連載76回目は、東京都世田谷区にお店を構える「ゴルフステージ成城」の吉田朋広さんがオススメするカスタムクラブをご紹介。今回はキャスコ『VATIC Venero』とフジクラ『スピーダー NX ゴールド』シャフトがオススメとのこと。
工房店主の吉田さんが特徴を語る
キャスコの新作ドライバー、『VATIC Venero(バティック ベネーロ)』は、その革新的な『折り紙ソール』の機能が非常に面白いヘッドです。このヘッドのポテンシャルを最大限に引き出す、アマチュアゴルファー向けのベストな組み合わせを見つけました。ヘッド特性は『中弾道・低スピン』の本格派『VATIC Venero』は、ボールが簡単に上がる設計ではなく、しっかりと叩きにいける中弾道の低スピン性能が特徴です。そのため、アマチュアの方が使うには、単に硬いシャフトを合わせるだけでは、弾道が低くなりすぎてしまうリスクがあります。このヘッドの機能である「折り紙ソール」をしっかり活かすためには、フェース面でボールを強く『押し込んで』あげるインパクト圧が重要になります。そこで、私のおすすめはフジクラ『スピーダー NX ゴールド』です」。

キャスコ『VATIC Venero』とフジクラ『スピーダー NX ゴールド50S』の組み合わせ
「このシャフトは極端に走らず、インパクト付近でヘッドをグッと『押し出してくれる』動きがあります。この押し込み感が、折り紙ソールを活かし、ヘッド機能が持つパフォーマンスをフルに発揮してくれます。具体的には、『スピーダー NX ゴールド(50SR)』を45.75インチ程度のやや長めのレングスで組むのも良いかと思っています。このセッティングなら、ヘッドスピード40~43m/s程度のゴルファーが、シャフトのしなりを最大限に利用し、中弾道ながらもしっかりとキャリーが稼げる安定感抜群のドライバーに仕上がります。ウェイトポジションは、前方ウェイト(フェース裏)はノーマルで触らず、後方のバックウェイトを中央で試すのが基本です。この組み合わせで、低スピン性能を活かしつつ、方向性を安定させられます。『VATIC Venero』は、風に負けない強い中弾道で、アマチュアゴルファーのゴルフを一段と面白くしてくれるはずですよ」と様々なカスタム性があるが、一度ノーマルポジションで試して欲しいと吉田さん。前方のウェイトは基本的には変更しないというが、クラブバランス調整などには有効とのこと。
「フィッティング並みの調整機能を備えたクラブ」(堀越プロ)
「キャスコの新作ドライバー『バティック ヴェネーロ』を試打します。見た目は黒を基調としたシンプルなデザインながら、緑のウェイトポートが洗練されたデザインですね。名前の由来となるヴェネーロ(Venero)』は、イタリア語の緑を表す『ヴェルデ(verde)』と黒を表す『ネロ(nero)』を組み合わせた造語とのことです。そして気になるのはフロント側とバック側で重量調整が可能な構造になっており、4種類の組み合わせが1g単位で調整ができ(1g/2.5g/5g/6g)、バックウェイトは5g(緑色)、10g(金)どちらかをヒール・センター・バックの3か所にスライドできる仕組みになっています。ここまでの調整機能を実現できるのは、ソール面などにも比重の軽いカーボン素材を使用することで設計自由度を高めていると考えられます。重量調整の他に、ロフト、ライ角を±1度調整できることからも、様々なゴルファーに調整できる機能は素晴らしいと思います」

試打者/ほりこし・よしかず。試打経験から裏打ちされた豊富な知識と試打技量から大手メーカーのシャフトやヘッドの開発にも携わる。キング・オブ・試打。クレアゴルフフィールド所属
ヘッドスピード42m/s前後で試打
●キャリー/238.2Y
●総飛距離/256.1Y
●ボール初速/62.4m/s
●打ち出し角/16.9度
●スピン量/2506rpm
「実際に打ってみた感想は、ヘッドスピードに対して初速が出ているように感じます。事前に吉田さんから伺った『新ORIGAMI-Carbon Sole』という構造の影響が大きいのではないでしょうか。ドライバーソール面の折り目状の構造がインパクト時に同時期に変形することで大きな反発エネルギーを生み出せるとのことです。試打をはじめた当初は初速は出るもの、ややつかまるボールが多かったです。そこで、弾道調整機能を使いフェード系に変更して打ってみることにしました。ガイドを参照し、バックウェイトをヒール寄りにスライドさせ、比重の重いタングステンを一番奥に装填することでフェード系に変更できるとのことです。変更して打ってみると、さっきまでの弾道とは変わり、ストレート~ややフェード系の弾道に変わりました。振った印象はあまり変わりませんが、スウィングの感覚を変えずに弾道が変わるので非常に不思議な体験でした。調整前方のウェイトがやや小さく、落としやすいので慎重に行ったほうが良いと思います」
総評

「低スピン性能が高く、つかまりも良いですね」(堀越)
「今回の『バティック ヴェネーロ』ヘッドは、ウェイトやライ、ロフト調整の幅が広く、自身でフィッティング調整ができる素晴らしいヘッドでした。ウェイト調整のメリットは弾道調整だけではなく、リシャフトやシャフトカットをした際のクラブバランス調整も可能な点です。また、公式HPに弾道調整ガイドがありますが、あくまで傾向だと思いますので、自身で様々な位置や配分を試して、自分だけの最適な配置を見つけていただくのが良いと思います。またシャフトのフジクラ『スピーダー NX ゴールド』はクセの無いシンプルな挙動と、インパクトにかけて効率良く力を伝えれれるシャフトで、今回の様に弾道調整をした際にも、素直に弾道に反映してくれるシャフトでした」(堀越プロ)
ゴルフステージ成城
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