タイトリストから発売された軽量ユーティリティ『GT1』。本来、アベレージゴルファーを主なターゲットとする軽量モデルを、ツアープロの米澤蓮選手をはじめ、多くのトッププロが使用している。従来の軽量モデルは球を上げるためにスピン量を多くする重心設計のため、プロが積極的に採用するモデルではなかったと、小島プロはいう。
では、なぜ今作『GT1』はプロに選ばれているのか? 今回もトラックマン4とGCクワッドを使用してその理由を探った。
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ガチギアトラックでは、ツアープロが使用する『トラックマン4』と『GCクワッド』を使用。
ボールはタイトリストのインドア計測用『プロv1 RCT』を使用
プロも認める軽量ヘッドユーティリティ『GT1』

左から4番(20度)/5番(23度)/6番(26度)/7番(29度)
小島: 印象どうですか?
癸生川: フェアウェイウッドとハイブリッドの中間のようなヘッドで、すごく安心感があるよね。純正シャフトは軽めで、非常に振り抜きやすい。シャフトが軟らかいこともあって、楽に球が上げられそうだね。あとフェースが左に行かなそうな見た目をしてるから、左が嫌なゴルファーにとってもすごく構えやすい。
小島: なるほど。クラブ全体を軽量化しながらも、あえてグリップを軽くせず一般的な50gのグリップを挿すことで、ヘッドをより軽く感じさせて走らせられるような意図を感じます。振り抜きやすく、抜けも良くさせているんだと思います。
試打で使うボールはインドア計測用のタイトリスト『PRO V1 RCT』を使用。今回は各モデルのセンターヒット時のデータを採用。ヘッドスピードは軽量クラブということもあり、ドライバー換算でHS40m/s相当で実施した。※センターヒットは上下左右6㎜以内
では試打開始!
ロフト別に試打!※ドライバー換算で40m/s前後(トラックマン4計測時)

ロフト別トラックマン4の試打データ(オフセンターヒット検証はGCクワッド)
癸生川: 見た目通り、すごく球が上がりやすい。短い番手になればなるほど、つかまりやすくなっている。20度に関しては、理想的な球の高さになるには、もう少しヘッドスピードが必要だなって思った。
小島: そうですね、仰る通り20度は落下角が39.3度と、40度を下回っていますので、20度を入れるのであればドライバーのヘッドスピードで41m/s以上(ユーティリティでヘッドスピード36m/s以上)は必要でしょう。ですが、ドライバーのヘッドスピードが40m/sくらいでも柔らかい一般営業のグリーンなら、十分に止めることができます。今回はセンターヒットで検証していますが、ユーティリティは基本、芝から打つクラブ。ライが沈んでいて、ボールの下までヘッドが入らないこともあります。その場合、フェースの下めにヒットしますが、そうなると今では珍しい、めくれ上がるような球筋になります。プロは打点の上下で弾道を調整することもありますので、このような球が打てることが、このシリーズを使う理由なのでしょう。
小島プロによる『GT1』シリーズ分析
●長さが同じ番手の存在
驚くべきは、『GT1』、『GT2』、『GT3』のシリーズ間で、ロフトが違うのにクラブの長さが同じ番手が存在することです。例えば『GT2』の18度は『GT1』の20度は同じ長さなんです。これは単に飛距離を追求するのではなく、プレーヤーが求める弾道や距離に合わせた戦略的なクラブセッティングを可能にしているというタイトリストからのメッセージだと考えられます。
●スピン量
トラックマンのデータを見ると、打ち出し角は低いものの、スピン量が非常に多いことがわかります。このデータは、このクラブがグリーン上でボールをめくれ上がるように止められる性能を持っていることを示しています。硬いグリーンで戦うプロにとって、この『止める』性能は大きな武器になるはずです。
落下角度40度、自分に合ったクラブ探しの基準
今回の試打で改めてわかったのは、クラブ選びは飛距離やロフト角だけで決めるものではないということ。特にユーティリティは、ストロングロフト化したアイアンとのつながりや、ボールがしっかり止められているか、また実際のラウンドでピッチマークからどのくらい離れているのかが見極める一つのポイントかもしれない。その基準として、落下角度は40度を覚えていてほしい。(編集部注:一般営業のグリーンであれば落下角度が30度あればグリーン内に収まる可能性はある。狙ったところに止める基準が40度)
『GT1』シリーズにオススメな人は?

試打担当の癸生川喜弘(左)とデータ分析担当の小島慶太(右)
癸生川: 楽に球が上がって、軽量ヘッドで速く振れるクラブ。またロフト表記で選ぶのではなく、実際のデータや球筋をみて選ぶことが大切です。
小島 今回はプロや上級者が厳しいコースで通用するクラブを選ぶうえでの一つの目安として、落下角度(ランディングアングル)40度を推奨して検証しました。例えば、ご自身のアイアンが『6番アイアンで150ヤードを狙うときに、落下角度が40度以上あるか』といった基準でクラブを選ぶと、ハイブリッドを入れるべきかの基準ができると思います。またユーティリティで止まらない場合にはフェアウェイウッドの選択肢がありますので、その検証も今後行っていきたいですね。
みんなのゴルフダイジェスト「みんゴル試打班ガチギアトラック」では、『GT』シリーズのユーティリティメタルの全番手を検証をしている、次回は『GT2』のユーティリティメタルの3つのロフト角を検証しているので、9月26日(金)の20時をチェック!
データ分析担当:小島慶太
インドアゴルフスタジオ「ゴルフアッププラス」を主宰するトラックマンマスター。トーナメントプロ、ティーチングプロの資格を持つ。千葉県柏市のイオンタウン松ケ崎に9月12日グランドオープン。ゴルフアッププラスの使用ボールは全てツアーボールを採用し、各種スペックが揃った無料レンタルクラブも完備
試打担当:癸生川喜弘
大学卒業後にオーストラリアに単独でゴルフ修行、2006年に日本プロゴルフ協会のプロテストに合格。現在はシニアツアーに挑戦する傍ら、アマチュアへのレッスンをダブルイーグル恵比寿店(毎週月曜日・火曜日)、ヴィクトリアゴルフ六本木ヒルズ店で実施中
THANKS/ゴルフアッププラスイオンタウン柏松ヶ崎店
『GT1』ドライバーを試打!
クラブ設計家と考察!
米澤蓮プロも『GT1』シリーズを使用!