
大洗を20ランド前後経験してきた寺岡沙弥香(撮影/岡沢裕行)
●難セッティングが女子プロたちを苦しめる
大洗GCは太平洋に面するシーサイドコース。井上誠一の設計で難コースとして知られ、男子ツアーのダイヤモンドカップなどでは多くのドラマが生まれた。女子ツアーは初めての開催となる。6840Yパー72、フェアウェイ幅15~30Y、ラフは120~150ミリ、グリーンスピードは10フィートを超えるメジャーにふさわしいセッティングだ。
●心の部分がコース攻略のカギ
大会前日コースセッティング担当の山崎千佳代プロが今大会のセッティングとコースコンディションについて会見を行なった。
「大洗は難コースで、選手たちにとってはやりがいのあるセッティングです。ここ2年、選手の技術と飛距離の伸びを感じ、6840Yのタフなコンディションに仕上げました。心技体すべてがそろっていないとなかなか優勝争いに入っていけないコースコンディションです。技術はもちろんのこと、とくに『心の部分』、慌てず、焦らず、そして粘り強く4日間プレーできた選手が最終日優勝争いに加われると思います」
コース攻略のポイントに「心の部分」を挙げた。
●森口祐子プロがルーキーたちの躍進を予想

テレビ解説の準備で週刊ゴルフダイジェストの「井上誠一特集」を読んで、大洗GCについてチェックしていた森口プロ。大洗でプロテストを戦ったルーキーたちの躍進を予想していた(撮影/岡沢裕行)
決勝ラウンドでテレビ解説を行うツアー41勝の森口祐子プロが山崎プロの言葉にうなずいた。
「大洗のような難しいコースでセッティングが厳しい状況で、心の部分は大きく影響します。コースを知っている選手たちは大きなアドバンテージ。今年活躍しているルーキーたちは昨年ここでプロテストを戦いました。ある選手は『プロテストよりフェアウェイが広く見えます』と話していましたが、プロテストの緊張感から解放されて、心の余裕が生まれるので、上位で戦うルーキーたちが出てくるかもしれません」
第1ラウンドは言葉通りの展開になった。
●吉田鈴はマネジメントに自信

2ラウンド目の18時時点で2アンダー暫定10位タイの吉田鈴(撮影/岡沢裕行)
第2ラウンドをイーブンパーで回り、2アンダー暫定10位タイの吉田鈴は22年と昨年、大洗でのプロテストを経験している。
「思い出しますね。キーホールは5番、6番、7番の3ホール。6番は左からの風で、左は崖で右がラフで、右ラフに行っちゃうとパーかボギーになってしまうホール。きちんと左の崖に打ち出して、真ん中のフェアウェイに打てた。そこらへんを知らないと右に行ってしまうのでよかったです」
何度も回ってコースを知り尽くした自信が、心の余裕となっていた。
●寺岡沙弥香は「知ってるぞ、得意だぞって」
第1ラウンド、第2ラウンドともに1アンダーの71で回り、吉田と同じく11位タイで週末に向かう寺岡沙弥香は昨年トップ合格。吉田と同様、22年もここでのプロテストを経験。20ラウンドほど回っているという。
「ここは何十回と回っている、知ってるぞ、得意だぞって(自分を)だましながら、回りました」
2回のプロテストを経験したことで「いつものコースで回れてラッキーって感じです」と笑顔を見せるほど。「ドライバーに全集中。(ティーイングエリアに立って)キモッとちょっとでも思ったら刻む。心に刻んでやっています」と心の部分による大洗攻略法を語った。
●福田萌維は「焦らず、粘り強く」を実行

第1ラウンドをイーブンパーで終えた福田萌維(撮影/岡沢裕行)
第1ラウンドをイーブンパー20位タイの福田萌維は11位でプロテストに合格にした大洗経験者。
「スコアメイクが上手くできたので、2オーバーに行っても崩れることなく、持ち直すことができました。ドライバーでどこに打っていけばいいかという安心感があり、行ってはいけないところに行かないようにする対策ができます。外したところからリカバリーできるポイントもわかっています」
安心感から山崎プロがいう「焦らず、粘り強く」でスコアを持ち直すことができた。さらに「楽しかった。プロテストのときは必死で……。1打1打楽しく回れるというのが大きいです」と、難コース難セッティングの大洗で回る喜びを味わうほどだった。
第2ラウンドでは2つスコアを落としたが、暫定ではあるが41位タイにつけ、決勝ラウンド進出は確実。
●5位の小林光希は「いい気分でコース入り」
初日を4アンダー2位だった小林光希は22年の大洗でプロテスト合格。
「あのころを思い出して懐かしいなと。めっちゃ楽しみにしていました。何回か回っているので、ここって決めて打っていた。ダメなところも覚えています。いい気分で(大会に)入れました」
4アンダーはまさに気持ちよく回れた結果だった。第2ラウンドでもひとつスコアを伸ばし5アンダー5位で決勝進出。
2アンダー6位タイから第2ラウンドでもひとつスコアを伸ばした青木瀬令奈は、1月に藤田さいきとこの大会に臨むためにぷち合宿を敢行。4ラウンドし、コースを経験した。また第2ラウンドで大きくジャンプアップし、7アンダー2位で決勝ラウンドに進む金澤志奈は14年前に日本女子アマに出場。第2ラウンドを6アンダーで回り、4位タイに浮上した堀琴音も日本女子アマを経験している。
●大洗の強風に選手たちの底力が試される?
第1ラウンドを終えた時点で森口プロが予想した通りの展開になったが、大洗特有の強風はまだ吹いていない。そこで山崎プロが話した「慌てず、焦らず、そして粘り強く」が選手たちに問われることになる。
明日からの決勝ラウンドの選手たちの心の部分によるプレーは見逃せない。