cc、慣性モーメントでいえば4000g・㎠もあれば十分。逆に数値が大きくなりすぎることでヘッドが戻らない弊害も出てきます。とくに球が右に飛ぶ人は460ccでもディープフェースで投影面積の小さいヘッドを選ぶといいでしょう。

み:なるほど。ミニドライバーに一定の需要がある理由も納得できます。3つめのポイントですが、ロフト角も左右の曲がりに影響しますか?

宮城:アマチュアはロフトの立ちすぎたクラブを選ぶ傾向があります。PGAツアーでヘッドスピードが50m/sのプロでも10.5度を使うのに、アマチュアが9度はあり得ません。女子プロが9度を使うのはランを稼ぐのとインサイドからアッパーに振っているからです。ふつうのアマチュアは12度とか13度でもいいと思います。

み:ロフトがあるとスピンが増えて球が余計に曲がりませんか?

宮城:まったく逆です。キャロウェイの初代「グレートビッグバーサ」を覚えていますか?

み:もちろん。使ったこともあります。当時のドライバーとしては抜群にやさしくて売れるにも当たり前だと思いました。

宮城:「グレートビッグバーサ」が評価された理由はリアルロフトが大きかったからです。測ってみると10.5度表記でも12.5度から13度くらいありました。当時のヘッドは重心も高くそのおかげでバックスピンが入りやすく、その分サイドスピンが減るので左右の曲がりが少なかったんです。球が上がってキャリーも伸びるので、アマチュアにとっては正しく飛んで曲がらないドライバーでした。

み:ドライバーで球を曲げない極意は「長過ぎず」「大き過ぎず」「立ち過ぎず」ですね。

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