ナショナルオープンの初日は首位の安田彩乃選手が7アンダーで首位。とはいえ、4打差の3アンダーでも26位タイと好スコアが続出しました。午前2組目の木村彩子選手が前半に4つスコアを伸ばすと、それに引っ張られるように安田彩乃、堀琴音、菅楓華、桑木志帆選手らが好スコアを出す展開が続き、フェアウェイの広さ、ラフの長さ、グリーンの硬さと速さ、そして風の弱かった天候に恵まれたことが好スコアを誘発するコースコンディションでした。
練習ラウンドよりはグリーンのスピードは出ていましたが、「夏の猛暑の影響で硬く仕上げることが難しかった」と昨日のJGAの事前会見で話していました。その良好なコンディションに選手たちはピンを攻め、パットを決めボギーの少ないプレーでスコアを伸ばしました。

「日本女子オープン」の初日を4アンダー16位タイで終えた古江彩佳
初日の注目組である古江彩佳、佐久間朱莉、神谷そら選手の組に付いて歩くと、地元の古江選手には多くのギャラリーが集まり声援を受けスタートします。古江選手のプレーを見るのはほぼ1年ぶりですが、いつものスウィングテンポと力感でフェアウェイを捉えると、右奥に切られたピンを攻め手前3mに付けバーディ発進を決めます。
約20Yの打ち下ろす2番パー3では、右からのアゲンストの影響もあり、わずかに左ラフに外しますが、つま先上がりの深いラフからのアプローチをランを使ってピタリとピンに寄せ、お先にパーで終えます。しかし3番パー5ではつま先上がりのフェアウェイからの2打目を右のラフに打ち込み、3打目でグリーン右に外し、寄せきれず2mほどのパーパットが残ります。しかし、やはりメジャーチャンピオン、そこをしっかり決めスコアを崩しません。

ショットの調子を徐々に上げ後半はチャンスを多く作った古江
ティーが前に移動された464Yの7番パー5では2オンからバーディとし、前半を2アンダーで折り返します。後半10番でチャンスを作るもパーで終えると、156Yの11番パー3ではピン筋に飛ばし1mにつけバーディ。382Yの12番パー4では2m少しを外しますが、打ち上げで距離のある429Yパー4の13番で4mにつけると、最後のひと転がりでカップインするバーディを奪います。その後もチャンスに付く回数は多かったもののショートする場面が多く、パーを並べ4アンダー16位タイで初日を終えました。
ラウンド後の囲み会見では地元の声援を受け「日本に帰って来たな、という感じ」と声援を力に変えてノーボギーでプレーできたことを評価しました。毎年帰国し、参戦する際にはコンビを組む森本真佑キャディに話しを聞くと「アプローチの技術が年々上がっていますね」とその成長を口にします。

古江は地元の声援に背中を押され元気な姿を見せた
ショットの調子を探りながら徐々に調子を上げてチャンスを作るプレー運びは、古江選手ならでは。調子の良くない時間帯でも流れを切らさない卓越したショートゲームがその後のバーディを生み、結果的に首位から3打差で終える原動力になっていました。間違いなく明日以降もスコアを伸ばし上位で争うことでしょう。
続いて2週前の「住友生命Vitalityレディス 東海クラシック」で優勝、前週2位タイと好調を維持する神谷そら選手。ドライバーを使わずに3Wや19度UTを使って刻むホールも多くティーショットのマネジメントが2打目でチャンスを作ることにつながったようです。「多くチャンスを作れた」と出だしの1番から3Wで刻んで2打目を2mにつけバーディで発進すると5、6番で連続バーディを奪い3アンダーでターンします。

5アンダー、5位タイで初日を終えた神谷そら
12番382Yのパー4も3Wを使ってフェアウェイに運ぶと3.5mを決めてバーディ。やや打ち下ろしの14番539Yのパー5では、ティーショットを3W、2打目を19度のハイブリッドで2オンに成功させバーディとし、飛距離を武器にしたプレーを見せつけます。16番でティーショットを右のバンカーに入れボギーとしますが、最終18番パー5で3打目を寄せてバーディを奪い5アンダー、5位タイで終えます。
飛距離のある神谷選手がドライバーを使って力で攻めるのではなく、フェアウェイキープからチャンスを作りスコアを伸ばす姿に今季課題とするパーオン率の向上が成績に結びついていることを表しています。
最後に佐久間朱莉選手。出だしの1番でピン横2m少しからのバーディを外すと、打ち下ろしの2番パー3でグリーン左に外しボギーとしますが、続く3番パー5でバウンスバックのバーディから、6番、8番もバーディとし2アンダーで折り返します。後半はパーを並べ14番パー5では最後のひと転がりでバーディを奪い、打ち上げの16番パー4でもバーディ。ショットの調子が今一つでもボギーを1個に収めて4アンダーにスコアをまとめました。

古江彩佳と同じ4アンダー、16位タイで初日を終えた佐久間朱莉
ゆっくりとしたテークバックからの切り返しで打ち急ぐことが見られなかったのでショットは復調して来そうです。最終日に向けて徐々に調子を上げ上位で争う姿に期待しています。
「日本女子オープン」の初日にこれだけの好スコアが続出することは稀です。明日もスコアを伸ばす展開になりそうなので、アンダーパーのカットラインになることでしょう。明日も現地からのレポートをお届けします。
写真/姉崎正