女子ゴルフの今季国内ツアー第28戦「日本女子オープン」が10月2日から4日間、兵庫県・チェリーヒルズGCキング・クイーンコース(6616ヤード、パー72)で開催される。火曜日の練習日に準備を進める出口慎一郎キャディを直撃。プロキャディは一体どんな準備をしているのか、みんなのゴルフダイジェスト特派記者でプロゴルファーの中村修が現地からのレポートをお届け。

いよいよ秋のビッグイベント「日本女子オープン」がやってきました。会場は兵庫県三木市にある「チェリーヒルズGCキング・クイーンコース」(6616ヤード、パー72)で開催されます。今日、火曜日はプロアマ大会のためコース内には入れないので、関係者にコースのコンディションを聞くと、まだグリーンは速くないようです。フェアウェイは広いという選手もいれば、狭いと感じる選手の声もあり、飛距離によって感じ方は違うようです。外から見た感じではラフが深いので、明日以降グリーンが硬く、そして速くなると我慢の4日間になりそうです。

練習場でトラックマン(弾道測定器)でデータを見ながら練習する阿部未悠選手と今週コンビを組む出口慎一郎キャディに話しを聞きました。出口キャディは片山晋呉選手をはじめ、星野陸也選手、チャン・キム選手とPGAツアーでの経験も積み、メンタルコーチの資格も持つプロキャディです。

今週の阿部未悠選手の番手毎のキャリーの飛距離を大まかにチェックし、距離表を作っていた出口キャディ。PGAツアー参戦時にザンダー・シャウフェレのキャディのオースティンや友達になったたくさんのキャディからコースチェックの方法やデータの取り方を教わったといい、「お互いにスキルを持った選手とキャディがコンビを組むことで1+1が2以上になるようにと考えている」と話します。

画像: 出口キャディのヤーデージブックには細かい4日間分のデータが蓄積されていく

出口キャディのヤーデージブックには細かい4日間分のデータが蓄積されていく

「大丈夫ですよ。っていうのをその場の雰囲気で言うのではなく、根拠を持って大丈夫です、と言える人になりたい」という出口キャディのヤーデージブックを見せてもらうと、グリーンのピン位置を記す図と残り距離、番手、風などを記載するスペースが4日分用意されています。

裏面の白紙のページにエッジまでの距離、ピン位置、番手、風向きをメモし、打った後にその結果もメモすることが一般的ですが、もっと細かいところまで記載するのが出口流。その積み重ねが選手の持つミスの傾向や、ナイスショットの傾向をデータ化し試合終わりの練習のテーマへと結びつけているそうです。

「例えば、ロングパットはスムーズにストロークできるのに、ショートパットになると動きが悪くなる選手の場合は、ショットで近くに付けようと狙い過ぎてショートサイド外して難しくなることもあるので、5メートルや7メートルのミドルパットでも良いよ、と声かけします」と出口キャディ。そうすることで、狭いエリアを狙ったミスを防ぐことつながり、その結果からラウンド後のパット練習の課題まで見つけて選手と共有すると言います。

画像: 風向き、使用番手、曲がる方向、結果が細かく記載される

風向き、使用番手、曲がる方向、結果が細かく記載される

もう一つ、出口キャディの持ち味は、8年前から資格取得をし始めたメンタルコーチとしての側面。スポーツメンタルスペシャリスト、ポジティブ心理学、アンガーマネジメントを学び、実際にメンタルコーチとしても男女8名の選手のサポートもしています。

「コーチングの手法を使って内面にあるノイズを除去し、ゴールに対して障害になっているものは何か? どうやったら2日目、3日目と尻上がりに上げて行けるか?」と調子の良い時はサクッと終え、良くないときはノイズになっている原因を除去し、翌日のプレーに備えると言います。

画像: プロキャディでありメンタルコーチも務める出口慎一郎キャディ

プロキャディでありメンタルコーチも務める出口慎一郎キャディ

プレーが始まれば、コーチからのアドバイスも受けられない選手にとって唯一の味方はキャディだけ。タフなセッティングになる「日本女子オープン」では選手にとって大きな力になることでしょう。

写真/中村修

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