近年増加する”ミニドラ”愛用者。その理由は?
新しいカテゴリーとして注目を集めているミニドライバーは、ドライバーやフェアウェイウッドとは異なる要素を備えたクラブです。ティーショットでフェアウェイや狙ったエリアに確実にボールを置ける性能があり、コースマネージメントに有効なクラブとしてプロはもちろんアマチュアにも使用者が増えています。
特にドライバーが苦手なアマチュアにとって、コンパクトなヘッドと短めのシャフトレングスを持つミニドライバーは大きな武器となっています。ここでは、増加する使用者に向けてミニドライバーに適したシャフト選びを考えていきます。
そもそもミニドライバーってどんなクラブ?
ミニドライバーは、その名の通り通常のドライバーよりも小ぶりなヘッド体積が特徴です。代表的なモデルを見てみると、タイトリスト「GT280」は280cc、テーラーメイド「バーナーミニ」は304cc、「R7 クアッド」が305cc、キャロウェイ「エリートミニ」が340ccと、市場では280~340cc前後のモデルが中心です。

写真左からタイトリスト「 GT280」、テーラーメイド「バーナーミニ カッパー」、テーラーメイド「R7 クアッド」
ロフト角度は11.5度から13.5度程度が一般的で、通常のドライバーより大きめ。フェースはドライバーより薄く、フェアウェイウッドより厚みがあります。短い重心距離設計により、操作性の高さも大きな特長です。
今回検証に用いたのは2024年発売のテーラーメイド「バーナーミニドライバー カッパー」。体積304ccと、ミニドライバーの中で中間的なサイズに位置し、多くの使用者に選ばれているベンチマークモデルです。
【テストクラブ】
ロフト:11.5°
純正シャフト:UST マミヤ PROFORCE 65 S
長さ:43.75インチ
バランス:D3
振動数:239CPM

今回テストクラブとして採用したのはテーラーメイド「バーナーミニドライバー カッパー」
ミニドライバーに求められる大きな要素のひとつは方向安定性です。とくに縦の距離が揃いやすくなることで、セカンドショットを計算通りに狙いやすくなります。そのため、方向安定性を犠牲にせずマッチするシャフトを選ぶことが重要です。
とくに適しているのは、ドライバー用シャフトの中でもプロモデルのポジションにあるシャフトです。フジクラ「VENTUS」、グラファイトデザイン「TOUR AD」、三菱ケミカル「TENSEI」や「Diamana」、USTマミヤ「LINQ」などが代表格。これらはドライバーだけでなくフェアウェイウッドなど短いクラブにも対応できるよう設計されているため、短めのミニドライバーでもフィーリングが大きく崩れません。さらに、先端剛性が高めに設計されており、方向安定性に貢献します。
すでにドライバーでプロモデルを使っていてイメージが合っている方は、ミニドライバーにも同じモデルを選ぶのがベストです。切り返しからインパクトまでの感覚を統一でき、違和感が出にくいでしょう。重量はドライバーと同じでも良く、フェアウェイウッドに一段重いシャフトを入れているなら重量を上げても構いません。フレックスも同一で問題ありません。
吉田イチオシ「グラファイトデザイン TOUR AD DI」
数ある中で特にオススメしたいのはグラファイトデザイン TOUR AD DIです。理由は2つあります。

グラファイトデザイン「TOUR AD DI」がおすすめ
【1】ショートレングスに強い設計
ミニドライバーはBUTT側のカット量が多くなりますが、DIは手元剛性が高すぎないため、切り返しのタイミングが取りやすい特長をがあります。結果として高いミート率を維持でき、理想的なインパクトを導きます。
【2】先端剛性とフェアウェイウッド対応
先端部はしっかりしており、ティーショット時に当たり負けしません。加えて、最新のシャフトに比べやや低めの剛性設計が、フェアウェイからのショットでの拾いやすさを生みます。
【テスト結果(DI6S装着)】
クラブ長:43.75インチ
振動数:255CPM
実際に組んでみると、DI特有の手元のしなやかさは損なわれず、切り返しは容易。中調子ながら剛性変化が緩やかで、カット量が増えてもフィーリングは安定しています。先端剛性は十分で、しっかり厚いインパクトを実現。弾道は安定しており、打ち出しとスピン量のバランスが良く、縦距離を計算しやすい点も大きな魅力です。
扱いやすいミニドライバー専用シャフトもおすすめ!
一方で、プロモデルは少しハードルが高いと感じるアマチュアも少なくありません。そのような方には、コンポジットテクノが10月に発売するファイアーエクスプレス「 S CONCEPT MD」を試してみるといかもしれません。
これはミニドライバー専用に設計された初のカスタムシャフトで、ヘッド体積が小さく重心距離の短い特性に合わせて開発されたモデルです。フレックスはRからSXまでの4種類が用意されており、今回はSフレックスを検証したいと思います。
Sフレックスは振動数が242CPMで、手元剛性が強すぎずショートレングスでもスウィングのタイミングが取りやすい設計になっています。シャフト全体の動きは非常に滑らかで、自然にスウィングするだけでヘッドが正しく戻り、安定したインパクトを導きます。また、先端の挙動は安定しており、ボールに当てやすさが高い点も特徴です。

10月に発売するコンポジットテクノ「ファイアーエクスプレス S CONCEPT MD」も注目
プロモデルと比較すると、しなり戻りがオートマチックで、操作を意識しなくても性能を発揮してくれるところが大きな魅力です。さらに軽量で扱いやすく、ヘッドスピードに関係なく自分のスウィングテンポに合わせて選べるのも利点です。
ドライバー用シャフトでもなく、フェアウェイ用シャフトでもないミニドライバー専用シャフトとして、このS CONCEPT MDは「第3のシャフト」と呼ぶにふさわしい存在です。安定性と飛距離性能を両立し、アマチュアにとって扱いやすい選択肢となるでしょう。
まとめ
ミニドライバーは操作性と方向安定性を武器に、多くのプレーヤーから支持を集めています。その性能を最大限に引き出すには、適切なシャフト選びが欠かせません。
- プロモデルを使い慣れている方にはTOUR AD DI。
- プロモデルが難しいと感じる方にはファイアーエクスプレス S CONCEPT MD。
この2本はミニドライバーの可能性をさらに広げてくれるはずです。迷っている方はぜひ試してみてください。