グラファイトデザインのTOUR ADブランドの軽量シャフト「Lia」が9月5日に発売されました。「TOUR AD」史上最軽量の30グラム台のシャフトです。グラファイトデザインには「aG33」という30グラム台のモデルがありますが、TOUR AD ブランドではありません。

今回検証するのはTOUR ADブランドの軽量シャフト「Lia」
TOUR ADの「AD」はACCURACY&DISTANCEの意味。ツアーでの正確性と飛距離を求めたシャフト設計されているのがTOUR ADブランドですので、最軽量シャフトの「Lia」も30グラム台の軽量シャフトですがキックポイントはTOUR ADらしく中調子となっています。
30グラム台の軽量シャフトをTOUR ADブランドとして発売した「Lia」。ちなみに「Lia」は「欲する気持ち」「結びつき」をイメージしている造語とのこと。
TOUR AD「Lia」
今回のコラムではTOUR AD「Lia」がどんなシャフトに仕上がっているのか、検証したいと思います。TOUR AD Liaはウッド用、ハイブリッド用、アイアン用のシャフトが用意されています。今回はウッド用を検証していきます。

テストクラブはヘッドは「PING G440 MAX 10.5度」
先ずは外観ですが、TOUR AD伝統の縞模様のデザインを採用。シャフトカラーは淡いライトグリーンでシャフトカラーからも軽量シャフトらしさを感じさせてくれるものとなっています。
Liaのウッド用シャフトはLightRとLightSの2フレックスがラインナップされています。
【Light R】37グラム トルク6.9 中調子 シャフト振動数186CPM
【Light S】39グラム トルク6.8 中調子 シャフト振動数206CPM
※テストクラブはヘッドは「PING G440 MAX 10.5度」/ヘッド重量196.8グラム 45.75インチ
Light R
37グラムのシャフトはワッグルした際に手元部分の下から大きなしなりの動きを感じられます。手元側は切り返しの初動からスムーズで大きなパワーを必要とせずにスムーズにシャフトを切り返しできるのが印象的です。シャフトのどこかが部分的に硬い場所がなく穏やかにしなるのでインパクトエリアまで非常にスムーズにヘッドを運ぶことが出来ます。
軽量シャフトながらTOUR ADブランドらしく先端部分に程よいしっかりさがあるので厚いインパクトが印象的で、効率良くボールをとらえてくれます。ボールの打ち出し角度は高く、つかまりの良い弾道です。
バックスピン量も適度に抑えられている印象ですのでこのフレックスのターゲットの方が振った際にボールが吹け上がる感じはないでしょう。
Light Rは200ヤードを狙っていきたいレディスゴルファーやパワーが落ちてきたシニアゴルファーなど、スウィングで振り抜くタイプの方に合うと思います。大きなパワーを必要とせず効率良くラクに高弾道で強い弾道を実現してくれるでしょう。
Light S
ワッグルした感じはRフレックスよりも手元側の剛性感が上がり、しっかりとした印象で、シャフト中間部分から先にしなりがある動きになります。軽量シャフトの中調子らしく剛性感が高くなっても切り返しは非常にスムーズで幅広いスウィングテンポの切り返しのタイミングに対応できる印象です。Sフレックスはシャフトの各部分の剛性の差が少なく、スウィング中にシャフトの潰れ感を感じることもなく、しなやかにしなります。
先端部分にしなり量はありますが、しなり戻りに安定感のあるシャフト挙動ですのでインパクトエリアにしっかりとヘッドが戻ってきてくれます。スピード感もあり、自分のスウィングスピードよりも速く振れるイメージですが、ヘッドスピードを上げて振ってもシャフトの追随性が良くインパクトでヘッドが遅れてくるような感じもありませんので、フェースが開いて当たるようなこともありません。

