7時15分アウトコースからワンウェイ2サムで決勝ラウンドはスタートしました。59位でギリギリ予選を通過した青木瀬令奈選手は、1m以内のバーディが5つとショットが好調でスコアを6つ伸ばして7アンダーでホールアウト。2アンダー49位から出た渡邉彩香と申ジエ選手は8バーディノーボギーで10アンダーまで伸ばし、一気にスコアボードを駆け上がります。昨夜からの雨の影響もありグリーンは軟らかく止まりますが転がりはスムーズなコンディションが好スコアが続出させています。
渡邉選手、申選手の二人がホールアウトする頃に最終組はスタートしましたので、上位陣はスコアを伸ばさなければならないプレッシャーも感じていたことでしょう。11アンダーの首位から出た最終組の堀琴音選手は、昨日に引き続きノーボギーのラウンドで4つスコアを伸ばして15アンダー単独首位で明日の最終日を迎えます。

「日本女子オープン」の3日目を終え単独首位で最終日を迎える堀琴音
「長いホールでしっかりパーが取れているのが大きいかなと思います。しっかり最終的には振り切る気持ちで打っています」と緊張する場面でも勇気を持ってしっかりと振り切る気持ちを持つことが大舞台で首位に立つ要因と語ります。
1打差の2位には高校1年生のアマチュア廣吉優梨菜選手が、2つボギーを打ちながらも7つのバーディを奪い67とスコアを伸ばしました。弊サイトで連載中の平田智パットコーチに師事する姉弟子の菅楓華選手が「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」で優勝したことで、出場順位が繰り下がり今大会に出場できることになったラッキーを生かし、予選通過を目標にプレーして来たと言います。

高校1年生のアマチュア廣吉優梨菜は首位に1打差の単独2位で終えた
2日目終了時にキャディとしてコンビを組む高武大輔コーチに廣吉選手のストロングポイントを聞くと「真っすぐ打つのがとても上手く、アイアンの入りが良いところです。初日、2日目はパーオンが17回と安定していましたが、ウェッジの距離感が今一つでした」と試合の中で課題を見つけ練習に取り組んでいました。その成果もあり、4つあるパー5のうち3ホールでバーディを奪うことにつながりました。全体的にレベルが上がって来たことで、より細かい部分を詰める段階になっているようです。

キャディとしてコンビを組む高武大輔コーチ(左)と廣吉優梨菜(右)
1月に畑岡奈紗選手の合宿に参加する機会を与えられると、ストイックなトレーニングやストレッチ、練習など驚くことばかりで世界で戦うプロの姿に大いに刺激を受けたと言います。昨年の「日本ジュニアゴルフ選手権」(12~14歳の部)で優勝した実績もあり今年からナショナルチーム入りし、オーストラリアとカナダへの海外遠征にも参加し経験も積んで来たことで大舞台でもあまり意識していないようです。
今季はこれまで4試合のレギュラーツアーに出場し予選落ちは1回、最高位は「NEC軽井沢」の8位タイを記録していますが、会場で会うたびにいつもと同じ、動じないテンションにプロに向いていると感じていました。好スコアが続出するコンディションとはいえ首位から1打差の2位で最終日、最終組をプレーすることについては「信じられないです。でも緊張より楽しみのほうが大きい」と畑岡奈紗選手以来のアマチュア優勝を期待させます。
当時17歳の畑岡奈紗選手が史上初のアマチュアで制した2016年の「日本女子オープン」では最終18番ホールで後続の堀琴音選手がバーディを奪えばプレーオフになるという状況で堀選手はパーで終え、史上初のアマチュア優勝が決まりました。そのときのことを聞かれた堀選手は「みなさん、それを言ってくださるんですけど、私的にはあのときは自分が下手だったなと思うので。そこから色々山あり谷ありで来て今があると思うので、あんまりそういうのは考えずに、今ある一打にしっかり地に足つけて考えていければいいかなと思います」と明日の意気込みを語ります。

首位から4打差の4位タイから2週連続優勝をかけてスタートする菅楓華
リーダーボードに目を移すと、首位の堀琴音、1打差2位廣吉優梨菜に続いて、3打差に髙木優奈、4打差に藤田さいき、イ・ミニョン、2週連続優勝がかかる菅楓華、森田遥と続きます。ビッグスコアを出す選手が現れるのか、最終日のドラマを明日も現地からお伝えします。
写真/姉崎正