ドライバーをはじめヘッドの大型化が進むゴルフクラブ。大きいヘッドは本当に誰に対しても”やさしい”ものなのか? ギアオタクでフィッターの小倉勇人と考えてみた。
画像: クラブのヘッドサイズについて、考えてみた(写真はイメージ)

クラブのヘッドサイズについて、考えてみた(写真はイメージ)

クラブの特性を理解したい

クラブフィッター小倉です。今回は、ヘッドのサイズについてです。昨今のクラブのヘッドは大きいほうがやさしいとされています。ほとんどのドライバーは、ルール上限の460ccですし、他のクラブもミスに強いとされるモデルはみな大きめなヘッドを採用しています。

実際のところ、打点ズレに関しては、大きいヘッドのほうがミスに強いモデルを作りやすいです。ヘッドが大きいと重心深度を深く設計しやすく、芯を外したときにヘッドのブレを軽減する効果が期待できます。

重心深度を深く設計するとフェース面上の重心点が高い位置になりやすく、スピンが多めになりやすいのですが、最近のクラブは全体的な軽量化によって生み出させる余剰重量を使い、重量配分の最適化によってどんどん低重心化され、ミスに強く、安定して飛ばせるクラブが増えています。こういった進化は、毎回、試打のお仕事をさせていただいている身として強く感じています。

こういったクラブの進化を肌で感じている私ですが、いまだにドライバーもアイアンも小ぶりなヘッドを好んで使用しています。理由は小ぶりなヘッドにもメリットがあり、そのメリットが自分のゴルフの考え方とマッチするからです。

大型ヘッドのメリットは、打点のミスに強い、直進性の高さといった部分です。そういった特性の持つクラブは、スウィング中のヘッドの挙動が穏やかになります。シャフト軸線からヘッドの重心が遠いため、素早い挙動ができないのです。

大型ヘッドのメリットを生かすには、その特性を理解し、いかにインパクトでフェースをスクエアに戻すことができるかがカギになります。私がミスに強い大型ヘッドを使わないのは、このスウィング中のヘッドの挙動が自身のスウィングとマッチしないから。比較的操作を受け付けてくれる小ぶりなヘッドのほうが目標方向に打ち出しやすく、少々ミスに弱くてもそちらのほうが、結果的に小さなミスに収まりやすいのです。

またアイアンやフェアウェイウッドのような地面から使用するクラブは、いわゆる抜けも重要なポイントになります。小ぶりなヘッドのほうが、接地面積が小さくて済むため、抜けの性能には有利です。そういった点を考えて私は小ぶりなモデルを使用しています。

勘違いしないで頂きたいのは、私は小ぶりなヘッドがやさしいと言っているわけではありません。物理的な道具として、使用する様々な環境を考慮しても間違いなく大型ヘッドのほうがミスに強いでしょう。お伝えしたいのは、使用している道具の特性を理解すればもっとやさしく使えるということです。

大型ヘッドのメリットである打点のミスに強い部分や直進性の高さを最大限に生かせばもっとゴルフは楽に楽しめるはず。もし大型ヘッドのドライバーを使用し、うまく結果につながらないのであれば、打ち出し方向にこだわってみてください。

こだわりの方法は自身で練習してみるもよし、カチャカチャなどを活用して、打ち出し方向を調整するのもよしです。それでもうまくいかない時は、ちょっと小ぶりなモデルを打ってみてどちらが自身にとって使いやすいか、良い結果につながりやすいかを見定めてみてください。

どんなクラブでも自身がその特性を理解して使用しないと、いくら“やさしい”と言われているクラブでも、そこまでやさしくは感じられないはず。クラブの特性を理解するって、とても大事なことだと思います。

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