
東京都港区のゴルフスクール「広尾ゴルフインパクト」のインストラクター・後藤悠斗プロ
「頭を動かさない」。ゴルフスウィングの教えでよく言われることだが「実はこれ、基本的に意識してやってはいけないことなんです」と後藤は言う。
「昔から言われていることですが、レッスンしていて『頭って動かしちゃダメだと思ってました』って言われることは未だに多いですね。
人間って体の中心に頭があって、しかも重いんです。成人の頭は体重の約10%と言われています。頭の重量が占める割合が大きいということは、頭の位置でいわゆる軸とか重心の位置も決まってくるわけです。
例えば5:5の重心配分で構えたとしましょう。このとき頭の位置は真ん中にありますよね。で、バックスウィングの過程で体重が右に乗るということは、頭も絶対に右に動くはずなんです。つまり、そもそも頭が動かないとスウィングとして成り立たない傾向が強いんです。
もちろん頭が動き過ぎるのも良くないですが、かといってまったく動かさないも極端という話ですね」(後藤、以下同)

頭の重量は体重の約10%を占めている。ということは頭が動かないとスウィング中の体重移動もできない
そして頭の位置で重心の偏りが生まれるということは「『頭を動かさない』と『体重移動』は共存しえないんです」と後藤は続ける。
「頭が動かないと体重って移動しません。だから両方を同時にやるのは不可能で、無理にやろうとした結果スウェイといった様々な良くない動きが起きてしまいます。
特に100切りくらいを目指していて、かつレッスンに通ってない方だと、ゴルフの先輩にちょっと手ほどきを受けるみたいなこともあると思います。そういう方が『頭を動かすな』と『体重移動しなきゃダメだ』を同時に言われる可能性って多いにあり得るので。この2つが共存しないということだけは気をつけてほしいですね」

「頭を動かさない」を極端に実践すると写真のようにスウェイしてしまう
もちろん打ち方のひとつとしてほぼ体重移動をしないから、頭も動かないということはある。
「基本的にスタックアンドチルト系の打ち方……構えた段階から重心を左に寄せておいてずっとキープしているというパターンです。とくにアイアンショットとかだとそうなりがちですよね。そういった打ち方をしたいという明確な意図を持って頭を動かさないなら良いんです。
けれども『よく言われるからなんとなく動かしてない』はダメです。で『頭は動かしちゃいけない』って思っているのに『体重移動もやんなきゃ!』 は一生できないし、いつまでも上手くならないから直ちにやめたほうがいいですね」