シャフト先端部分の設計は「絶妙な強さ」を持った剛性設計で必要以上に強くしていない「程よいしっかりさ」があり、インパクト時の当たり負ける感じもありません。インパクト効率も非常に高く、スウィングエネルギーをしっかりとボールに伝えてくれるイメージです。バックスピン量も少なめでボールの吹け上がりもありません。この辺りに30グラム台の軽量シャフトながらTOUR ADブランドに通じるこだわりを感じられます。
LiaのLight Sフレックスはシャフト重量からイメージするよりもパワーがあるシャフトです。振り心地も「マルチフレックスシャフト」のような感覚で意外と幅広いプレイヤーが使えるフレックスだと思います。
ヘッド重量の違いでフィーリングは変わるのか?
冒頭で記した通り「PING G440 MAX」で検証しましたが、G440 MAXには軽量モデルのG440 MAX HLがあります。今回はこの軽量ヘッドでも検証してみました。
Rシャフト振動数 188CPM
Sシャフト振動数 208CPM
※テストクラブPING G440 MAX HL重量190グラム 45.75インチ
Light R
G440 MAX HLに装着するとシャフト振動数の変化は2CPMですが、数値以上にフィーリングに差が出ます。ヘッド重量が軽くなったことでスッキリした振り心地に変わります。ヘッド重量が軽くなりクラブバランスが軽くなることで軽量シャフトらしい軽快な振り抜きの良さを感じられます。一概にどちらが良いか判断するのは難しいですが、握力が強くない女性ゴルファーや、パワーの落ちたシニアの方には軽量のヘッドとのマッチングにメリットがあるかもしれません。
Light S
ヘッド重量が約7グラム軽くなりますが、シャフト振動数の変化は2CPM。ですが、シャフトのフィーリングに思ったよりも差を感じました。手元部分から中間部分のやや下までが引き締まったしっかりとしたフィーリングに感じられ、トップでの切り返し時のタイミングも変化します。軽量のヘッド装着時は手元の部分に少しハリ感が加わるイメージで「軽く強い」Liaの特長のスッキリとしたフィーリングを感じられます。フィニッシュまで一気に振り抜ける爽快な振り心地はスウィングスピードもアップできるでしょう。
重めのヘッド装着時のインパクトの「重厚感」。軽めのヘッド装着時のスウィングスピードアップの「軽快感」。どちらも飛距離を出せる良いマッチングだと思いますが、スウィングパワーによって印象は変わると思いますので自分にメリットがあるのはどちらなのか試してみると面白い結果が出ると思います。
TOUR AD「Lia」総評
2002年に販売開始されたTOUR ADブランド。初代モデルはブラックとレッドのカラーが印象的な「I」シリーズ。ADのAはACCURACY (正確性) DはDISTANCE(飛距離) を意味していて、発売から23年間世界のトッププレーヤーから高い評価を受けているシャフトを多くラインナップに持つ信頼のブランドとなっています。TOUR AD シリーズには40グラム台のシニア・レディスモデルの「SL」というモデルが長い間存在していましたが、「Lia」はTOUR AD 史上最軽量シャフトとして登場しました。

※30グラム台の場合
軽量シャフトにありがちな頼りなさを感じないシャフトは安定感と飛距離性能を両立したTOUR ADブランドとして新たなターゲットを見据えた軽量シャフトです。一方で長年TOUR ADブランドを愛用してきた方にも違和感のないシャフトフィーリングにもなっているシャフト設計が「Lia」の完成度の高さを感じました。
長年TOUR ADブランドを愛用してきた方の中にもパワーやスウィングスピードも落ちてきて軽量シャフトを検討している方も多くいらっしゃると思います。
そのような方でも「Lia」の持つTOUR ADらしい安定感と飛距離性能を備えたシャフトパフォーマンスを大きなパワーを必要とせずに味わうことが可能です。パワーがなくてもスムーズに切り返しでき、シャフト全体がスムーズにしなり、インパクトで厚くボールをとらえることができます。
個人的にはTOUR ADの名シャフト「PT」を軽くして軟らかくしたようなシャフトフィーリングにも感じました。
「Lia」はTOUR AD の2026年のメインモデル「FI」と同じ日に発表され、発売日も9月5日と同じだったことでなんとなく目立った印象がないのが惜しいですが、これからますます需要の増える軽量ポジションのシャフトとして高い実力を持ったシャフトですのでこれからじわじわと評価されていくと思います。
TOUR AD らしいパワーのある30グラム台の軽量シャフト「Lia」。軽量シャフトを検討している方は是非試して頂きたいと思います。