女子ゴルフの今季国内ツアー第28戦「日本女子オープン」が10月2日から4日間、兵庫県・チェリーヒルズGCキング・クイーンコース(6616ヤード、パー72)で開催される。今回はナショナルオープンということで、難しいセッティングになっている。練習日にメルセデスポイントランク1位の佐久間朱莉に深いラフからのアプローチを聞いた。みんなのゴルフダイジェスト特派記者でプロゴルファー・中村修が現地からのレポートをお届けします。

「日本女子オープン」が開催される兵庫県の「チェリーヒルズGCキング・クイーンC」はフェアウェイは狭くはないもののラフは深く、グリーン周りも深いラフに囲まれています。グリーンの転がりはスムーズですが、まだそこまで硬さは出ていませんので、このままの硬さとスピードであれば好スコアが出そうだと現地では話題になっています。

画像: チェリーヒルズCCキング・クイーンコースはグリーン周りも深いラフが待ち受ける

チェリーヒルズCCキング・クイーンコースはグリーン周りも深いラフが待ち受ける

フェアウェイをキープすることが攻略の第一歩となりますが、ラフからグリーンを狙ったショットがグリーンを外れると深いバンカーや深いラフにつかまるようにセッティングされています。そこで重要になるのがリカバリー率(パーオンを外したホールでパーかそれ以上のスコアを獲得する率)です。現在1位は71.087%の鈴木愛選手で、以下、2位河本結、3位高橋彩華、4位金澤志奈、5位永峰咲希、6位佐久間朱莉選手と僅差で続いています。

画像: スコアラインの2本目から3本目あたりで打つ、とフェースの打点を意識するという佐久間朱莉

スコアラインの2本目から3本目あたりで打つ、とフェースの打点を意識するという佐久間朱莉

今回は佐久間朱莉選手に深いラフからのアプローチを聞きました。オフに課題として取り組んだアプローチ練習の成果もあり、リカバリー率は24年の19位から6位へと向上している佐久間選手。まずはライの状態をよく見極めると言います。

「ボールが浮いているのか、沈んでいるのか。ボールの後ろにどれくらい芝が噛むのか。それによってスピン量が少なくなってランが出そうなのか、スピンが入って止まるのか。ライの状況判断を大切にしています」(佐久間朱莉、以下同)

ボールが浮いていればフェースとボールの間に芝が噛まずにスピン量を確保できるので、キャリーとランの距離感はつかみやすくなります。それに対して、浮いていてもボールの後ろに芝が多い場合やボールが沈んでフェースとボールの間に芝が噛む場合は、ランが多くなることを想定して距離感を合わせます。

画像: ライの状況を見極めることが大切だという

ライの状況を見極めることが大切だという

ライを見極めると次はボールに対してどんな入射角でクラブとボールをコンタクトさせるかを考えると佐久間選手。

「ボールが浮いている場合は、フェースの上のほうに当たりやすいので打点を意識して打ちます。どうしても上のほうに当たりそうだったら、距離が出なくなるのでそれを想定した強さで打つこともあります」

ライの状況判断に加えて打点も重要だと佐久間選手。クラブは重心位置よりも下で打つとスピンがかかり、重心よりも上に当たるとスピン量は減る傾向にあります。つまり重心位置の高いウェッジであれば、スコアラインの3本目くらいまでの打点では低く出てスピンが効き、フェースの上のほうで当たるといわゆるポッコン球になりスピンは効かなくなります。ちなみにドライバーの場合はスピン量を増やしたくないので、低重心に設計し重心位置よりも上で当たることで縦のギア効果も使ってスピン量を減らし、上で当たることでロフトが寝て、打ち出しが上がり、大きな飛距離が得られるようになっています。

話しを佐久間選手のアプローチに戻すと、ボールが浮いている場合は、インサイドアウト軌道でフェースに乗せながらやや高めの弾道で打ち、ボールが沈んでいる場合はボールの下にフェースを滑り込ませるようにダウンブローで入射角を確保していると言います。

画像: ボールが浮いている場合は、ややインサイドアウト軌道でボールをフェースに乗せるように打つ

ボールが浮いている場合は、ややインサイドアウト軌道でボールをフェースに乗せるように打つ

グリーン周りからのアプローチをするクラブは58度一本で球を打ち分けるのではなく、50度、54度、58度の3本を使うとのこと。

「同じ打ち方でもロフトを変えると打ち出し角やスピン量が変わるので、打ち方を変えずにクラブを変えるようにしています」

画像: ボールが沈んでいる場合は、入射角を確保しダウンブローで打つ

ボールが沈んでいる場合は、入射角を確保しダウンブローで打つ

ウェッジは、ボール位置やフェースを開いたり閉じたりする構え、体の重心位置を左、真ん中、右よりとセットアップを変え入射角をコントロールすることもできるので、一本のクラブで様々な打ち分けをする選手もいます。佐久間選手の場合は、ライによって軌道を変えることでボールコンタクトを最適化し、できるだけ同じ打ち方でクラブを変えることでピン位置に対して最も寄せやすい番手を選んでいます。

明日の初日の組み合わせは12時05分アウト1番スタートで佐久間朱莉、古江彩佳、神谷そら選手となっています。米女子ツアーから参戦する古江選手は「地元開催で頑張りたい」と話し、直近5戦で優勝、2位タイ2回、4位タイ、8位タイと好調の神谷そら選手との注目組になっています。明日も現地からのレポートをお届けします。

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