チャイナツアーのシード獲得! 欧州下部ツアーなどの出場権も

優勝副賞はなかったがトロフィはプレゼントされたという。ただ持ち帰るには重すぎるため、宅配便で送ろうとしたところ、その料金はなんと3万円超え。「正直『えっ⁉』ってびっくりして……。でも記念なので震えながらお札を渡しました(笑)」(大関)
昨年の11月5日号の「週刊ゴルフダイジェスト」にて、「フィリピンツアー挑戦記」として紹介したプロゴルファーの大関翔。今年は中国で2019年から新たに発足したプロゴルフツアー「チャイナツアー」のQTを突破して出場していたが、出場5試合目となる陝西(せんせい)オープンでプロ初優勝を飾った。
日本人の後輩から祝福されるも表彰式後になぜか独りぼっちに

祝福のウォーターシャワーを受ける大関
優勝が決まった後、出場していた日本人6人からウォーターシャワーの祝福を受けた大関。「実はコースから空港までシャトルバスが出ていたのですが、それの最終が16時で。表彰式が終わったのが17時くらいで、みんな先に日本に帰っちゃってました。着替えたら大会関係者もいなくて、ひとりでタクシー呼んで宿舎に行って、無料の焼きそばで1人祝宴でした(笑)」
この優勝により、来季のシード権を獲得したのだが、秋に2試合ある欧州下部ツアーとの共催試合や来年春のDPワールドツアー(欧州ツアー)との共催試合である海南クラシックとボルボ中国オープンの出場権も獲得。日本ではツアーの出場自体が少ない38歳の苦労人が新しい道を切り開き、欧州ツアーに挑戦できることになった。
「チャイナツアーに挑戦しようと思ったのは年齢的にもう38歳なので、『欧州ツアーに絶対行きたい』という思いからではなく、日本のQTに失敗して出場できる試合がないなか、プロとして4日間大会に出場することで得られるものが多いと思ったからです。去年、フィリピンツアーに挑戦して、今年の出場権もありましたが、もっと高いレベルに挑戦したいと思って、チャイナツアーのQTを受験しました」(大関)
今回の優勝賞金は17万元(約350万円)。日本のACNツアーよりも高額で、1週間の出費自体はチャイナツアーも日本とそれほど変わらないという。
「日本の試合に出場すると、15~20万円くらいの出費がありますが、中国ではオフィシャルホテルに泊まれば1泊5000円くらいだし、食事もチャーハンが15元くらい(約300円)。飛行機代も合わせて20~25万円くらいなので、ACNツアーに出るのとそれほど変わらない。それに今回優勝したことで来年の欧州ツアーとの共催試合に出場できるし、チャイナツアーの年間ポイントランキング1位になれば欧州ツアーの出場権、2位なら欧州下部ツアーの出場権が得られます。実績もない38歳のオジサンが世界の舞台に挑戦できるんですから、夢があるとは思いませんか?(笑)」
ギャラリーも意外と多く国内外の有力選手も出場

世界ランクは3469位から1456位にジャンプアップした
「最終日最終組でしたが、50人以上のギャラリーがずっとついてきていたし、日本のACNツアーよりギャラリーは多いくらい。ただ、グリーンがかなり荒れていて、コースコンディションはそんなに良くないことが多いです」。この優勝で世界ランクは3469位から1456位に2000ランクジャンプアップした。
日本から欧州ツアー、そしてPGAへ。大関の優勝によって日本人プロの新たな海外挑戦の可能性が広がった。
写真提供/チャイナツアー