2025年ライダーカップは、ニューヨークのベスページ・ブラックという敵地で、ルーク・ドナルド率いる欧州チームが劇的な勝利を収めた。2023年のローマ大会に続き、異例の続投となったドナルドのリーダーシップ、そして米国の熱狂的なファンからの「洗礼」を乗り越えたチームの強固な結束力について、優勝会見での選手たちの言葉から探る。
画像: 記者会見に臨むヨーロッパチーム(PHOTO/PGA of America)

記者会見に臨むヨーロッパチーム(PHOTO/PGA of America)

勝利の予言と揺るぎない継続性

ローリー・マキロイは2年前、次期大会での勝利を予言していた。その理由を問われたマキロイは、「僕は、このチームに絶対的な自信を持っていた。リーダーであるルーク・ドナルドにも絶対的な自信を持っていた」と語る。

特に、2023年のローマ勝利を経て、「チームの12人のうち11人が前回と同じで、キャプテンも同じ」という継続性を信じていたことが、勝利への確信を強めた要因だという。マキロイは「(2021年の)ウィスリング・ストレイツの時よりも、遥かにチャンスがあると感じていた」と述べ、このチームが持つ潜在能力を高く評価していた。

ドナルドの「完璧主義」が築いた勝利の土台

米国メディアが「優れたキャプテンとは何か」という問いに答えを見つけられない中、欧州チームはドナルドのリーダーシップを全幅の信頼を置いている。ジョン・ラームは、その秘密を「プロフェッショナリズムのレベル」だと語った。

「彼がこの4年間で見せてくれたプロフェッショナリズムのレベル、彼の(計画の)細部への注意、そしてライダーカップに関する彼の知識が、この2回のライダーカップを可能にした」と、ドナルドの細部にわたる徹底的な準備を称賛。ジャスティン・ローズも、「彼がリーダーとして成長した姿を見るのは信じられない」と、その献身ぶりを強調した。

ドナルド自身が明かしたアウェイ戦略の裏側は、まさにその完璧主義を象徴している。

● テーマの徹底 :
チームのテーマは「5度目のアウェイでの勝利」。過去のアウェイ勝利(87年、95年、04年、12年)をモチーフにしたシャツを着用するなど、選手たちに「成し遂げてきたことだ」と鼓舞した。
● 細部へのこだわり :
「光を遮るものを持参した」「より良い香りのするシャンプーに変えた」「寝具を変えた」——ドナルドは、選手が最高の睡眠とリラックスを得られるよう、ホテルの部屋の光や匂い、ベッドの快適さにまで気を配った。これらは「非常に小さなこと」だが、選手に「最高の機会を与える」ための環境づくりがドナルドの仕事だと語った。

これらの徹底的な準備と、「ライダーカップは人生で最高の瞬間」というドナルドの情熱が、チームの結束と安心感を生み出した。

容認できない「アウェイの洗礼」と結束の力

ベスページ・ブラックでの勝利は、米国の熱狂的なファンによる厳しい「アウェイの洗礼」を乗り越えてのものであった。

ローリー・マキロイは、ファンとの交流について「衝動的としか言いようがない」と語り、ファンからの「ゴルフがうまくない」という罵倒に対し「僕はゴルフがめちゃくちゃうまい」と言い返す場面もあったと明かした。しかし、その興奮の裏側では、虐待的な言葉遣いや、マキロイの妻・エリカにビールが投げつけられるといった容認できない行為が横行していた。

マキロイの妻・エリカにビールが投げつけられるシーン【米GOLF.com公式インスタ】

ローリー・マキロイは「ゴルフにおいて、あのような行為を容認すべきだとは思わない」と怒りを露わにしつつも、欧州チームは「品格と冷静さをもって対処しようと努めた」と語った。

この過酷な環境下で、チームの結束力が試された。特に、最後にバーディパットを沈めて勝利を決めたシェーン・ローリーは、18番に向かう時、「今日はこれまでで最高のことをするチャンスがある」とキャディに語りかけ、逆境を力に変えた。また、パッティングでチームを牽引したジャスティン・ローズも、力の源を「バッジと仲間たち以外、正直言って分からない」と表現。自分たちの背後にはチームがいるという信頼感が、極限のプレッシャーの中で選手たちの支えとなった。

ドナルドが率いた欧州チームは、史上まれに見る結束力と、緻密な準備に裏打ちされた戦略で、困難なアウェイの地で勝利という結果を残した。ローリー・マキロイが語るように、この勝利は「終盤は本当に接戦で、少しストレスもかかりましたが」乗り越えた「夢のような一週間」として、長く記憶されるだろう。

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