
昨年まで下部ツアーなどの実況や現地リポーターを担当していた萩原
はぎわら・なのか。名門日本大学ゴルフ部に所属して腕を磨き、ベストスコアは75。学生時代から週刊ゴルフダイジェストなどに登場。大学卒業後はライムライト所属のフリーアナウンサーとして活動中。
舞台となる『ゴールデンバレーGC(兵庫県)』は、大きなうねりのあるフェアウェイに複雑にカーブしたグリーン、戦略的に配置された池が組み合わさり、コースレート77.4という国内屈指の難易度を誇るコース。今大会を主催する『株式会社エリートグリップ』はモノづくりの会社。ゴルフのグリップに留まらず、ゴルフ中継の制作も手掛けてる会社だ。今回はカメラ台数も多く、中継はYouTube『JGTO TV』で見ることが出来る。
中学生がプロ転向! 加藤金次郎選手の進化と目標

加藤金次郎選手は、9月22日にプロ転向3日後、『パナソニックオープンゴルフチャンピオンシップ』にて最年少プロデビューを果たした中学3年生。
彼はアマチュア時代からACNツアーに挑戦し、中学1年という異例の若さで予選通過を果たす実績を持つ。今シーズンもアマチュアとして2戦に出場し、「ダンロップフェニックストーナメントチャレンジinふくしま」では3日間すべて60台(68/67/69)をマーク。優勝争いに加わり11位タイという結果を残している。
この実績を引っ提げ、満を持してプロ転向を果たした加藤選手が、今大会でプロとしてACNツアー初戦を迎える。
2023年のインタビュー時には157センチだった身長は、現在10センチ伸びて167センチ。体格の変化に伴い、飛距離も伸び、現在は270ヤード強を叩き出す。彼のゴルフは中村映禅コーチによって磨かれ、中学1年時には単身でタイへ渡りレッスンを受けてきた。プロ転向後の2試合でも、コーチがキャディを担当し、その二人三脚のスタイルは変わらない。
プロになっても「気持ちの変化は特になし」と語る加藤選手だが、このタイミングでのプロ転向には明確な理由がある。レギュラーツアーのマンデートーナメントで2試合通過するなど、自身の経験値の上昇を感じての決断だという。さらに、試合に出る際の経費もかかるため、「プロとして賞金を稼ぎたい」という現実的な思いも、彼を突き動かしている。
加藤選手にとって今大会の舞台、ゴールデンバレーGCは、中学1年で予選通過を果たした思い出の試合。
「ゴールデンバレーは好きなコースです。池が多くて戦略性のあるコースなので、マネジメントでしっかり組み立てていきたいです」と、大人顔負けのコメントを残す。彼の言葉の通り、技巧的なこのコースは、単なる飛距離ではなく、緻密なマネジメント能力が試される。
今大会はプロ転向後3戦目(ACNツアーは初戦)。QTに向けて、自身のゴルフがプロの舞台でどこまで通用するかを試す重要な一戦となる。アマチュア時代から培ってきた経験と、タイで磨いた技術を武器に、加藤選手よキャリアの新たな一歩に注目!
初日スタート時間:9:18(OUT)
加藤金次郎/小鯛竜也/時松源蔵/福住修
悔しさを力に! 山﨑帆久登(ほくと)選手、リベンジを誓うゴールデンバレー

昨年の「エリートグリップチャレンジ」で、山﨑帆久登選手は作田大地選手とのプレーオフに敗れた。ACNツアー初の予選通過、初の最終日最終組、そして初めてのプレーオフという躍進の舞台となったゴールデンバレーGCに、山﨑選手は1年ぶりに戻ってきた。
敗因はプレーオフの18番。セカンドでの距離のミスから招いた手前のバンカーだったというが、その因縁の18番を練習ラウンドで回った山﨑選手は、思わず「こんなにコース広かったんですね」と漏らす。プレーオフの極限のプレッシャー下では、そのホールが非常に狭く感じられていたことの裏返しで、1年間の成長と、当時の心境を物語る言葉だ。
現在、山﨑選手は飛距離もしっかり出るオールラウンダータイプとして知られている。2024年冬頃から肉体改造に取り組み、週4回、1日2時間のトレーニングを続けた結果、ドライバーのキャリーは少なくとも10ヤードは伸びた。
しかし、コンディションは万全ではない。昨年のドライバーとパターの好調さとは異なり、現在はドライバーに滑る感触が残り、パターも距離感に課題を抱えている。特に今大会の速いグリーンに対応するため、山﨑選手は練習日に人一倍入念な調整を行っている。
山﨑選手は去年のQTでセカンドカットという結果に終わった。今大会は、昨年のトップ15の資格で出場するACNツアー初戦となる。本人はACN次戦への繋がりや優勝よりも、「QTに向けて試合でどのくらいできるかを試したい」と冷静に話す。プロとしての目標をQT突破に定め、この大会を自身の現状を確認する試金石と位置づけているのだ。
しかし、初予選通過からいきなり優勝争いを演じた去年の姿を知る周囲は、山﨑選手の上位フィニッシュに大きな期待を寄せている。プレーオフの舞台となった18番を「広かった」と感じられるほど、精神的、肉体的に成長を遂げた山﨑帆久登の挑戦が、今週ゴールデンバレーGCで始まる。
初日スタート時間:7:42(OUT)
山﨑帆久登/河合和眞/大嶋宝/松岡翔大郎
開幕戦Vアマチュア! 武田紘汰(こうた)選手、初コースでマネジメント勝負

ACNツアー開幕戦で優勝を飾った武田紘汰(提供/JGTO)
ACNツアー開幕戦「Novil Cup」で史上10人目のアマチュア優勝を成し遂げた武田紘汰選手はゴルフ界の熱い視線を集めてきた。謙虚で優しそうに見えるが、彼の内には確固たる自信と闘志が秘められている。
武田選手のアマチュア優勝は、ホームコースである「JクラシックGC」で開催されたことが大きな要因という。「緊張もしていたが、練習通りにやろうと思ってその通りにできた」と語る。極度のプレッシャーが予想されるプロの舞台で、その「気楽さ」を保てたことが、勝利に直結した。
コーチはつけず、シングルゴルファーの祖父の指導のもと、自らのゴルフを構築してきた。その根源にあるのが、「調子が良かったらいける」という揺るぎない自信。
日本ジュニア優勝などの実績は豊富だが、彼は現状を極めて冷静に見つめている。レギュラーツアーでは緊張から思うようなプレーができていないと感じており、このACNツアーの舞台こそが、自らを磨き上げる最良の環境だと位置づけている。
武田選手は最近の課題として、2日目や最終日の前半は好調ながら、「後半で伸ばしきれない傾向」にあることを自覚している。その理由を「調子の良さが足りないだけに踏ん張れなかった」と分析。上位で戦い続けるための持続力がまだ不足していると見ている。
QTは受けずに大学に進学予定であり、プロ転向はまだ先だと考えている。ACNツアーで優勝してもなお「まだレギュラーツアーで戦う技術はない」と語る姿勢は、頂点を目指す者としての冷静な自己分析だろう。
開幕戦優勝後、ACNをスポンサーに迎え、今週と最終戦にも参戦予定だ。今大会の舞台、ゴールデンバレーGCは初めてのコースであり、「池やクリークが多く戦略性があるため、マネジメントをしっかり考えたい」と語る。
謙虚な見た目とは裏腹に、内に秘めた闘志と緻密な戦略を持つ17歳の挑戦が、難関コースで試される。この舞台が、彼のプロへの道をどのように開いていくのか、注目が集まる。
初日スタート時間:8:18(IN)
@武田紘汰/梶村夕貴/山脇健斗/田中章太郎